僕、ナチュラルになる
僕たち三人は、長い間、庭園をめぐり、様々な花や草木を見て楽しんだ。
物語は、全く進まなかった。
すぐ先に、数秒あとに何が起こるか、それすらも分からなかった。
だけど、それでよかった。
その都度その都度、僕たちは、ともに、その瞬間瞬間を味わうことを楽しんだ。
空の青さ、風の香り、それらと共に、駆けること、踊ること・・・
それらのすべてに意味なんてなかった。
僕は、ただ無邪気にヒロミと笑い合った。
マミ先生は、それを見て笑っていた。
そうか、そんなことでいいのだ。
僕はそんなことを思った。
何かを考えて、紡ぎ合わせることではなくて、いつもいつも、その瞬間瞬間を集中して、生命を紡いでいこう。
そうしたら、その先どこに行くかなんて、わからない、わからないけれど、
だからこそそれが面白いんじゃないか、と思う。
僕たちは、子どものように、はしゃぎまわり、追いかけまわった。
日が暮れるのはあっという間だった。
マミ先生は、サンクチュアリに戻り、スーパーで夕食の材料を買うことにした。
ぼくとヒロミも一緒に行くことにした。
マミ先生は、食べ物について、私たちの精神と肉体にとって最もよいものは何か、
そして取るべきでないもの、避けるべきものを知っていた。
私たちの文明の中にあふれている8~9割がいわゆる毒素に満ちていて、私たちの精神や体を病ませているものだということ、その見分け方もよく分かっていた。
その上で、彼女は、食材を厳選しながら、すべて手作りで塾生のために毎晩料理を振る舞うのであった。
「サンクチュアリの子どもたちは、だから、イライラしたり心の病に苦しむ子は少ないの。
仮にいたとしても、どんどん良くなっていくの。」
ヒロミはマミ先生の食事を評してそう言った。
「それは、大地に足をつけた生き方をしているから・・・。」
瞑想は、マミ先生の習慣であった。
ヒロミも、塾生たちもそれに加わる時がある。
そのなかで、私たちの心と体はリセットされ、私たちを形作り生かしている「大いなる叡智」から、真に必要なものを直感として受け取り、それを選択していくことができるのだ。
そして、それは多くの場合、当たっており、最善の選択であり、
私たちが頭で判断するよりも、より賢い道を示してくれることは多いのだ。
僕たちは、そうした瞬間瞬間がとても心地よかった。
僕たちはその空間と時間の一瞬一瞬を楽しんだ。
僕たちは、この大きな知恵の海の中で、互いに楽しく語り合うことを覚えた。