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第52話 魔法比べ

 王都に近づくに連れ、敵の数は増えていく、指揮する悪魔の数や交じる騎士爵も多くなっている。

 東側から進軍した俺達は、王都北東からジンゲン軍、南東からケイジ軍を進め、本軍である俺たちが南北から挟撃を受けないように幅広い面で攻め上がっている。

 Sクラスと言えども、こういう攻め方が出来るのはスライム軍という圧倒的な数があるからだ。

 しかも倒した敵は吸収して自分の力にしていく。

 兵站という概念もない。

 敵からしたら恐ろしいだろうな。


「なんか、急に敵が増えてないか?」


「確かに……ジンゲンさん、ケイジさんはどうですか?」


『うむ、たしかに、敵の数・質共に上がっているな』


『どうやら、敵の中枢に噛みつき始めているか?』


「王都は……まるで魔界が地上に顕現したような姿でした」


『そうか、美しい王都をカゲテルに見せられなくて残念だ』


『儂らはこのまま南北から距離を詰めていく。

 敵兵がそちらに集中するかもしれんが……』


『カゲテル、頼む、王都を取り戻す手助けをしてくれ!』


「もちろん! ローザも張り切ってますから!」


『それは頼もしい!』


「!?」


 遠距離文字通信中に戦場の空気が変化する。

 全員その雰囲気は感じ取っている。


「突然、大群が王都跡から出現しました……すごく、デブが大将っぽい……

 あいつじゃない……でも、子爵よりも上なプレッシャーは感じる。

 伯爵、侯爵か……?」


 大量の火球が生み出され、一斉に周囲に放たれた。


「まずい! バレてる! 撤収!

 ローザ、行ける!?」


 スライム達が影に潜んで移動する。

 悪魔スライムの【影移動】とダンジョンコア収納のあわせ技で、スライム限定だけど、収納間を移動できる。これによって緊急脱出や前線への緊急補充が可能になる。


()()()()から大丈夫です!」


 ローザ隊が一斉に矢を放つ。

 上空を明るくするほどの火球を全て撃ち落としてくれた。


「お返しだ! クイーン嫌がらせするぞ!」


 全スライムの集合をといて、基本魔法を、とにかく数を打ち込む。

 上級の魔物にはノーダメージだが、意趣返しになるだろう。


「空を照らす火球は見事だけどな……空を包み込む火球を見せてやる!!」


 絨毯のようにひかれたスライムが一斉に火球を放つ、それを風でコントロールして、敵軍に降り注がせる。

 火球に紛れて空からスライムで敵を監視する。

 どう捌くか……


【氷塊の嵐よ至れ!】


 巨大な氷の塊が暴風によって大暴れする。

 火球の小さな火では巨大な氷を少し溶かす程度だ、数の差があるが、全ての火が氷の嵐に飲み込まれてしまった。


「クイーン!! 魔法戦だ! ジンゲン、ケイジ、集合する。

 スライム持ってくよ!!」


『わかった』『ああ』


「ローザ、敵の土俵に乗って、ぶっ倒すぞ!」


「はい!」


 悪魔スライムの【融合】によってクイーン指揮下の魔法部隊に、ナイツ部隊が融合する。

 このスキルによって、一点の特徴を全体で強化できる。

 今は、魔法特化だ!


「さて、伯爵様か侯爵様か、悪魔との魔力比べだ……

 頼んだぞコウメイ、クイーン!」


 コウメイは戦闘中はやることが多すぎるので反応はないけど、それでも一生懸命働いていることは知っている。

 俺は、スライムマスターだ。

 全員の頑張りをちゃんと視てやるんだ!!


「撃てー!!」


 先程の火球とは比べ物にならない、巨大な炎をまとった矢が打ち上げられる。

 風の魔法が周囲の大気を取り込み、回転力を上げて敵陣へと降り注ぐ。

 一本一本の矢が防壁だって粉砕する城落としの矢だ。

 今の俺でも、少し魔力が減ったな。と感じるほどの大規模魔法だ。

 もちろん数秒で回復する。

 

「さっきと同じ方法取ってくれれば楽なんだけど……」


 アイツは倒せないけど、周囲にいる大量の兵たちには甚大なダメージを与えられると思う。


【魔族の魔力を……舐めるな!!】


 巨大な魔力の壁が空中に構成される。

 コウメイが今頃分析しているだろう、でも、あれ、効率悪くないかな?

 確かに莫大な魔力は凄いんだけど、それをそのまま壁に使うなら、土とか水を利用すればいいのに……

 形態の変化は面白いとは思うんだけどね……

 案の定、質量エネルギー、位置エネルギー、慣性エネルギー、熱エネルギーなどを利用した城火矢によってガリガリに削られて、周囲の魔物は守られること無く被害にあっている。


「遠距離はこっちが勝ちだな、詰めるぞ!」


 曲射を打ち合う遠距離戦闘から、互いに様々な手段で相手を攻撃できる中距離戦闘に切り替えていく。今だ敵は大群、将も無事、油断できるようなことはない。


「とりあえず、3種3連斉射!!」


 火・水・土の属性攻撃の水平射出。

 敵のデブさんはお代わりの破城火矢の対応に追われている。

 ただ、周囲にも実力者の悪魔がたくさんいる。

 直ぐに軍を統制して防御を敷いた。


「普通の防御をしてしまった時点で、悪手なんだよね」


 敵の敷いた魔法防御をいとも容易く俺たちの魔法が貫いていく。

 あの魔法一つ一つは風魔法によって強烈な回転力を加えられている。

 見た目に合わせた程度の魔力障壁や土壁は簡単に貫いていく。


 魔法戦初戦は、完全に取らせてもらった!


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