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第67話 実験終了と旅再開

「シェビエルさん、後は頼みましたよ」


「カゲテル様……お任せください!

 お帰りをお待ちしております!」


「お帰りっていうか、まぁ、また遊びに来るよ!」


「皆またね~!」「またな!」


 シェビエルさん、フォスト村にはここにいる間に完成した連絡装置を置いておくので、いつでも連絡を取り合うことが可能だ。

 今までの物と異なり、文字ではなく音声で会話が可能になった。

 スライム間通話なので、スライムが居ないと連絡が取れないことが欠点だ。

 王国の各地、そしてフォストの村にもスライムは配置してある。

 聖国の各地にも現在偵察部隊を展開している。

 スライム達の隠密は悪魔の力を取り入れたことでかなり強力なものになっている。

 余程索敵能力の高い者でなければ痕跡を感じることも出来ないだろう。

 本気の本気を出すと、スライム同士でも苦労する。


「その訓練としてかくれんぼが流行ったりしたんだよなぁ」


 なお、俺はあっという間に発見されてしまう……

 一応俺もスライムマスターの力で一流の隠匿行動は可能なんだけど、レーダーの性能が良すぎる……


「今も後ろについて来ている人の伸びた髪を切ってあげてるけど、気が付かれてないな」


「またそういうことして……」


 最初はちょっと美味しいものをそっと置いておいたりしてたけど、最近は身なりを整えてあげたりどこまでやれるか楽しんでいる。

 やりすぎて最初の頃は驚かれたんだけど、今は反応されなくなってきた……

 仕事とはいえ、お疲れさまです……


「次の目的地は北部海岸沿いの大都市ノースルだね」


 聖都を流れる大河が海に開口する場所にある街で、川を使った都からの物流と、海を利用した他国との貿易の中心になっている。

 少し距離は有るが、ぜひとも寄りたい場所だ。

 他国の文化が交わる場所で、新たな食と酒を探求する!


「そういえば悪魔とかのしっぽは掴めたの?」


「いや、特に気配もないね」


「何度もあんなことがあったら困るけど、なにもないのも不気味ね」


「ただなぁ……この国、貧しいんだよね……」


 各地にスライムを送ってわかったことは、この国、地方と中央の格差が激しい……

 理由は、まぁ、宗教だよね。

 神を敬っているのに、人が調子に乗るっていう、なんというか、人の業を感じる。

 厳しい生活を過ごしていても、神から与えられた試練だと言われたり……

 贅沢は敵だと教えられたり……

 衣食住が満ち足りて人は幸せになれると思うのだが……


「また、助けちゃえばいいじゃない」


「簡単に言うけど……まぁ、スライム達の力をお借りすれば、簡単だけど」


「またそういう言い方、貴方の力よ貴方の!」


「そうだよ、にーちゃんが居なければスライムは働けないんだから!」


「にーちゃんの力だよ!」


「……そうだな……どうにもこの気性は変わらないな」


「ま、それがいいところでもあるんだけどね」


「またいちゃつくのかな?」


「僕たちトウエンに行こうか?」


「ば、ばかっ!」


 旅が再開すると、どこか懐かしいやり取りが繰り返される。

 とりあえず今回の実験で、スライムによる村作りは、非常に、ヤバい。

 ということは実証した。

 酒作りも蒸留や濾過という風味づけに夢中になっていた俺の頭を叩きつける行程の重要性を再確認できた。

 純度の高い酒精を追い求めた酒は、それはそれで非常に危険物だが、純粋なアルコールの風味を知るからこそ、最適なフレーバーが思いつくのかもしれない。

 大変に有意義でした。


 次の街ノースルはもう一つ調べたいことがあって、沖合に島があるんだけど、どうやらその地下に建造物があって、遺跡っぽいんだよね。


「入り口が海中に有るんだよね?」


「そう、かなり深いから現在工事中で、入れるようになったら中も調べてみたい」


「海の深いとこまで潜るの?」


「トウエンを使えば問題ないけど、遺跡の内部が人間が生きられるかどうかとか慎重に調べてからだね」


「ほんと、カゲテルは凄いね」


「冒険が好きなだけだよ」


「私も手伝えればいいのにな」


「いやいやいや、何言ってるの、十二分に手伝ってもらえてるよ。

 それに俺がここに居られるのはローザが居てくれるからだからね。

 家族としてローザが居てくれるから俺は安心して冒険してるんだから、あ、も、もちろんマシューとネイサンも大切な家族だからな!」


「いいよ-無理してフォローしなくてー」


「もー、マシュー邪魔しちゃ駄目だよー」


 にやにやしてる二人も、本当に大好きだ。


「ローザも、愛してるよ」


「……ばかっ……」


「コウメイ、オイラが馬車うごかすよー」


「わかりました」


「ほらほら、にーちゃんもねーちゃんも、じゃまじゃま!

 トウエンにでも行っててよ」


 二人の心意気を無駄にするのも悪いから、俺はローザを抱き上げてトウエンに飛び込むのであった。


 次の目的地ノースルまでの道のりは、もう少し掛かりそうだった。




 



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