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第63話 変貌

 コウメイを通して送られてくる周囲のイメージにコウメイと相談しながら指示を出していく。

 スライム達はその能力、魔法などを利用してその指示を実行していく。

 人海戦術ならぬスライム海戦術!


「近くの山地に温泉があるよね、使えないかな?」


『ここは丘陵地なのですが、森から川を引き込んで水車を利用した揚水システムを作りましょう』


「いいね、お風呂もそうだけどここは北部の村だし暖房にも使えるね」


『スライムの体液を使ったコーティングで熱を維持して村まで引き込むようにします』


「ついでに周囲も堀にして下水も管理しよう。防壁もここまで広げて、守りやすいように上も移動できるよにして、近くには遠見台を置いて……今は人が足りないだろうけど、そのうちね」


『ここは農地にして、こっちには森で捕らえた家畜を管理できるようにして』


「最寄りの街までの道の整備もしておこう……あと、この近くの山賊のアジトも制圧して賞金は足しにしておこう。お、宝もまぁまぁ溜め込んでるじゃないか、全くもってけしからんから没収、素材にして村で使う道具に変えといて」


『わかりました……おっと、例の地に潜る魔物の巣を発見しました。

 なるほど、モグラに似た魔物ですね、お、別の所のはワームですね。

 確かにうじゃうじゃ居ます。頂きますね』


「そのままある程度の範囲の巣を潰しておこう」


『ここ、鉱脈ですね。頂きます』


「他国の資源だけど……ま、いっか」


『お、まとまった果実のエリアがありました。

 一部をそのまま村に植え替えちゃいますね。

 間伐することで森もまた豊かになります。

 森全体も間伐して、冬の間の薪や木炭に加工しておきます』


「食材管理のための氷室も作ろうか、あのスライム液を利用した」


『そうですね、冬場はかなり冷えるようなのでそれを、夏場は山の上部に製氷洞を作って、そこまでの道の整備もしておきましょう』


「木材や石材も倉庫を作って用意してっと……」


『魔物討伐で大量に毛皮などの素材も手に入ったので、倉庫に入れておきます。

 食用にできそうなものは干し肉等にしておきますね』


「……ここまでやるなら、ここ、丘陵地である必要なくない?

 それと、既存の家の配置がまばらで道も引きづらい」


『均して区画整備しますか? それから道をひいていく感じで』


「起こさないで出来る?」


『もちろんです』


「やっちゃえ」


『はい、それに伴っていくつかの計画を修正しておきます』


「ふぁーあ、それじゃあ後は頼むねー、おやすみー」


『おやすみなさいませ、マスター』




「た、大変ですカゲテル様!! 村、村……なんだよな?

 いや、もう、とにかく、大変なんです!!」


「ああ、おはようシェビエルさん……大きな声出してどうしたの?」


「す、すみません……いや、その、外が……!」


「終わったのコウメイ?」


「はい、予定通り終わりました」


「よし、それじゃあ視察と行きますか」


 泊めてもらったシャビエルさんの家を出ると、昨日と同じ村にいるとは信じられない光景が広がっていた。騒ぎを聞きつけた村人が外に出て驚いている。

 そりゃそうだよね、寝ている間に家が移動してるわ、丘だったのに平地になって、村の敷地は広大になっている。

 知らない建物はいくつも立っているし、よく耕された農地に、急に現れた果樹園や動物たち……


「うむ、いい仕事をした!」


「ま、まさか……これも……カゲテル様が?」


「スライムと神様の思し召しだよ」


 美しく舗装された真っ直ぐな道を歩きながら各場所の説明をしていく。

 水車や風車などを利用して、出来る限り労力をかけずに維持ができるように様々な工夫が各所にされており、高齢者や子供であっても労働力となってこの村を支えられるように配慮してくれている。


「……信じられません……現実に目の前に起きていても……」


「コウメイちゃん、凄いのね」


「この力が有れば、領地とか与えられてもなんとかなるね」


「でっかい風呂入りたい!」「僕もー」


「そうだな、皆で入るか? シェビエルさんもいかがですか?

 ローザも女性たちに説明してもらっていいかな?」


「はい!」


 天然温泉のかけ流し、戸を開ければ正面に山の景色が広がる。


「広い風呂は良いねぇ……」


「いいかぁ、ちゃんと身体を洗ってから湯船に入るんだぞ」


「これを使うと泡が出るからこうやるんだよー」


 マシューとネイサンが村の子供達やお年寄りに使い方を教えてくれている。

 身体を拭くことが中心の人たちにとって、こんな風呂は夢の様だろう。


「配管を家の下に通しているから、冬場でも地面が温かい。

 スライムの体液を乾かしたもので表面を覆っているから水漏れもないし、かなり耐久性がある」


「こ、これは……たまりませんね……神に感謝を……」


「夜に星空を見ながら酒でも飲めば……」


「極楽ですね……」


「腰が温まるのぉ……」


 温泉は大変好評だった。

 女性陣も大喜びだったようで、本当に良かった。


「カゲテル様、私なんかよりカゲテル様がこの地をお収めください!」


「いやいやいや、それは無理だって。

 俺は旅をしてるんだし、そういうの興味ないし、設備上手く使って、上手くやってよ。

 大丈夫、シェビエルさんは良い村長になるよ」


「か、カゲテル様……私は……私は……」


「泣かないでください。ああ、そうだ。

 忘れてましたけど、山賊がいたので追加で牢屋に放り込んでありますので、街の方へ手配をよろしくおねがいします」


「もう、何を言われても驚きませんぞ!」


 その山賊が周囲でも有名な黒煙団だったことで、シェビエルさんはひっくり返って気絶していた。

 こうして、スライムのこういった面での有能さもしっかりと確認できたのであった。

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