表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/28

第十七話 【突然サバイバルが始まった件について-11】

「何だ貴様ら、こんな場所に住んでいるのか?」

「凄いでしょ! 僕が作っ……あれ?」


 アジトに帰ってきたけれど、僕の作った寝床が粉々に崩れていた。

 壊されたという感じじゃなくて、崩れたって感じ。


「ヌー、主人(あるじ)サマー」

「ミミちゃん。これどうしたの?」

「ミミにも分からないのー。多分、イモモの糸に何かがぶつかって、そこから崩れたと思うのー」

「成る程、それはもう仕方ないよね。怪我はない?」

「ヌー、ミミは畑に居たから平気なのー」

「なら良かったよ」


 風で何か鋭利な物が飛んできて、それが糸に当たっちゃったのだとしたら、それはもうどうしようもない。

 折角作った僕の家だったけど、まぁまた作れば良いしね。


「崩れた家は仕方ないにしても、こんな殺風景な所とはな。どれ、私が力を貸してやろう」

「ん?」

「何か刃物は無いのか?」

「ちょっと見てくるね!」


 前はナイフを探したけど、今回だと斧かなぁ。

 この雑品の山の中から……あった!


「斧とナイフがあったよー」

「上出来だ。後は任せておけ」


 ローヌがアジト周辺の森へと近づいて、そして。


「ふんっ!!」

「ヒィッ!!」


 斧を真横に一振り。

 木が轟音と共にバッサリと倒れてしまった。


「ふんっ、ふんっ、ふんっ……」


 そしてそれから、ローヌは木を伐採し続けた。

 やがてその木を器用に統一されたサイズに切り出し、大小必要な部品を整えていく。


 土台となる部分をまずは組み上げ、そこから上部も一気に整えていくローヌ。

 すごーい、家っぽい家だ!!


「一旦ここで良いだろう」

「凄すぎるよローヌ!!」

「むっ、そうか?」

「僕こんな家に住めるの?」

「いや、ここは仮設だ」

「ん?」


 仮設?

 仮で造ったって事?


「って事は?」

「うむ、住居となる建物は改めて造ろうと思う」

「えー楽しみ過ぎるんだけど!」

「我らが交尾しようともビクともせぬ家を造らねばな」

「……ん?」

「ずるいのらー!」

「ヌー僕も僕もー」

「にゅっ!!」

「む、ならば広く造ろう」

「……んん?」


 ま、まぁ兎に角これからもっと大きな家を造ってくれるって事だよね?

 めちゃくちゃ楽しみなんだけど!

 ローヌって凄いや!



 ━━━━━




 あれから暫く過ぎて。


「朝から精が出るな、お前様」

「か、身体が資本だからね……」

「うむ、良い心掛けだ」


 予想通りと言うべきか、ローヌの様子がおかしい。

 勿論それはローヌの内面的な変化ではなく外見的な変化で、端的に言えば【人】っぽくなっている。

 二メートルを超える身長に凛々しい顔立ち、額のツノに、引き締まった身体、そして赤茶色の長い髪の毛。

 しかして柔らかそうな胸と尻がボンと存在を主張していて、何とも目のやり場に困る雰囲気なんだよね。

 肌はやや人のそれよりもやや赤く、やはり元がオーガである事が伺えるんだけど。

 それにしても凄い迫力だよ?

 本当に凄いんだから、ローヌのスタイル。


「ある程度は伐採してきたが、もう少し周囲を削っても大丈夫か?」

「大丈夫だと思うよ?」

「うむ、ならばそうしよう」


 生真面目でしっかりしていて、それでいて力持ち。

 家だけじゃなくて、木製の食器や家財まで作れるらしく、僕らの生活クオリティが爆上がりして嬉しい限りだ。

 ローヌさまさまだね。


 僕の作った不細工な土器は貯水用としてちゃんと機能しているから、僕もまだギリ役に立てている筈、なんだけど。多分それも間も無く終わる。ぐすん。


 因みに倉庫や食料貯蔵庫なんかも造ってくれているので、食べ物を置いておく場所にも困らなさそう。

 ゆくゆくは肉や魚なんかの燻製や干物を保管する場所とか、それぞれ用途に分けて貯蔵庫を造ってくれるとかも言っているから、アジトが漸くアジトっぽくなりつつあった。


「ヌー、ここまで繋がったのー」

「うむ、後は任せろ」

「任せるのー」


 ミミちゃんがせっせと土を開拓し、川からここまで繋がる堀を引いてくれた。

 その上で貯水できる大穴を作ってくれており、その水が貯まるとやがて川へと抜けていく、という仕組みになっている。


 その堀や穴をローヌが木で補装し、通りを良くしてくれるらしいので、まもなく僕の土器は死ぬ。何か使い道ないかなー。


 けれど、焼いた土器の使い道はともかく、あの時作った釜自体はかなり有用で、ローヌでさえも『む、この釜は素晴らしい』とか言っていた気がする。えへへ。


 あそこは肉を焼いたりとか、魚を焼いたりとか、料理するのに凄く便利なんだ。


 焼く時に使ってる土器は、木製品では代用出来ないから、僕はご飯で役に立ててる感じかな。うん。

 それならセーフだよね!


「ここの近辺はどういう訳か縄張りの痕跡がまるでない。アジトとしては素晴らしい場所だ」

「ふしぎなのらー」

「ヌー」


 へー、僕みたいなのからしたらその辺りは全然分かんないんだけど、ここは良い場所なんだね。

 選んだパトちゃんが偉い! のかな?

 きっとそうだよね!


「さーて、今日も調査にいくよー」

「ご主人(しゅじん)さまを乗せるのらー」

「にゅー!」

「ヌー、行ったらっしゃいなのー」

「旅の無事を祈る」

「はーい、いってきまーす」


 野菜や果物は着実に貯蔵庫に溜まってきていて、お肉も取れるし、加工して保存も出来ている。

 家もちゃんとした奴が出来て、しかも建物が増えてきて、水も心配無くなってきたし。


 何だか良い感じ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ