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第53話 戦い中

「気をつけろよ、これからだ!」


 遠距離中距離戦を制したが、まだまだ油断はしない。


「敵の数はまだまだ多い、じっくりと攻めるぞ!」


「カゲテル! 間に合ったか!」


「俺も間に合ったな!」


 ジンゲンとケイジが合流する。

 ローザは後方から容赦のない射撃が行っている。

 すでに制圧射撃になっているような気もする、そのおかげで敵軍を釘付けにしている。

 あまり賢くない雑兵の死霊兵たちは次々と動き出して吹き飛ばされている。

 騎士爵レベルのものも、数発耐えてまた守りに徹する状態だ。

 

「ローザ、戦闘にならなそうだから少し弱めてもらえる?」


「わかりました」


 息つく暇もない連射が必死になれば避けられなくもない連鎖に変わる。


「ジンゲン、ケイジ、ナイツ達も行くぞ!」


 足を止められた敵軍に3方から攻め立てる。

 俺たちが戦っていても、ローザ隊の弓やクイーン隊の魔法が降り注ぐが、俺達には当たらない。

 もちろん最初は非常に恐ろしいものだったが、人間死ぬ気なれば慣れるものだ。

 むしろ様々なフォローをしてくれるので、慣れると非常に助かる。

 これも全て、コウメイによる視界共有管理のおかげだ。


「おっと」


 鋭い槍の一突きが敵陣を進む俺の行く手を阻んだ。

 騎士爵悪魔が3体、ジンゲン、ケイジもそれぞれ騎士悪魔を相手にしている。

 今までであった隊の中でも圧倒的に爵位持ち悪魔が多い。

 

 死霊兵と悪魔の違いは単純に魔力・魔素量だ。

 桁違いに多い魔力を持つ個体はなんていうか、作りが立派だ。

 ひと目で分かる。

 そんな悪魔の中で、さらに桁違いに魔力量が多いと爵位が上がっていく。

 そして死霊や自分よりも下位の悪魔を従えているので、たいていひと目で分かる。

 目立つからローザによく狙撃されている。

 ただ、完全に魔力をコントロールしていることも多く、魔力量だけで視ていると、突然感知できなくなったりするので、複数の目を使って把握することが絶対に必要だ。


【いい加減にしろぉ!!】


 強力な熱波が叩きつけられる。

 即座にクイーンの部隊が防いでくれた。

 

「膨大な魔力が有れば、術式組まずに叩きつけるなんて使い方もあるのか……」


 うちのメンツでできるのは俺かクイーンだな……覚えておこう。

 

【ええい! このような下等な生物に良いようにやられおって!!】


 あーあ、味方に当たり散らし始めている……こういう上司は慕われないぞ。

 悪魔に上司部下の関係があるのかは知らないが……


 それでも騎士を中心の小隊を組み直し、複数の隊でこちらに当たるために編成し直している。

 戦闘中の隊列の再編成は非常に難しいので、あのデブ悪魔は無能では無いようだ。


【進めぇ!!】


 巨大な障壁によってこちらの遠距離攻撃を防いで味方の攻勢に出るタイミングを作った。


「思い通りにさせるなよ!」


 簡単に分断され各個撃破されるような軍隊には育てていない、もちろんコウメイの指示は俺よりも的確にスライム達に伝達されている。

 お互いの軍が激突し、しばらくするとまるで道が開くようにおれの前から軍勢が除かれデブ悪魔までの道が出来る。

 コウメイからのGoサインが出る。


「流石コウメイ!」


 その道を一直線に悪魔に突撃していく。

 

【小癪な!!】


 強烈な魔法を駆使して俺らの突入を防ごうとするが、さっき学んだ魔力を純粋に放出して魔法を防ぐというやり方を真似させてもらった。


【我らの魔法を人間如きが!?】


 数体の騎士が主を守ろうと無理やり割り込んできたけど、キングがあっさりと倒す。

 強くなったなキング……

 剣だろうが槍だろうが武器なら何でも使えるし、手という概念がないから戦うと非常に厄介なので、敵が弱いというよりは、キングが強い。


「せりゃ!!」


【小癪な!!】


 俺の槍の一撃をジャラジャラと装飾の付いた杖で弾く。

 正直近接戦闘は出来ないと思っていたので、油断したつもりもない一撃を弾かれて少し驚いた。

 杖術は強いから、どうやら少しも油断できない相手のようだ。


【死ねぇ!!】


 高速で魔力の槍が降り注ぐ、魔力を込めた武器で弾きながら、出来る限り距離を開けないように立ち回る。

 魔法の発動に詠唱を使わない高速発動は威力が落ちる代わりに事前の予測が難しい。

 ある程度の耐性は持っているが、燃え盛る火球を土の槍と同じように躱せば身を焦がす。

 きちんと対となる盾を魔力によって作り出す方が安全だが、このデブ悪魔が教えてくれた多くの魔力の力技で防ぐというのは楽でいい。

 魔法に対する意識を割かなくていいおかげで、俺は敵への攻撃に集中できる。

 バカ正直に壁を作って防いでいても、回復力でカバーしきれるとは言え、虚実入り乱れた立ち回りの有効性は、敵が強くなればなるほど大事だ。

 ときには転がるように大げさに避け、あと一歩で仕留められると思わせたりすることも大事だ。

 

「いや、本当にやるな!」


【人間如きが偉そうに!!】


 そう、この悪魔、デブだけど強いんだ。

 魔法の攻撃は雨のごとく、なんとか隙きを突いて攻撃に転じても杖を用いて見事に対応してくる。

 

「仕方ない……」


 俺は、使わずにおいた魔法を使う決心をする。


「ローザ!!」


 俺が叫ぶと同時に光が悪魔を貫……けない、杖でギリギリ受け止められた。

 しかし、俺はすでに魔法を放ちながら横に飛んでいる。

 左右に撹乱しながら大量の魔法を放ちながら攻撃することで、敵は俺の姿を幾度も見失い、完璧だった杖の防御にも穴が出来る。

 さらにはローザの狙撃がその穴を広げていく。


【小癪なぁ!!】


 俺との距離を開けようと後半に熱波の暴風を放つ。


「この技は、もう見たぜ!」


 逆ベクトル、逆属性の魔力を丁寧に組み上げ、まるで魔力の波をすり抜けるように突破する。

 俺を見失っていた悪魔は、静寂をもってその攻撃を抜けるとは露も思わなかっただろう。

 魔法を放った無防備な腕を、俺の刀が切り裂き、真っ青な鮮血が舞った。





 

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