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サレン姫との出会い

 父上と別れてから、数時間がたった。

 最初はもう6年も経ったのに未だに貴族と言う身分になれていなかったので、話が合うか不安だった。

 だが話始めると勉強や家族への愚痴など前世で言う普通の子供がするようか話ばかりだったので、意外と気にならなくなっていた。


「──でね、リカルドったらひどいのよ──」

「そ、それはひどいですね」

「へぇ、セナはそんな教え方はしなかったなぁ」


 中でも話があったのは、次々と話題を出して喋ってくれるミリアムと大人しいが聞き上手なラルゴの二人。

 ミリアムが勉強の事や親の事などの不満や自慢話をしてくれて、そこから話を広げてくれるラルゴのお陰で話題が途切れることもなく、話が盛り上がっていた。

 今まで年上の人としか会わなかったのもあって、同年代の友達と話す事がとても新鮮に感じる。


「あー、ごほん……皆! 今夜の交流会は楽しんでもらえているかな?」


 二人と話をしていると、突然ガゼル王の声が響き渡った。

 声の方向を見ると、最初に降りてきた階段の上から話しているようだ。

 王の側でサレン姫がいる……が、何故か服の裾を握って俯いていた。

 何かあったのかな?


「サレンのお披露目として開かせてもらった交流会だったが、私も楽しませてもらった。しかし、時間は有限。名残惜しいがどうやら閉会の時間になってしまったようだ」


 どうやら終わりの時間が来たらしく、閉会の挨拶をしているようだ。


「今後、サレンは王族として顔を見る機会が増える。皆の支えあってこその王族だ。これからもよろしく頼む。……では、これにて交流会を閉会とさせて頂く!」


 王様の挨拶が終わると大きな拍手と共に、会場の人達は徐々に帰り始めた。

 しばらくすると、子供を迎えに来た親と思われる人達が僕達の方に来るようになった。

 その中から目付きの鋭い男性とおっとりした女性の二人が此方に向かって歩いてくる。


「ミリアム」

「あら、お父様」


「お待たせ、ラルゴ」

「母様」


 どうやらミリアムのお父さんとラルゴのお母さんのようだ。

 ラルゴはお母さんの元へ駆け寄ったが、ミリアムは動かなかった。


「お父様! 私、友達が出来たのよ! だからもうちょっと話をしても……」

「駄目だ。リカルドも心配している筈だからな」

「むぅ……もうちょっとお話したかったのに……」


 ミリアムは少し不服にしながらもお父さんの側に歩いていった。

 ミリアム本当に話をするのが好きなんだなぁ。


「娘の話相手になってくれてありがとう。騒がしいとは思うが、これからもミリアムと仲良くしてもらえれば嬉しい」

「ラルゴとも仲良くして貰ってありがとう。人と話すのが少し苦手な子だがら、また会った時は話かけてくれると嬉しいわ」


 どうやら二人の親はミリアム達の事を相当心配している様子。

 ここは安心させておこう。

 僕も楽しかったしね。


「いえ、僕も二人と話せて楽しかったです」

「ははは。そう言って貰えると助かるよ。では、私たちはお先に失礼するよ」

「これからもラルゴをよろしくね」


「ウィルくん。またね」

「今度会うときはもっとお話しましょうね!」


「うん。楽しみにしてるよ」


 そうしてミリアム達が見えなくなるまで、手を振って見送った。

 気付けば子供用テーブルに居るのは僕一人だけになっていた。

 うーん、このまま待っておくべきか、それとも父上を探しに行くべきか……。


 少し悩んだ結果、探しに行く事に決めた僕は人が少なくなった会場を歩きだした。



 ──


「はぁ……父上はどこにいるんだろう……」


 人が少なくなっているとはいえ、6歳の僕ではとてつもなく広い会場で人を探すのはかなり疲れてきた。

 どこか休む場所はないかな?


 父上を探していたはずが、いつの間にか休憩場所を探し始めていた。

 キョロキョロと周りを見渡すと、外に庭園があることに気が付いた。

 そして中央にある大きな噴水の前にベンチがあるのを見つけた。

 よし、あそこで少し休もう。


 一瞬でそう判断すると、重たい足を動かして庭園へ向かう。

 外は過ごしやすい気温で新鮮な空気がおいしい。

 ベンチに座ると、緊張の糸が切れたのか一気に体から力が抜けていく。

 思えば招待状を貰ってから今まで殆ど心休まる時間もなかったからなぁ。


 でもやっと交流会を乗り越えたと思うと、幾分か気が楽になってきた。


「うぅ……」

「ん?」


 しばらく休んでいると不意に声が聞こえた気がした。

 それは噴水の音で掻き消えそうな程小さい声だったが、泣いているようにも聞こえた。

 ここでじっとしとおく訳にもいかず、立ち上がって声のした方向……噴水の反対側をそっと覗き込んだ。


「サ……サレン姫?」

「うぇ?」


 しまった! 驚きのあまり、思わず声を出してしまった!?


 漏れ出た僕の声に気付いたサレン姫はすぐに此方の方に顔を向けると、僕の姿を見て固まっていた。

ここまでのご閲覧ありがとうございます。前回投稿からとても時間がかかってしまい申し訳ありません。色んな話が浮かんでは消えている状態で中々先に進めませんでした。なんとか続けていきたいとは思っていますので、よろしくお願いいたします。

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