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ローズアンドスカビオサ  作者: 須江野モノ
第三章 『父の足跡』
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第27話 『王国統合議会』

お久しぶりです。ゲームしてたので遅くなりました。再開します。

 天災の様にエリザベスが訪れ、二人の肉体に爪痕を残して去っていた日の翌朝。


 グレイシャルは布団にグルグル巻きになった状態で目が覚める。

 横を見れば同じ様に布団に包まっているオーディスが居た。


 昨晩は二人共、鎮痛剤代わりに酒を浴びる程飲んだ。

 その影響か記憶が整然とせず、夕飯を食べた後の記憶が飛んでいる。

 けれどまあ、酒の勢いで何か問題事を起こしたりは絶対に無いと言う確信があったので、そこは安心していた。


 さて、それはそうと。

 グレイシャルはカーテンの隙間から漏れる光に目を細めながら呟く。


「む……。今何時だろ。あんまり遅くなると王城に忍び込んでも王様と会えないかも知れないしな」


 彼はゴロリと転がったまま、サレナから貰った懐中時計で時刻を確認した。

 時計は午前7時丁度を指し示している。


「7時か……。大体9時とか10時とかに寝た気がするから、結構休めたかな。はぁ……」


 確かにこの一週間ちょっとの旅に比べれば、柔らかい毛布で身体を包んで寝れたので疲労は取れた。

 けれど、これから厳重な警備が施されている王城に侵入してエオル王と接触することや、そもそもこの街にエリザベスを初めとした青薔薇騎士団の猛者達が居る事が、グレイシャルの不安の種を完全には取り除けない原因でもある。


「外に出たくないなぁ……。ネフェリさんはもう大丈夫って言ってたけど、あんな人(エリザベス)に襲われたらマジで近い内に死ぬでしょ……」


 グレイシャルの短い人生の中で出会った強者達の中でも、エリザベスの強さはトップクラスだ。

 何なら憎き仇であるバジリスクと同等か、もしくはそれ以上の強さを誇っている。

 更に恐るべき事は、彼女がトルーマの民であると言う事だ。


 トルーマの民は皆、生まれながらにして雷を宿しており、戦闘の際はその雷を用いて戦う。


 なのだが、昨日戦ったエリザベスは雷を使用しないで自分とオーディスを圧倒して見せたのだ。

 魔力量も尋常では無く、魔力に依る通常の身体強化だけでもヤスより強いだろう。

 それに加えて魔術や剣技習得しているのだから、青級の者以外には手の付け様が無い。


 そんな彼女が仮に雷を用いて戦闘をした場合どうなるのかは、最早グレイシャルに想像する事は出来無いレベルだ。


「……ま、分からない事は考えても仕方ないよね。兄さんなら三歩歩けば忘れるだろうし。まあ良いや」


 人が生きて行く上で、考えても答えの出ない問題と言うのは往々(おうおう)にしてある。

 そんな時は悩むのでは無くて、そもそも考えない事が唯一の解決法になったりするのだ。

 ()()()()()()()()()()だが、それを意識するだけでだいぶ生きやすくなるのは間違い無いだろう。


「あーあ。てことで今日も起きますかねえ~」


 グレイシャルは気持ちを入れ替えて身体を伸ばしベッドから起き上がる。

 そしてカーテンを勢い良く開け放ち、朝の光を室内に取り入れながら、ミノムシの様に未だモゾモゾしているオーディスに言った。


「さぁ、起きて下さい兄さん。今日は王城に潜入する日ですよ。でもその前に腹ごしらえです。腹が減っては戦は出来ないらしいですからね。ほらほら、起きて起きて」


「んぬ……。だる……」


「怠いじゃありません。そんな事を陛下に聞かれたら、全裸で街中を走る刑に処されますよ。ほら、早く」


「うるせえなあ……」


 オーディスは眠気で白目を剥いている。

 しかし、そんな事は関係無いかの様に無慈悲に布団から引きずり出された。


 無理矢理起床させられたオーディスは太陽の光を浴びながら欠伸をする。

 寝起きに、活気に溢れた街を見るのは精神衛生的にも健康だ。

 頑張っている人々を見ていると前向きな気持になれる……。


 そんな気がした。


「あーあ。んじゃまあ、飯でも食って今日も頑張りますかねえ」


 そうして二人の一日が今日も始まる。

 最悪な一日があった後には、最高な一日があっても良い。

 なんて二人は思ったり思わなかったりしていた。



 ――――



 すっかりと目が覚めた二人は宿のチェックアウト済ませる。

 その後、昨日の夜に酔っ払いながら目星を付けておいたカフェに行き、モーニングと洒落込んでいた。


 グレイシャルはハムとレタスのサンドウィッチと、それからアズマ産のお茶を。

 オーディスはふわふわパンケーキとベリーのミックスジュースを。

 二人はそれぞれゆるふわな物を食べながら、本日の英気を養う。


「んで? この後の予定は?」


「ご飯を食べる。お金を払う。昨日仕立てた服を取りに行く。そしたら王城に潜入して、陛下から貰った手紙をエオル王に渡します」


「なるほど。ところでよぉ、エオル王って奴に陛下の紙を渡せば俺達の任務は無事に達成されて、晴れてこの国から保護が受けられるんだよなぁ?」


「はい。その筈ですよ」


「気になったんだけど今ってこの国、王国統合議会とか言うのしてるじゃん?」


「はい」


「イザベラはあんまり厳重じゃ無いって言ってたじゃん? でも王城には今、この国の公爵達が全員集まってるじゃん?」


「はい」


 グレイシャルは、さっきからオーディスが何を聞こうとしているのか、イマイチ理解する事が出来なかった。

 なので適当に相槌を打ちながらサンドウィッチを頬張っている。

 オーディスはそんな弟に、同じくパンケーキを口に詰め込みながら言った。


「そんでさ、公爵達の警備って誰がしてんの? 冷静に考えたらシルバーアーク領の公爵の警備は青薔薇騎士で、ヘンリーの警備は王立第一騎士団のイザベラだろ?」


「まぁ、多分。他の公爵達もそれぞれ自分の領地から騎士団を連れて議会に参加していると思いますよ。という事で今、王城のどっかにこの国の最高戦力がほぼほぼ集結してるって事――」


 そこまで自分で言ってグレイシャルは気付く。

 オーディスがどうしてさっきから念入りに確認をしていたのかを。


「……あの、潜入簡単ってイザベラさんは言ってましたよね」


「おう」


「どこが簡単なんですか? 僕達よりも遥かに強い第一から第五騎士団の人達が王様と一緒に居るのに、何が簡単に潜入出来るんですか?」


「俺に言うな。どーせあの女の事だから『王城に潜入するのは簡単だけど、王様の近くには騎士達が居る』って事を伝え忘れたんだろ」


「うーん……。いやぁ、確かに僕達から断りましたけど、冷静に考えたらこれって王様に会うの無理じゃ無いですか? いやまぁ、会えるんでしょうけど、全員が集まってる所に姿を現すのってリスクヤバくないですか。こんなんなら最初からイザベラさんと一緒に王城に行けば良かったですね……」


「だな。ま、悔やんでも過去には戻れねえから自分達でどうにかするしかねえだろ。何なら、俺達の事を監視してるネフェリだかエリザべスだかを今から大声で呼んで、王城まで連れてって貰うってのはどうだ? アイツラ、公爵の娘だからその辺の面倒くせえ事を全部すっ飛ばせる権限があんだろ」


 オーディスの提案は魅力的であると同時に、現状唯一と言える方法である。

 だが、昨日あんな事があった手前、二人の力を借りるのは何だか余り気が進まなかった。

 ネフェリはともかくとして、エリザベスとは出来れば会いたくないので尚更だ。


「……まぁ、それは一応最終手段として取っておきましょう。一先ずは僕達だけで潜入します。昨日のネフェリさんの話では、二人は僕達を監視兼保護しているらしいので、多分王城で拘束されても何とななります。ていうか、青薔薇騎士団の元締めがシルバーアーク公爵ですから、多分大丈夫です。多分」


「だと良いけどなぁ~」


「まぁ、たまには希望的観測というか楽観的と言うか、運に任せてみましょうよ。兄さん風に言うと『運ゲー』です運ゲー」


「俺、運ゲー嫌いなんだよな。シンプルにクソだし。俺の頑張りが一瞬で無かった事にされるとか普通にあるし」


「僕も嫌いです。でも、敗北一秒前から逆転出来る可能性があるのも運ゲーだけですよ。……あ、お会計お願いしまーす!」


 考えていても結局は何も始まらない。

 こういう時は行動した方が良い結果が出たりする。


 それを何となく今までの経験で分かっていたグレイシャルは、自分に喝を入れるかの様に会計をして、席を立った。

 オーディスもミックスジュースを飲み干してから溜息を付き、同じ様に席を立つ。


「じゃ、行きますか」


「ウッス。最近気付いたんだけど『人生』とかいうクソゲーは良い所の生まれでも、運が悪いと奴隷よりも終わってる人生になるよな。俺達って生まれ時から運ゲーにブチ込まれてるからマジで終わってるわ」


「ははは、確かに。いや、笑えませんね……」


 オーディスの発言を聞き、自分の過去を思い出して心を抉られたグレイシャル。

 否定したい気持ちはあるが、事実としてこの世界が自分に取って碌でも無い場所なのは、疑い様の無い真実だ。


 それでも毎日必死こいて精一杯生きる。

 それが、今のグレイシャルに出来るただ一つの事でもあるし、()()()()()()()を助けてくれたオーディスに出来る、たった一つの恩返しでもあるのだ。


「……? おい、俺の顔見てどうした」


「いや、別に」


「んだよ、俺の事が好き過ぎて見惚れたか?」


「まぁ、そんな感じですかね。さ、行きますよ兄さん。まずはお洋服です。レッツゴー」


「待てやガキ! いきなり走り出すなボケが! オメーのテンションどうなってんだよ!」


 二人は仕立て屋に向かって走り出す。

 ()()()がどこに向かっているのかは明白だが、望んでいる場所に辿り着けるかどうかは別の話だ。


 けれど、自分が進んだ末に納得出来る場所に辿り着けたのなら、多少は思い描いていた未来と違っていたとしても良いのでは無いだろうか。


 歩き続けた道の過程で得たモノが『ゴミ』だったとしても、最後の最後には価値のあるモノに変わるかも知れない。

 物事の価値には絶対的な物など無いのだ。



 ――――



 グレイシャルとオーディスが仕立て屋に向かって走り出した頃。

 近くの高級宿の一室にて。


 青薔薇騎士団の制服を着用した一人の長身の男と銀髪の女は、ベッドの上でトラと猫と戯れている赤毛の女を見下ろしていた。

 二人はしばらく赤毛の女を眺めると、少しだけ笑いながら言う。


「それじゃあ姉さん、行って来るね。今日は団長と一緒に市場の視察とグレイシャルとオーディスの監視だから。夕方には帰って来るから。それまではここでエイニャとプイニャと遊んでて」


「くれぐれも外には出るなよ、エリザベス。今、お前はあくまでも謹慎の身だ。先導騎士でルウィンの娘だから特例として色々と免除しているが、この謹慎も一つの任務であって――」


「あー、はいはい。分かってる分かってる。全く、団長もネフェリも私の事をちょっとは信用しなって! 私はあのエリザベス・レアヴィタム・シルバーアークだよ? 任務なんて余裕でこなせるから!」


「そうか、謹慎を守れなかったら流石の私でも衝撃で失神するからな。エイニャとプイニャも、エリザベスの事をしっかりと見ていてくれ。お前達も青薔薇騎士団の一員なのだからな」


「ニャー!」


「プモー!」


 猫のエイニャとトラのプイニャは団長の言葉を受けて二足で立ち、彼に向かって敬礼をした。

 猫科動物の二匹が人間の言葉を完全に理解しているのも驚きだが、そんな動物もしっかりと部下として認識して接する団長の懐の大きさもかなりのモノだろう。


「それじゃあね、姉さん」


「行ってくるぞエリザベス」


「はいはーい。じゃあねー。あー、お土産よろしくねー」


 最後までマイペースなエリザベスに苦笑いをしながら、ネフェリと団長の二人は部屋のドアを開けて通路へと出て行った。


「……さてと」


 残された青級魔術師はベッドから起き上がると、お互いの毛繕いをしているエイニャとプイニャを撫でながら言う。


「三人だけになっちゃったねー。ごめんねー、私が勝手に行動しちゃったから二人まで謹慎になっちゃって。お外行きたかったよね」


 せっかく綺麗に舐めた所がいきなり乱されてしまったが、二匹は嫌そうな顔もせず、寧ろ嬉しそうに鳴いた。


「ニャニャ? ニャーン、ニャニャー。ゴロゴロ」


「プモー。プモモモー。ガオー、ゴロ!」


 その声を聞いたエリザベスは嬉しそうに笑う。

 そして二匹を愛おしそうに抱きしめ、フワフワのモフモフに埋もれながら言った。


「そうかそうか、ありがとうね。二人共優しいね。大好き! 可愛い! 良い子!」


 彼女は完全に二匹の言葉を理解している訳では無い。


 だが、長い付き合いから何となく言いたい事は理解していた。


 恐らくだが二匹はエリザベスの事を慰めていたのだ。

 どう考えても悪いのは命令に背いたエリザベスだが、二匹からすれば、大切なのは飼い主兼友人兼姉のエリザベスである。


 人間では無い以上、大切なのは自分の感情であり、騎士団の規律では無い。


「ニャーニャー。ニャニャニャ? ニャニャー! フンス!!」


「プモ!? モー!! モガ、モォ……!」


 プイニャとエイニャに話しかけられたエリザベス。

 彼女はいつも通り何となくで返事をした。


「えー『お外出る』って? 団長とネフェリに今度こそマジで怒られちゃうよ? だからダーメ」


 二匹の猫科動物はどうやらエリザベスに、外に出る様に誘っている様だ。

 しかし、昨日しこたま怒られたばっかりのエリザベスは、流石にそれはマズイと思って躊躇(ちゅうちょ)した。


「ニャー!! ニャンス!! ニャオー!!」


「プモー!! モモモモモ!! プガー!!」


「うーん……」


 彼女が色々な意味で、普通の人間の常識で測れる存在だったならば、どんなに二匹に懇願されても部屋の中で謹慎期間を過ごしただろう。


 しかし()()()()()()()()()のだ。


 エリザベスは多くの才能に恵まれ、周囲の人間に恵まれ、運にも恵まれた、非常に稀有な人間である。

 多くを成し遂げる力を持ち、実際に殆どを叶えてきた。

 そんなエリザベスが、誰かに言われた規則の中で縛られる事を良しとする筈が無い。


 彼女は悩んだ末に答えを出し、そして言った。


「本当は怒られたくないから外に出たくないけど……。でも、そうだよね。バレなきゃ問題無い!! 見つからなければ大丈夫! 足が付かなければ良い!」


 その答えを聞いた二匹を飛び跳ねて大喜びする。


「ニャー!! ニャー!! ニャオオオオン!!」


「プガー!  プガガガ!! ガー!!」


「そっかそっか! 二人も嬉しいか! よし、それじゃあ今日は久しぶりの休日という事でいっぱい遊ぼうね! あ、でも()()()()()()()()()()()にも見つかったらダメだからね? 二人共大丈夫?」


「ニャ!」


「プモー!」


「よーし、良い子だ!! エイニャ、プイニャのお兄ちゃんらしく良い子にしててね。プイニャはエイニャが迷子にならない様に、しっかりと頭の上に乗せてあげてね!」


 エリザベスは再度二匹を全力で撫で回しながら言った。

 エイニャとプイニャは満足そうに頷きながら鳴くと、壁に立て掛けてあるエリザベスの杖と剣を口に咥えて彼女の元に持って来る。


「おぉー! 持ってきてくれたの? 二人共本当に良い子だね! ヨシヨシ!」


 彼女はそう言うと剣を左の腰に、杖を右手に持った。

 それからローブを被って特徴的な赤毛を隠すと、窓を開け放ってトラのプイニャの背中に乗り、エイニャを抱き上げてプイニャの頭に乗せる。


 プイニャはメスだが仮にもトラだ。

 筋骨隆々という表現が正にベストな肉体をしている、余りにもムキムキなメスのトラである。

 具体的なサイズで言えば体長は4メートル、体高は1メートル50センチ程の大きさだ。


「よし! それじゃあ準備完了!」


 彼女はそう言いながらプイニャのお尻の付け根付近を優しく叩く。

 プイニャはそれを受けると短く鳴いた。

 その後すぐに、大きく助走を付けて窓から隣の建物の屋根に飛び移る。


 外の風を浴びて気持ち良さそう一人と二匹。

 エリザベスは笑顔で街を見下ろしながら、もしかしたら近くに居るかも知れない青薔薇騎士団の仲間にバレない様に控えめに叫ぶ。


「出発! ()()()()()()を信じるよ! エイニャもプイニャも私を信じて付いて参れ! いざ!!」


「ニャー!」


「プモー!」


 付いて参れとは言っても、足となるのはトラであるプイニャだ。

 何処に行くも彼女の気分次第である。


 だが、プイニャはエリザベスの言う事なら何でも聞く。


 だから実際にはエリザベスの行きたい所に行くのだ。


 それが何処なのかはエリザベス本人にしか分からない。

 猫とトラはただ、主であるエリザベスの行きたい所に向かうだけなのだ。



 ――――



 場面は再び移り変わる。

 時刻はエリザベスが青薔薇騎士団団長の命令を破り、部屋の窓からエイニャとプイニャを連れて抜け出した頃。


 王都クローディアンの王城、クロード城の最上階の豪華な内装の部屋にて、12人の人間がテーブルを挟んで向かい合っていた。


 その部屋の南側にはとても大きなステンドグラスが設置されており、そこから入ってくる太陽光はこの世の物とは思えない程に美しい。

 置かれている6つの椅子と1枚の大きなテーブルも、職人が丹精を込めて作った最上級の品である。


 おまけでテーブルの上には人数分のお茶とクッキーが置かれていた。

 こちらも当然だが、王都の菓子職人が本気で用意した一品である。


 そんな贅沢の限りを尽くしたこの部屋で現在何が行われているのかと言えば、毎年一回、一ヶ月ほど開催されている『王国統合議会』に他ならない。


 テーブルを中心に考えて下側、右から順にルウィン・レアヴィタム・シルバーアーク公爵、ヘンリー・テルサス・レイル公爵、イルーネ・カノ・メルデル公爵という風に並んでいる。


 上側には左から順にクレール・ハルストレム・ロードレン公爵、セイラス・ヴァル・リード公爵といった感じだ。


 肝心のクロード王国の国王エオル・ザイ・クロードはステンドグラスの丁度反対側、つまりルウィンとセイラスの間に座っている。


 上座も下座も彼等の文化には無いので、席順はこの様になっていた。


 しかし、これではまだ6人しか居ない。


 この部屋に居るのは合計で12人である。


 では、残りの6人が何処に居るのかと聞かれればそれは、それぞれの主の後ろに立っているのだ。

 彼等は皆、公爵や王の護衛であり、社会的にも名のある地位の者達である。


 具体的な名前を挙げれば、ルウィンの護衛がソフィア・イェルケンだ。

 彼女は青薔薇騎士団の団員兼シルバーアーク領の侯爵家の令嬢である。


 ヘンリーの護衛がつい先日までグレイシャルとオーディスと共に、半ば強制的に旅をさせられたイザベラ・グ・レイータである。

 言わずもがなであるが、彼女も本来は青薔薇騎士団もとい王立第二騎士団の所属であり、シルバーアーク領の良家の令嬢だ。


 メルデル領の公爵イルーネの護衛は、彼女の幼い頃からの世話役であり現メルデル家の執事であるセドと言う老人である。

 彼は見た目こそ老人だがその実は赤級の剣士である為、かなりの腕前だ。


 テーブルを挟んでイルーネの正面に座っているロードレン領の公爵。

 クレールの付き人は彼の隣でクッキーを貪っていた。


 それだけなら別に気にする事は無い。

 クッキーが美味しいのだからまぁ仕方がない。

 それで済む話だ。


 気になるのは彼の護衛の見た目である。

 他の護衛と違って、クレールの護衛だけ明らかに幼女なのだ。

 幼女なのだが、彼女の耳はこの場に居る他の人間と違って()()()()()()()()()()()だった。


 ついでに髪の色は白と黒のミックスで瞳の色は綺麗なパンプキン色。

 服は王立第五騎士団の制服を着用している。


「わはははは!! クレール! このクッキー美味しいぞ! クレールも食べろ!!!」


 おまけに小さいのは背だけでは無く、言動も何処か子供じみていた。

 クレールはそんな護衛の頭を撫でながら笑顔で言う。


「パル、いっぱい食べるのは良いけども、あんまり散らかすと掃除の人が大変だから程々にね」


「大丈夫! 汚しても自分で綺麗に出来るから! 杖をブーンって振ってヒョイヒョイすれば片付くから!」


 彼女がそう言って杖を振ると、テーブルの上に散らかっていた食べかすは跡形も無く()()()()

 幼い少女は炎を出して燃やすのでは無く、()()()()瞬間的に蒸発させたのだ。


 それはオーディスですら出来ない遥かに高度な魔術である。


「ヴェ……。何、今の……」


 一連の流れを見ていたソフィアは怪訝な表情と謎の声を出しながら、隣に居るイザベラにコッソリと聞いた。


「ねぇ、イザベラ先輩」


「どうしたのソフィア」


「ずっと気になってたんだけど、クレール公爵の隣に居るエルフの女の子って何者なの? 明らかに私よりも幼いのに、私よりも三億倍くらい魔術のレベルが上なんだけど」


「え、貴方知らないの? あの子は王立第五騎士団の団長、パルウェア・ウールよ」


「えっ、あの子が!? 嘘でしょ!?」


「嘘じゃないわよ。ノクタールと同じ『エルフの賢者』の一人だし、年齢も数十億歳とか言う話よ」


 二人の会話が聞こえていたのか、パルウェアと呼ばれたエルフの少女は耳を上下に動かし、クッキーをリスの様に頬張りながら言った。


「ほみゃあ! 君達、聞こえてるぞモゴゴ!! 乙女の年齢を皆の前で言うなんて酷い!!」


「ご、ごめんなさい!」


「申し訳ありません、パルウェア団長。彼女には私から言っておきますので」


 テンパって謝るソフィアの頭を右手で下げながらイザベラは言う。


「うむ! それなら良い! ……ん? イザベラは謝らないのか……?」


「私は彼女に教えただけですので悪くありません」


「そうか! それなら良い! 良く分からないけどヨシ!」


 イザベラの適当な返答を真に受けたパルウェアは再度、クッキーを食べる作業に戻る。


 そして今度はその流れを見ていたエオル王の護衛。

 王立近衛騎士団の団長であるハイラック・アンデルセンが、頬杖を付きながら欠伸をしている王の耳に口を近づけて困惑しながら尋ねた。


「あの、陛下……」


「んお? 何じゃあハイラック」


「私は今年騎士団長に就任しまして、今回が初の王国統合議会への参加です。おまけにこの一ヶ月近く、陛下のご命令で他の任務をしていたので、今日が統合議会への参加初日なのですが……」


「うむうむ。それでどした?」


「その、毎年この様な……。何と言うかこう、緩い雰囲気で議会というのは行われているのでしょうか……」


 恐る恐るエオル王にそう言ったハイラックの瞳に映っているモノ。


 それは実に様々な光景である。

 普通に考えれば国の行く末を決める議会で『様々』な光景が映っているのはおかしいが、事実として彼の目にはそう言った類のモノが映っているのだ。


 護衛が会議中に私語で談笑しているのもそうだが、それを優に超える異常な光景……。


 例えば彼の左前に居るルウィン。

 彼は会議中だと言うのに、何かの魔導書を顔に置き、アイマスク代わりにして寝ているのだ。


 公爵の一人が会議中に寝ていては、その公爵の領地も底が知れる。

 そう思われても仕方がない。


 だが、それは『一人だけ』が寝ていた場合である。


 ルウィンの二つ左に居るイルーネと、その向かい側に居るクレールは、お互いの領地の騎士団達を活用して合同演習をしようと話していた。

 それだけ聞くとルウィンと違って真面目に議会に参加している様にも思えるが、本当の思惑は別にあるのだ。


 演習の表向きの目的は『自分の領地の騎士団の技量等の向上』だが、彼等の真の目的は合同演習を利用しての会食である。


 残った二人の公爵、ヘンリーとセイラス。

 彼等もまた、今日の議会が終わった後に何処で会食をしようかと話し合っていた。


 どいつもこいつも碌でも無い、公爵と言えど所詮は常識など存在しない地方の田舎者なのか――

 これだから田舎者は――


 と言う風にハイラックが思えたなら、どれほど幸せだっただろう。


 ハイラックにとって最後の砦とも言える主、エオル王。

 彼は新聞を読むフリをして内側に仕込んだ、王都の有名な画家が描いた女の裸体の絵を真剣な表情で眺めているのだ。


 ハイラックはこの部屋では、6人の頂点権力者がこの国の行く末を真面目に議論をしているのだと思っていた。

 けれど、現実は違ったのだ。

 彼の思い描いていた理想と、実際に目の前で行わているモノは激しく乖離しているのである。


 もうお分かりだろう。

 既にこれは議会の体を成していないのである。

 ただ5人の公爵と1人の王が集まって、お茶をシバきながら寛いでいるだけなのだ。


 だからハイラックはエオル王に質問をしたのだ。

『国民の税金を使って開かれている議会なのに、こんな風に遊んでいるだけで良いのか』という意味を込めて。


 エオル王はハイラックの質問を受けて目を丸くする。

 けれど、すぐに腹を抱えて笑いだしてしまった。


 彼はしばらく笑った後、芸術的な絵画をテーブルに置いてから、ハイラックを見て言う。


「のうハイラック、確かにワシらは今日一日ずっとここでボケーっとしちょる。けどな、別にやる事が終わってないのに遊んでいる訳では無いのじゃ」


「……と言いますと?」


「お前さんは昨日までの議会に居なかったから知らんじゃろうが、今年の分の議題は既に、昨日の時点で全部話し終わってるんじゃよ」


「え、あの量の議題をですか? 私が最初に見た時は部屋を埋め尽くす量の要望書とか手配書とか予算案とかがあった気がするのですが」


「それを全部終わらせたって言っとるんじゃ。何じゃ、もしかしてお前……。ワシらの事を疑っちょるのか?」


「まさか! 滅相もございません!! 我が主を、我が王を疑うなど、そんな事は決してありません!」


 全力で頭を下げながらハイラックはエオル王の言葉を否定する。

 イエスマンであり、王の忠実な騎士である彼にとっては、エオル王が「空は赤い」と言ったら赤い。

 それに、議題が終わってるから寛いでいる分には、何も言う事は無いのだ。


 それならそれで別の事に時間を使った方が良い気もするが、ただの護衛である自分がとやかく言う事では無い――


 なんて事を思ったハイラックの内心を察したのか、二人の会話を聞いていたセイラスがハイラックに言った。


「おい、()()()()()()()()()()()。お前、俺達がただここで休んでるだけだって思ったな? もっと働けよって」


「……!? い、いえ!! 私はそんな――」


 図星を突かれてハイラックは慌てる。

 そんな彼を見て笑いながらセイラスは続けた。


「良いか? 俺達がここでこうしてペチャクチャ話してんのも立派な仕事なんだ。くっちゃべってるだけでどこか仕事か分からねえだろうから教えてやるよ。おい、オルニルトン」


「はっ」


 セイラスに名前を呼ばれた彼の護衛。

 黒い肌と2メートルの身長を持ち、ドレッドヘアで色の濃い丸メガネをしたイカツイ男。

 王立第三騎士団の団長のオルニルトンは、短く返事をした後、主であるセイラスの代わりに答えた。


「この場は年に1回、この国の最高権力者が集う唯一の機会だ。そこで真面目にこの国の政策だけを話し合うのも勿論良い。だが、それだけでは勿体ないだろう」


「勿体ないとは?」


「ライン歴457年。クロード王国はかつて、テルサス・レイル、カノ・メルデル、ハルストレム・ロードレン、ヴァル・リードをそれぞれ王とした国々と争っていた。そして劣勢になったクロード王国はトルーマの民の街を治めるルウィン様に助けを求めた」


「あぁ、()()()()()()の話か。この国の民なら誰でも知っている歴史だ。陛下のご先祖様が当時()()()()()『青薔薇騎士団』と、その時はまだ、ただの族長であったルウィン様と手を組み、劣勢を覆して全ての国との戦争に勝利した話だろう」


「そうだ。勝利した当時のクロード王は敗戦国の王と、その一族を処刑しようした。だが、ルウィン様はそれを阻止し、彼等の国をクロード王国の領土とし、彼等には今まで通り自らの領土を『公爵』として治めて貰う様にクロード王を説得した」


 オルニルトンが話しているのはクロード王国の生まれなら誰でも知っている、現在のクロード王国の『五公一王』の統治形式になった経緯である。


 その話と公爵達が今現在遊んでいる事、何の関係があるのだろうか。


 いまいちピンと来ないハイラックは、最後までオルニルトンの話を聞くことにする。


「そうして戦は終わり、この国には平和が訪れた。争いではなく多民族との共存を選んだルウィン様のお陰で今、我々はこうしてここに居る。勿論、当時の人間全員が全員納得してクロード王国の一部になった訳では無い。定期的に戦争をしようだのと抜かしていた奴も居たと、セイラス様の家にある書物には書かれていた。だが、今や誰も独立しようなんて思っていない」


「……つまり?」


「我々は数多の確執を、数百年という時間と多くの世代を経て解消した。こうして雑談とティータイムをしながら遊びの予定を立てられる程にな。その理由が正にここにある。こうして余った時間で我々は地道に対話を積み重ねて来たんだ。我々は対話の果てに今の関係を築いた。そしてそれはこれからも変わらないだろう。その証拠として当代の公爵閣下達は皆、シルバーアーク領の大学を出た友人で――」


「話が長えよオルニルトン」


 自分から頼んでおきながら聞くのに飽きたセイラスは、オルニルトンの言葉を途中でぶった切った。

 そして最後の美味しい所だけを持って行く事にする。


「つまりだ。お前からは遊んでる様に見えても、俺達の過去を考えて長い目で見ればこの無駄な時間に、未来の子供達が平和に楽しく暮らせるかどうかが懸かってるって事だよ。何百年も前はこの統合議会で()()()()()()鹿()()()が居るってルウィン先生も言ってたしよ」


 ハイラックはセイラスの言葉を聞いて納得した。

 一見無駄に見えるからと言って、それが本当に無駄であるとは限らないのだ。


 彼は己の思慮の浅さ恥じて無言で俯くと共に、より一層物事を深く考える癖を付けようと決意した。


 だが、そんな謙虚で向上心に溢れた者が居る一方。

 セイラスの言葉を聞いてイラッとした者も居た。


「おい、セイラス。お前、格好良く決めたつもりかも知れねえが、最後の一言で全部台無しだぞ。昔っから一言お前は余計なんだよ。俺の家の先祖を悪く言うな」


 それはヘンリーである。

 彼は自分の先祖を流れで揶揄された事に少しだけ腹を立てたのだ。


 が、そんなヘンリーを見て更にニヤつきながらセイラスは言う。


「おいおい、何だよヘンリー。会った事もねえ先祖の悪口言われてキレてんのか? 俺なんて曾祖父さんの墓に供える物を忘れたから、代わりに近くにあった犬の糞を置いといたぞ」


「その例えは良く分からんが、お前と俺の感性が同じだと思うな」


「そうかねぇ~。個人的には家族の悪口よりも馬鹿を見てる方がイライラするけどな」


「そうか、だったら鏡を見て来ると良い。そこに世界で一番の馬鹿が映っているぞ」


 絶妙な返答をするヘンリー。

 彼の言葉を隣で聞いていたイルーネは、バシバシとヘンリーの肩を叩いて笑いながら言った。


「あはははは!!! それ言えてるわね!! セド、今すぐ鏡を持って来てセイラスに向けなさい! 面白いのが見れるわよ! あっはっはっはっは!! ばっ、馬鹿が鏡に映るわよ! あははははは!!!」


「イルーネお嬢様、流石に失礼ですぞ」


「そうだよイルーネ。二人の喧嘩にいつも首突っ込んでややこしくするんだから。たまには大人しくしてなよ」


 イルーネは執事のセドと公爵のクレールに煽る様な行動を咎められるも、尚も笑い続けている。

 一方、セイラスはカップに注がれたお茶をドヤ顔で飲みながら、自分の護衛であるオルニルトンに聞いた。


「ふっ。オルニルトン。俺が鏡を見たら何が映ると思う」


「馬鹿が映ります」


「そうか。お前が言うなら間違いないな。すまないなヘンリー。非礼を詫びよう」


 一連の会話で非があるのは誰の目から見てもセイラスだった。

 それを最も信頼する部下に直接言われた彼は逆上するのでは無く、ありのままを受け入れて反省する。

 だからこそ彼はこんな性格でも公爵になれたし、他の公爵とも未だに友人としてやって行けているのだろう。


 ヘンリーも形式上怒りはしたが、本気でセイラスの事を嫌っている訳では無い。

 彼は昔からそうなのだ、今更怒った所で何一つ得など無い。

 だから彼も、溜息を付いた後にセイラスに言った。


()()()()()まあ良い。だが、今日の間は俺の家族の悪口は許さん。もしも再度暴言を吐いたら後日、貴様の街にレイモンドを送るからな」


「ぶははははは!! おい、オルニルトン! 『逆月』のレイモンドとウチの騎士団が戦ったらどっちが勝つ!」


「余裕でレイモンド・アッシュが勝ちます。そもそも、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と戦って勝てるのはサムライかマルドロックくらいだと言われていますから」


「オルニルトン団長。レイモンド団長はイカれてません。変わっているだけです。今の言葉、取り消して下さい」


 オルニルトンのレイモンドへの言い草に少しだけ思う所があったイザベラは、彼の話が終わると同時にオルニルトンを睨みながら訂正を要求する。

 特別レイモンドの事が好きという訳では無いものの、やはり、自分の信頼する上司を貶されれば誰だって多少の憤りは覚えるものだ。


 オルニルトンは表情を一切変えぬまま、イザベラの主張を受け入れる。


「そうだな。確かに今の私の言葉には配慮が足りなかった。申し訳ない、イザベラ・グ・レイータ」


「いえ。私こそ立場を弁えず命令する様な口調で申し訳ありません。訂正、感謝します」


「何だイザベラ。お前、いつからレイモンドと出来てたんだ? そういうのはしっかりと報告しろ。式の準備とか戸籍の関係とか色々手続きが面倒なんだ」


 急に話に混ざって来たと思ったら、何やら変な勘違いをしているヘンリー。

 そんな彼にイザベラは冷たい目を向けながら言う。


「違います。ヘンリー様まで変な事を言わないで下さい」


 妙な勘違いをするのがヘンリーだけならまだ良かった。

 問題は彼以外にも的外れな解釈をする人間が、大変嘆かわしい事にこの場に多数存在している点だ。


「えぇ!? イザベラ先輩、レイモンド団長と結婚するの!? どどど、どうしよ!! 青薔薇騎士団のみんなに教えないと……!!」


「おめでとうイザベラ!! セド、今すぐ花束と良い感じの贈答品を見繕っておきなさい!!」


「承知致しましたイルーネお嬢様。本日の議会が終わり次第、王都の職人へ連絡致します」


「わはははは!! 魔眼持ち同士でお似合いのカップルだな、イザベラ!」


「パル、からかうみたいな言い方はやめなよ。でも本当におめでとうイザベラ。幸せにね」


「ぶっ!! ぶはははははは!!」


「セイラス様、笑うのは失礼では? 結婚が決まったのです、拍手も追加しましょう」


「ほぉ! マジか! めでたいのう!!」


「おめでとうございます、イザベラ。貴方とレイモンドに祝福があらん事を」


「ぐごー」


 等々、セイラスとオルニルトン以外、全員イザベラとレイモンドが結婚したのだと思い込んでいた。


 本日は王国統合議会の最終日。

 今日中に誤解を解かなくては、国中に話題が広がって後々面倒な事になるだろう。


 これは誤解を解くのに時間がかかりそうだな――


「はぁ……」


 そう思いながらイザベラは溜息を付く。

 セイラスとオルニルトンの二名はイザベラが困っているのを楽しそうに眺めて茶々を入れているので、誤解を解く協力はしてくれないだろう。


 マジで性格悪いなコイツラ――


 なんて事を心の中で思いながら、彼女は皆の誤解を解く為に渋々自分とレイモンドの関係性を話し始める。


 尚、最後までルウィンは本で顔を覆って寝ていたのだった。

 その姿は流石エリザベスの父親と言うだけある。


https://40555.mitemin.net/i874497/


挿絵(By みてみん)

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