第十八話 【突然サバイバルが始まった件について-12】
ローヌと出会った海岸があったのが極西の位置で、西はそこで行き止まりみたいだった。
なので、そこから少し南へ向けて調査する事に。
砂浜あたりは足を取られやすいパラパラの砂が占めてして、撤退行動や戦闘等の急場で困りそうな足元をしている。
海という存在もイマイチ理解できていないから、あまり近づき過ぎずに、その上で海岸に沿って南下するも、直ぐに海に囲まれた端っこに辿り着いたしまう。川の入り口に阻まれてる感じで陸地は対岸に続いている。流石のとららでもジャンプは無理な距離だ。
折角だし、このまま今度は北上しようかなと、とららとイモモに周囲への警戒を頼みつつ、北へ移動。
すると海岸沿いはやがて背の高い岩場に阻まれて移動できず、しかして道は北側へと続いていたので、恐らく岩陰で見えないだけで向こうは引き続き海岸のままだろうという感じで、岩場に沿ってそのまま北上してみた。
すると今度は東側にも岩場が。
海側も岩場、東側も岩場、けどその間に道がある。
怖すぎ。
当然僕はそこで引き返した。
行くとしてもローヌに同行してもらわないと、僕だけだと怖すぎて無理だ。
上から大きな鳥でも来ようものなら、もう即死だからね。
イモモととららがいても殺られる気がする。
多分この東側に見えた岩場は、海岸から見てアジトとの間くらいに位置していそうだから、出来ればここの上の方もちょっと見ておきたかったりする。
ここに魔物が沢山いたりしたら怖いしね。
そんなこんなで東側の調査は行き詰まった。
これ以上は危険が過ぎるから、今無理はしないでおこう。
でも、この東側の岩場。
多分この前アジトから見て北側に在ったそれと繋がってそうなんだよなぁ。
だとしたら深入りしすぎたらライガーを食べる鳥とか出るかもしれないんでしょ?
北側の探索も難しくなってくるよね。
うーん。
西と北が結構行き詰まってきたなぁ。
取り敢えず、無理せず東と南の調査かな。
これ以上の北西の探索は怖いし。
仕方ないね。
一旦アジトに帰ろう。
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「え? ローヌ、今なんて?」
「ここは島だぞ、と言ったが?」
「んんー? しま……ここって島なの?」
「何だ知らなかったのか?」
アジトに戻って軽く食べ物を摘んでいた所、ローヌやミミちゃんも集まって来たので、みんなで団欒しつつ食べる事に。
そんな最中、ローヌがあっけらかんととんでもない新事実を提供してくれた。
じゃあ森を抜けても全方位海しかないじゃん!!
ええー頑張って移動してたらいつか何処かに繋がるって信じてたのにー!
「人が住んでる場所とか無いの?」
「無いな、無人島だ」
「僕だけなのか……」
「うむ」
だ、だとしても探索は続けるけどさ。
もしかして探索するよりも、全部ローヌに聞いた方が早かったりする?
「ローヌってこの島の事、どれくらい知ってるの?」
「我が部族が里を形成していたのは中央寄りの西側、海に近い場所だったと言う事。そしてここが島の北西側に位置しているという事。そして私は海経由で北に流され、ここへ拾われる事となった事。我が部族の里から東に行くと大きな池があった事。それくらいの事しか知らんな」
「結構知ってるじゃん」
なるほどなー、ここは北西よりだから北西側の探索余白が小さかったのか。
って事は、その比ではない南東側への探索が残ってるって事?
キツくない?
「そうでも無い。私は比較的里の中で生活していた。話の殆どが伝聞したものであり、我が眼を以て確認した事など殆ど無い。余り宛にするな」
「うーん、なるほど」
「己が眼を以て知識を切り拓くお前様の在り方に敬意を表する」
「そこまで言われると恥ずかしいなぁ」
褒められちゃった。
でもそれは置いといて。
ここから南に行くと、池がある可能性は高そうだ。
そこから西に向かうとオーガの里かぁ。
知らずに行ってたら死んでたんだろうね、怖すぎ。
でも今の状況を考えると、池を見つけたら敢えて西に行ってオーガの里を確認しても良いのかも。
そしてらローヌの家族の安否も分かるしさ。
何より。
僕は【何でそうなったのか】が凄く気になっている。
だってオーガだよ?
何でそんな目に遭うの?
そのヤバさみたいなのが、ここが【島】だって事が分かった時により決定的になってしまったよね。
だって、場合によっては遭遇するんでしょ?
怖過ぎるって。
「因みに、襲われた事について分かってる事ってある?」
「うむ。まず夜中に襲撃され、敵の正体は不明。だがどうにも特定の何かを目的としていたというより、【暴れていた】に近い雰囲気だった様に思う。雰囲気的に、一度狙われたなら隠れても無駄だろうな。兎に角全てのオーガを根絶やしにする勢いだった」
「ほぼ分からないのに怖すぎだってそれ」
じゃあ地下に隠れられる場所を作っても見つかっちゃって、逃げ道を失うだけって事だよね?
うーん、なら脱出経路くらいは確保しておかないとかな。
多分だけど、そんなに遠くないんだよね。
オーガの里とここのアジトってさ。
それを考えると、やっぱ情報は欲しいなぁ。
オーガの里、探そうかな。
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「今日も今日とて探索だー!」
「探索なのらー」
「にゅー」
探索となるなら、やっぱとららとイモモだよね。
今はミミちゃんだけを残して行くのも怖いし、ローヌも居てあげて欲しい。
「じゃあもし何かあったら逃げてね!」
「うむ、川まで走り、ミミ殿を対岸までぶん投げてから、川へと飛び込もう」
「ミミは柔らかいから投げられても大丈夫なのー」
「解決策がマッスル過ぎるけど超ナイス」
何だかローヌから話を聞けば聞くほどに不安が募ってくる。
兎に角情報が足りて無さ過ぎる。
今は少しくらい危険でも動くしかない。
「とらら、多分南下したら川に当たると思うから、左に曲がって飛べそうな場所から飛ぼう」
「オッケーなのら!」
南に進むと、先日見つけた川へと辿り着き、ここを下流に向かって進めばローヌと出会った日に辿った流れになっていく。
今回目指すは上流だ。
「ご主人さまー、飛べそうな場所が見えるのら!」
「よし、行って!」
「任せてなのら!」
バシューンと、凄まじい勢いで跳躍したとららは、割と余裕を持って対岸へと移動する事に成功してくれた。
「ここからどうするのら?」
「来た方角へ戻ろう。下流を目指して、そこから南下する」
「わかったのら!」
この感じだと、他に川が無いのなら、海が見える川の合流地点まで行ってから南下すれば、やがてオーガの里に辿り着く筈なんだ。
ローヌは理解が良いからなのか説明が上手い。
もし彼女の情報が正しいならこれで良い筈。
「ご主人さま、なんだか嫌な臭いがするのら」
「嫌な臭いか。そろそろ目的地が近いのかもね。因みにどんな臭い?」
「生き物が腐った臭い……なのら」
「うっ、……他に気配はない?」
「気配も臭いも感じ無いのら。でも臭いは分かりにくいのら」
「そっか、なら油断はしないでいこうね」
「わかったのら」
「イモモも、万が一の時はよろしくね?」
「にゅっ!」
それから、とららは移動速度をやや落とし、極力音を立てない様に警戒しつつ足を進めた。
そして海岸沿いを南下し、やがて岩場に阻まれていた景色が、再び海岸の姿を見せた時。
「多分、あれだね」
「なのら。嫌な感じがするのら……」
「僕も、そう思うよ」
オーガの里と思しき場所を発見した。




