黒猫ちゃんと再会しました。
『撫でたい…モフモフしたい…あっ、そう言えば猫ちゃんの動画投稿をしてる人が言ってた。目をジッと合わせると威嚇になってしまうんだった』
前世の記憶を手繰り寄せながら猫ちゃんと仲良くなりたい一心で、さりげなく近寄る。
そっと手を鼻に近付けると、意外にも頭を擦り付けて喉をゴロゴロと鳴らしてくれる。
「し、あ、わ、せーーーー」
小声でそう囁くとクスッと笑い声が聞こえた気がした。
暗がりの中、月明かりを頼りに黒猫の怪我の状態を確認しようと試みるがハッキリと確認する事が出来ずに戸惑っていると、察したかの様にお腹をゴロンと寝転んで見せてくれる。
『なんて賢い子なの…!』
「フフ。あなたが無事で良かった。良くこの場所がわかったわね?もしかして無事を知らせに来てくれたの?首輪を付けているから飼い主がきっといるのね。あなたと一緒できっと素晴らしい方ね。本当に良かった。」
レイラがフワリと優しく微笑みそう話しかけると、黒猫は一瞬目を丸くし、ニャーと返事をする様に鳴くと窓に向かって駆け出し、あっという間に飛び出して姿が見えなくなった。
「…不思議な猫ちゃん。」
窓を閉め再びベッドに潜り込む。
思わぬ形でひとつ心配事が解決し、胸を撫で下ろしたレイラはフカフカの布団の海に沈み込んでいく様にグッスリと眠りについた。
ーーお嬢様…レイラお嬢様!
聞き慣れた声に目を覚ますと、侍女のモアが不安げな顔で覗き込んでいる。
「おはようございます。お嬢様。お目覚めになって良かったです。」
深く眠りについていた為なかなか目を覚まさなかった様で、先日の高熱の件もありモアは心配を募らせていた様子だった。
(モアさんは本当に良い人。朝からしあわせだわ、、)
緩みかけた表情を正し気持ちを引き締める。
「おはよう。今日の予定は?」
「本日は王城にてお茶会の予定です。第一王子エリアス様、第二王子エクトル様を囲んでの会ですので朝食が済みましたらすぐにお支度を」
私とした事がうっかりしていた。ソフィとエリアス、大事な三回目の交流のイベント、王城でのお茶会の日。
きっと今日こそ二人は出会って、いや、もしかしたらもう私の知らない所で既に出会っているのかも。今日の私は、他にも参加する令嬢達を牽制し、ついでにとある伯爵家の夫人をお茶会から追放すると言う大仕事が待っている。
よし。気合い入れていこう!
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