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第201話 肩並べて

 目の前に迫る魔法が叩き落される、体が即座に反応する、次に続く致命傷を与える攻撃を全力で弾き返す。

 すぐに、魔法を防いでくれた存在を確かめる。


「……フランガ、助かった、まじで」


「悪いな、遅くなった」


「いや、最高のタイミングだったぜ」


 敵から距離を取って、出された手をパンと叩く。

 この状況で味方が現れたことが、こんなにも心強いとは……


「フランガ様、見事です」


「色々と手を回してくれていたんだな……お陰で壁を超えてきたぜ」


「皆様のお力です。私は何もしておりません」


「ふっ……そういうことにしておく……。

 さてカゲテル、このしんどい中、よくあんな化け物と戦ってるな!

 あいつの魔法一つ受けただけでこの有様だ」


 ぼろぼろになった腕がシュウシュウと音を立てながら回復しているが、普段のフランガの回復能力からすると、ずいぶんと遅い。

 

「フランガ様、以前とずいぶんと変化した体への常識が足を引っ張っています」


「回りくどい言い方だな」


「……何でもできると自分を信じてください」


「はっ!! いいねぇ、嫌いじゃない。

 よっしゃ! 俺の体は……無敵だぁ!!」


 ふざけたことを言っているようだが、フランガが自分の身体をそう認識すれば、今まで枷になっていた自分で決めた限界が解き放たれ、怪我も瞬時に治っていく。


「おおっ!! こいつは……いや、楽になった……

 そうか、俺は俺自信を信じていなかったか、親父たちに全て委ねてもらっているのにな!」


 可視化するほどの強大な力がフランガを包み込み、神の不条理な怒りからその身を守っているのがわかる。フランガが俺やコウメイと同じステージに立った証拠だ。


「……力がデカすぎて扱いづらい……」


「お前ならすぐ慣れる、行くぜ!」


「おうよ!」


 フランガ参戦の影響は計り知れない。

 コウメイは完全に魔法攻撃に対しのみ集中することが出来、フランガと俺でお互いがお互いの隙をカバーしながら戦える。すべての攻撃が致命傷となる戦いで、防御の憂いがなくなることは攻撃機会を飛躍的に伸ばしてくれる。


 不思議な感覚だ、今までも俺たちのコンビネーションは完成されていると思っていた。

 幾度となく繰り返した戦闘において、肩を並べて戦っていたが、今はまさに次元の違いを感じている。自分と相手の存在が合一したように動く、繋がっている。

 考える必要もない、俺はあいつで、あいつは俺だ。

 何をするのか、何をしなければいけないのかが、全て理解できる(わかっている)

 コウメイとの関係がもう一つ増えたような感じ、三位一体。

 戦場を俺たち3人が作り上げていく様は、間違いなく快感だ。

 すぐとなりでいつでも死が待っているのに、俺たちの頭の中は気持ちよさで溢れていた。

 自分が相手が、俺たちがどんどんと強くなっていくことが肌で感じている。

 今まで均衡が取れていた戦闘が傾き、一度傾くとどんどんとこちらに流れを引き寄せいていく。


「凄いなこれは!!」


「調子に乗ってまたヘマするなよカゲテル!」


「フランガ様も力に溺れないように、口元が緩んでますよ!」


「おっといけねぇ!」


「完全に調子に乗ってるのはそっちじゃねーか!?」


「いや、しかたがねーだろこれは!」


「まぁ、わかる」


「フランガ様はほんとうの意味で、この世界の可能性が具現化している存在、(あちらがわ)にとっては最も認めたくない可能性ですから。どんどんその可能性を見せつけていきましょう!」


「おお、コウメイも煽る煽る!」


「魔法の構築が止まりません、複雑化しすぎてすみません!!」


 まるで子供のように命の取り合いを遊んでいる。

 この世界の生きとし生けるものの存在、存亡を賭けた戦いとは思えない……

 だが、楽しいのだから仕方がない!


「奥義 絶空」「奥義 断山」


 対となる型として作られた2つの奥義が、本来ありえない二人の使い手によって、夢想していた本当の形で神の使徒に刻み込まれた。

 人の持つ可能性を、今、創り主である神に返礼しているのだ。

 俺たちの猛攻によって、空間を持たしていた神の不条理なエネルギーの奔流、神の怒りが、神の使徒の力の維持へと使用用途を変えていく。

 消し飛ばされた身体の修復、バラバラに刻まれた肉体の再生、奪い取られた魔力の補填。


 完全消滅という滅びの結果への事象改竄。

 

 無限とも思われていた神の力は、確実に消費している。


「世界って……凄いな」


「ああ、だからこそ、消させるわけにはいかねぇ!」


 奪い取り、動くエネルギーの規模に、この世界の価値を新たに見出してしまう。

 これだけのものがこの世界に使われているんだ。

 そして、俺達自身もこういった力のひとつなんだという思いが、俺たちをもっと強く突き動かしていく!


「因果固定、存在固定、神を縛る古の力……大魔法! 我思う故に(フリーーーー)汝其処に在り(ーーーーズ)!」


 立体型の巨大な魔法陣が天使長を包み込み、魔力によって編まれた鎖が身体を存在を繋ぎ止める。


「マスター!!」


始手(かいして)鬼神斬烈!」


繋手(つなぎて)魔幻撲滅!」


縒手(よりて)穿山割地!!」


結手(つむぎて)天破空烈!!」


「「至手(いたりて) 森羅万象我前平伏っ!!!!」」 


 幾多数多の斬撃が、全ての存在、並行世界までもの根源まで切り裂いていく!!




 


 

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― 新着の感想 ―
[良い点] (書いた文が消えた心の)痛みに耐えて良く頑張った!感動した! [一言] >>周り持った言い方 持って回った言い方の変形的なやつですかね?
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