僕、年越し合宿に参加する
僕が、塾「サンクチュアリ」に出会って、初めての年越しだ。
年越し合宿。
年越しは、マミ先生やヒロミ、そして塾生たちといっしょに教室で迎えた。
テレビはないのだが、先生がテレビを持ち込んで、紅白歌合戦を見ながら、
年越しそばに、手作りのお菓子やドリンクを持ち込んで、みんなで夜遅くまで楽しんだ。
お菓子やジュースもあったが、それは選択自由で、意識的に避ける人もいれば、楽しむ人もいた。
両親には、「大晦日も遅くまで勉強してくる」という名目で伝えたが、
実際のところ、たしかに、勉強はした。早めに来て、3時間ほどみっちりと集中して。
冬休みの宿題とその直しもしっかり終わらせ、難しかったところは、先輩に教えてもらいながら、出来るようになった。
休み明けのテストも、100点は取れる・・・はず。
塾では、学習だけでなく、生活や寝泊まりもともにしながら、社会や世界や人生や歴史のことについて、ひたすら語り合い、詩をつくりあい、文集を作成し、
塾生同士互いにセミナーを開き、読書会をし、ゼミをし・・・
そうした文化が醸成されていった。
お金の話になるのだが、
塾への入学金は、一万円で、月謝(「参加費」と呼んでいた)は5万円だった。
それは、今後の人生を考えると、決して高くはなかった。
「どうしても行きたい」と両親を説得して、僕は入塾し、そして、学業でもたしかにそれに見合う成果を上げることができた。
いつの間にか、成績は学年の上位をキープし続けていたが、
というのも、この塾では、「学び」がそのまま「遊び」のようにどこまででも没頭できるたぐいの楽しさを有していたので、勉強は最高の娯楽であったからだ。
これで僕は、週のほとんどをこの「学び舎」でたまり場として過ごしながら、互いに切磋琢磨し合い、素晴らしい集中の空間と時間を過ごした。
集中力の優れた人や能力の高い人のそばに行くと、
その人たち発するオーラ・・・量子論的には「フォトン」に包まれて、僕もその天才と言われる人たちと同じ波動でどこまででも学問に取り組むことができた。
そして、ここまでやりこんでいる人間は、自分の学校のなかに誰一人としていない、とすら確信できた。
つまり、僕は「神ってる」状態をたしかに、日々感じ取って自分のものとしていた。
紅白歌合戦が終わると、僕たちは、近くの神社に一年の感謝を伝えに行く。
すでに多くの人が並んで、一年の始まりを今か今かと待ちわびている。
短く参拝を済ませると、僕たちは塾に戻り、
互いにおめでとうのあいさつを交わし、
そこで、一時間ほど祈りをささげることにした。
「宇宙万物のすべては、大いなる一つの生命から生み出されており、私たち一人一人もその生命の一部なのよ」と先生は繰り返し伝えていた。
僕たちの身体や精神は素粒子でできているが、意識もまた「フォトン」という光の素でできており、
時空を超えて影響を及ぼしているということ。
これまでの宇宙の出来事のすべてが、ゼロポイントフィールドに蓄えられており、またそのフィールドは至る所にあり、私たちはフィールドの中に生かされているということ。
天才と言われる人々は、このフィールドの無限のエネルギーと同調する術を身につけていた人であったということ。
私たちのうちに、本当に不思議な空気、波動が漂っていた。
塾生のある一人が病気を抱えていたので、僕たちは輪になって彼のために祈りをささげたところ、「奇跡」と言っても差し支えない現象が起きた。
彼の病気は、雲が消えるように消えてしまったのである。
彼の心の中からも、スッキリとした、何かが落ちたという確かな感覚があった。
僕たちは、それぞれ、固有のインスピレーションを受け取った。
そのインスピレーションにつながり、今年の実現したいビジョンを描いていく、というわけだが、
僕のなかに降ってきた、浮かんできたことは、
数値や物質的な内容以前に、「状態」であった。
何を具体的に成し遂げたいか、ということよりも、
この一年間は、この塾のような場所で、素晴らしい勉強と、表現と挑戦に没頭してただ楽しんでワクワクして感謝で満ち溢れている状態であるということ。
そのことであった。
健康であるということ。
また、素晴らしい仲間に囲まれて、おだやかな心でいられること。
僕にとって、この塾という環境、そして、マミ先生や、ヒロミに声をかけられてここに連れてこられ、本当の自分自身を取りもどすことができるようになったことはとても大きいことだった。
まずは、「状態」を先に作ること、
その状態で「ある」ことこそが、第一のことであり、
状況や現実は、僕自身の「在り方」「状態」から変わっていくのだということを、僕は内なる知恵から学んだ。
夜遅くまで、僕たちは熱く語り合い、
近くの温泉でもサウナでも、最高な気分で時を過ごし、
塾の畳の教室で、布団を敷いて、心地よい眠りについた。
年の初めも、マミ先生の感謝のルーティンは続き、
そして、新年のあいさつと、また一時間の祈りの時をもった。
僕たちは、今年の誓いを書き、それに血判を押し、天に捧げた。
「本当にその通りになっていく」。
僕はこのビジョンをありありと確信できた。
「マミ先生は?」
サトミが聞く。
「生徒をもっと増やすんですか?校舎を増やすんですか?」
「ううん。」
と先生は首を振る。
「自分自身の人生のミッションを果たしていくことが出来たら・・・」




