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第38話 ダンジョンクリスタル

「いやはや、まさか初めてのダンジョン挑戦で最下層到達とはね」


「いやいや、驚かされるばかり……そういう意味では自分自身に驚いているが」


「ここが最下層ボスの部屋なんですか?」


「ああ、今まで明らかに作りが違う巨大な扉。

 間違いない」


「どうなんですか、ボスは倒せそうですか?」


「儂達だけだと、マシューとネイサンが危険かもしれないが、カゲテルのスライムを解禁すれば……」


「すれば?」


「楽勝じゃろうな」


「じゃあ、決まりですね」


「そうだな、決まりだな!」


 ケイジが扉を押し開く。

 今まで見てきた殺風景な洞窟風な作りとはうってかわって美しいドーム状の部屋。

 その中央には……


「クイーンタラテクト……この部屋の作り、普通なら、絶望じゃな」


「子蜘蛛にそこら中から糸を吐かれて、行動不能になって終わりだな」


「普通ならね……行くよ皆! 待たせたね!」


 コウメイから大量の戦士が生み出される。

 ダンジョンで大量に魔物と魔石、それにアイテムを吸収しまくって、スライムの数は増大している。

 あの小さかったプリンスも、立派な姿になっている。

 キングの脇で堂々と構えている。


 巨大な蜘蛛と、大量の子蜘蛛、一斉に部屋中に散る。


「こっちも行くぞ!」


 同様にスライム達も部屋中に散る。

 同時に大量のクモ糸によるネットが浴びせられるが……

 ジュルん。

 一瞬で飲み込んでいく。

 お返しに超強力な粘着力の粘液をぶっかけてあげる。

 無数の蜘蛛がその液体で動きを封じられる。


「することねぇなぁジンゲン……」


「せっかくだから女王陛下にご挨拶するかのぉ……!」


 ジンゲンとケイジは生き生きとクイーンタラテクトと戦っている。

 ローザもどこを見ても敵だらけの状態で無双状態で弓を放つ。

 俺はマシュー、ネイサンの側で指示された場所に火球を打ち込む砲台になっている。


 そう、数は力だ。

 強大な敵だろうが、圧倒的な数で攻めれば、戦いにならない。

 蹂躙だ。


 さらに、その個が強力であれば、もう止めようがない。

 

「止めじゃ! ケイジ!」


「ああ、ジンゲン!」


『合わせ技、月花水明』


 二人の斬撃が、タラテクトの胸腹部を十文字に切り裂き、ついにはその巨体を崩れさせる。

 スライム達が子蜘蛛を食い尽くし、巨大な一塊となってクイーンを飲み込んでいく。

 一方的な駆逐によって、ボスを倒すことが出来た。


「うむ、儂、強くなっとるな」


「ああ、俺もだ……」


「なんだか、自分の身体じゃないみたいです」


 クイーンの巨大な魔石が溶け込む感覚と同時に、莫大な力が溢れてきた。


『スライムクイーンが誕生しました。スライムプリンセスが誕生しました。

 マジシャンズオブスライムが誕生し、ナイツとの編成が行われました。

 【魔導】を手に入れました』


 戦士としてのスライムのトップがキング。

 魔法を扱うトップがクイーンとなった。

 プリンスとプリンセスは両方を扱う。

 プリンスは攻撃系が得意、プリンセスは防御支援回復が得意とキャラ付けも出来ている。

 これからもどんどん成長してもらおう。

 コウメイは魔導、魔法の深淵に触れる知識を手に入れて、自分の世界に籠もってしまった……


「さーて、小さくないダンジョンの核、俺も見るのは初めてだ」


「儂も久方ぶりじゃな」


 巨大なドームの入り口と逆側に、扉が現れ開かれる。

 その中には、巨大なクリスタルが中に浮いていた。


「綺麗……」


「すげー」


「おっきなキラキラ~」


「ダンジョンを制御……世界を構築……ふむふむなるほど……」


 なんか精神世界に引きこもっていたコウメイが戻ってきて、もうめちゃくちゃな形になりながらダンジョン核を観察して調べている。


「ま、カゲテルに任せる」


「そうじゃな。カゲテルの自由じゃ」


「もちろん私も同じです!」


「この様子だから、このダンジョンは崩すことになりそうですね」


「ふむ、場所も不便だし、良いんじゃないか?」


「もうここの敵は相手にならぬしな」


 結局、コウメイが丸呑みすることになった。

 驚くことに、ダンジョン核を取り除き、入った扉を出ると、外だった。

 ちょうど日も隠れようとしていたので、久しぶりに家を出して、ゆっくりとダンジョン制覇のお祝いをすることにした。


「期待してるぜカゲテル!」


「任せといてください!」


 コウメイは完全に引きこもってしまったが、酒スライムやそれ以外のスライムが、大量の料理を作り出してくれる。いつもこれでも良いんだけど、ローザ的にはちゃんと家事をして料理の腕をなまらせたくないので、こういった特別なときだけコックスライムにお任せすることにしている。


「ウヒョーすげーな!!」


「おお、ありがとう皆頑張ってくれて」


「貴族のパーティにも勝りますな!」


 勝利の凱旋、ひとっ風呂浴びている間には、目もくらむような料理が広がっている。

 酒スライムの精魂込めて作成した各種飲み物も大量にある。

 くくく、テイスティングが楽しみだ……


「うわーすごーい!」


「ネイサン凄いぞ見ろ見ろ!」


「わー!!」


 マシューとネイサン用に二人の大好物がてんこ盛りのお子様ランチが用意されている。


「それでは、ダンジョン制覇、並びにカゲテルのスライム達の成長を祝して……」


「「「「「「カンパーイ」」」」」」



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