トラウマ
わたしは最近、トラウマというものを抱えてしまったらしい。
そいつはどうも厄介だ。
そのトラウマを抱えたのは高校生の頃。
長期休みに入る前、学校では校内放送で終業式が行われていた。
運悪く席が一番前だったわたしは、先生もすぐそばにいたので真面目に聞くことにした。
「長いなぁ...」と思っていると、視界の隅でなにかが動いているのがわかった。
それは、ダンゴムシだった。
てくてくと壁の隅をつつくように動く様は少し可愛らしい。
そいつを逃がしてやろうと思い席を立とうとしたが、今は放送中だ。
いきなり立ち上がったら皆に変に思われてしまう、と思ったわたしは近くにいた先生に頼むことにした。
小さな声で、「先生、そこにダンゴムシが、、、」と言うと
先生は笑顔で立ち上がって、そいつの方へ近づいていった。
これで安心、、、 そう思ったときだった。
先生は思いっきりダンゴムシを踏み潰した。徹底的に。
そしてその死骸を足で教室の隅へとやった。
その後も先生は何食わぬ顔をして、放送を聞いていた。
あの時、わたしの心へ刺さったなにか、それがトラウマってやつなんだろうか、、、
「言わなきゃよかった」なんて考えたりもする。
ともかくこれがきっかけで、どんなに小さい虫でも殺さずに逃がすようになった。
果たして良かったのか、悪かったのか。
部屋に虫が出ると、あのシーンが頭のなかで鮮明に再生される。
トラウマの語源はギリシャ語らしいです、虎馬は当て字、、、
馬鹿も諸説ありますが当て字らしいですね
読んでいただきありがとうございました