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第25話 遺跡

 門の前までやってきた。

 よく見れば山崩れが起きて、門が露出し、歪みが生じていた門がずれていて、その隙間からたぶんゴーレムが外に出たのだろう。

 斥候を侵入させたけど、入ってしばらく通路が続いているものの、ゴーレムや生き物の気配はしない。

 

「行くか、補佐は任せたよ軍師くん」


『マスター、私を役職で呼ぶのではなく、特定の名称を与えていただけませんでしょうか?』


「名前、名前、軍師と言ったらコウメイ、らしい?」


 なんか、カゲテルの記憶が強く押してきた。


『コウメイ……良い響きです……ありがたき幸せ。

 私はこれからコウメイとお呼びください!』


「よし、コウメイ、遺跡を調査するぞ!」


『はい、マスター!』


 ナイツオブスライム集合体バージョン。つまり、最強の騎士たちをパーティにして進んでいく。

 スライムキングは普通のサイズだと巨大なので、圧縮している。

 戦闘をアース、ファイア、その後方にウォーター、ウィンド、中衛に俺とキング、そして後衛がライトとダーク。

 現状戦闘においてはこの布陣が最強だ。

 全方位に斥候として忍スライムを放っているし、ああ、スライムというものは便利である。


 扉を抜けて真っ直ぐ続く通路はなんの問題もなく通過する。

 何箇所か左右に台座のようなものがあったので、もしかしたらゴーレムはそこに立っていたのかもしれない。

 通路の先には再び大きな扉、スライムに少し開けてもらって斥候を投入。

 うん、これはゴーレムが襲ってくる予感がする。

 円形ドーム状の部屋、周りには巨大な像が並んでいる。


『マスター、解析結果を実証してよろしいですか?』


「もちろんOKだ」


 流石コウメイ頼りになる。

 特殊工作員を先に侵入させる。

 どうやらゴーレムの背後から侵入し、中央の装置に……侵入した……


『成功しました。どうぞお入りください』


 部屋へ侵入すると……


 8体のゴーレムが膝をついて俺を迎えてくれた。


『ゴーレムスライムです。どうぞお使いください』

 

「で、でかすぎない?」


『全て侵食すれば他のスライムと同じように形態、外郭は収納しますので、彼らはここで待機してもらいましょう』


 ゴーレムを操作している超小型の魔道具を解析して、外骨格を操作する能力を持つスライムを産み出した。

 また強力な戦力を手に入れてしまった。

 貴重な素材がないと作れないスライムなので、なかなか増やせないだろうけど、これからはゴーレムは積極的に狩ろう。


 巨大なホールを抜けると小部屋がいくつも並ぶ廊下に出た。

 コウメイが興奮している。とりあえず危険がないことを確認してからコウメイが配下の特殊部隊を連れて部屋を漁っていく。

 その間に俺は少し奥に進んでいく。

 細い通路の先には少し大きな部屋がある。

 ゴーレムの気配はない……


 ジュッ!


「なっ!?」


 攻撃を受けた。

 抜群の隠密行動が取れる忍スライムに攻撃、しかもスライムに通る攻撃をされた。

 体の一部を失ったが命に別状はない、すぐにスライムを下げさせる。

 傷を分析する。一瞬で蒸発したようだ。

 熱耐性を手に入れているスライムの体を一瞬で蒸発させるほどのとんでもないエネルギー量……


『マスター! どうしました!』


 コウメイが慌ててやってきた。


「この先に進もうとしたら攻撃を受けた。

 体の一部を蒸発させるほどの威力だ」


『お待ちください……たぶんこうすれば……』


 コウメイがモクモクと煙を吐き出す。

 通路に満たされた煙に赤い光が映っている。


『あれに触れると……』


 ポンと石を出して赤い光線に向かって放り投げる。

 光線に触れた石が一瞬煌めき、そして破壊された。

 切り口がぐつぐつと変形している。

 

『1000度以上の高温を発生するようですね……素晴らしい……

 こちらの調査もお任せください!!』


 コウメイの目が輝いている。

 結局、俺はすることもなく引き返すことにした。

 どうやら内部に罠以外の敵の反応はない。

 ローザ達も問題はなさそうだ。

 ただ、助けた冒険者達が目を覚ましそうだった。

 帰り道で小さくなったゴーレムスライムとナイツオブスライムを交代させ、一時拠点に戻る。


「お帰りなさいカゲテル」


「おかえりー」


「おかーえり」


「遺跡は今調べさせてるよ。

 他の人は大丈夫?」


「ええ、ぐっすり寝ているわ」


「少し早いけど夜ご飯の準備を始めるか」


「そうですね!」


「カレーがいい!」


「僕も!」


「よし、じゃあカレーだな!」


 カレーとは、香辛料をたっぷりと使った南の方の国の煮込み料理だ。

 カゲテルの知識を利用してこだわりにこだわったスパイスによって作るカレーは、ラーケンの街で冒険者の行列ができるほどだ。

 スパイスは高級品だから、贅沢品であることは間違いない。

 自然に自生している物も利用して、なんとか十分なスパイスは確保している。

 俺は料理にも無駄に魔法を使う。

 野菜を手早く炒めたり、柔らかく肉を煮込むのにも、魔法で補助することによって時間の短縮と味の向上を突き詰めていく。

 料理も酒も、ほんの少し過程を変えるだけでまるで別のものになる。

 だから、面白い。

 よく火を通して香りを立たせたスパイスを最後に加えて、ゆっくりと弱火で風味と香りが飛ばないように馴染ませる。

 

「なんだ、とんでもなく美味そうな匂いがするな……」


 男性が一人、奥の部屋から出てくる。


「もうすぐ準備できますよ、かけてお待ちください。

 よかったら汗を流しますか? 右奥に湯場がありますよ」


「ここは……どこだ?」


 続いてもう二人。


「安全な場所ですよ。とりあえず、皆さんが助かったことを喜びましょう。

 そして、命の恩人も目覚めましたよ」


 そして別の部屋から最後の一人が現れた。


「ジンゲン殿!!」


 全員が目を覚ます、まずは俺自慢のこの絶品カレーを味わってもらおう。


 

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