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竜の赤ちゃん、拾いました。第一章~第三章  作者: 小川せり
第三章 悩める旅人
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7. 欲深きミダス王

7. 欲深(よくぶか)きミダス(おう)




挿絵(By みてみん)




ミュウが鳴き始めてから三日目(みっかめ)の朝、ミダス王は謁見(えっけん)()家臣(かしん)たちを()(あつ)めました。

「何をしているのだっ!ドラゴンが()きっぱなしじゃないか?うるさくって(ねむ)れんっ!どんな事をしてもよいから、早くアレを(だま)らせろっ!」

エラム国のミダス王は欲深(よくぶか)く、残忍(ざんにん)な男でした。長年(ながねん)淫蕩(いんとう)な生活に(ふけ)っているミダス王に自制(じせい)(しん)などあるわけもなく、家臣(かしん)たちの前でも苛立(いらだ)ちを(かく)そうとしませんでした。

王の叱責(しっせき)()けて、家臣(かしん)の一人が前に進み出ました。

「番兵たちの話では、突然(とつぜん)理由(りゆう)もなく()()したとのことです。鳴き止ませるためにいろいろと(ため)してはいるのですが、何をして(だま)らせることができません。」

家臣(かしん)報告(ほうこく)に、王は苦虫(にがむし)(つぶ)したような顔をしました。

「これまでは少しも鳴かなかったのに、突然(とつぜん)理由(りゆう)もなく鳴き出したというのかっ?!」

王の叱責(しっせき)大臣(だいじん)()(ちぢ)めました。

「はい。(おそ)らく、(とら)えるときに使った(しび)(ぐすり)効果(こうか)が切れたのではないでしょうか。」

うむっと王は(うな)りました。

「ならば、(ころ)してしまえっ!と言いたいところだが、まだ(ころ)してはならん。太らせてもっと大きくするのだ。()なない程度(ていど)()かしておけ。」

ミダス王は王座(おうざ)(うし)ろの()(まく)(おく)へと視線(しせん)(はし)らせました。

――せめて、この黒竜(こくりゅう)の三分の二ぐらいの大きさになるまでは......

王は心の中で(つぶや)きました。

()きてさえいれば何をしても(かま)わんから、すぐにあれを(だま)らせろっ!」

「はっ!」

謁見(えっけん)()から退出(たいしゅつ)した大臣(だいじん)は、すぐさま番兵(ばんぺい)たちに命令(めいれい)(くだ)しました。

「すぐにドラゴンを()()ませろ!今日(きょう)(じゅう)に鳴き止まなかったら、お前たちの(くび)はないものと思え!」

(あわ)てふためいた番兵(ばんぺい)たちは(いし)(ろう)に走って(もど)ると、ミュウが鳴く(たび)(やり)()(はじ)めました。元々(もともと)、残酷(ざんにん)なことを(この)性質(せいしつ)(うえ)に、今では自分たちの命までもがかかっています。番兵(ばんぺい)たちの手に躊躇(ためら)いは一切(いっさい)感じられませんでした。

ミュウの身体(からだ)はたちまち、血だらけになりました。ミュウの身体(からだ)には(うす)(うろこ)()え始めていましたが、まだ、(やり)()(かえ)すほど(かた)くはなっていませんでした。

ミュウは()かれる(たび)(かな)しげな声を()げましたが、どんなに()かれても人間を攻撃(こうげき)しませんでした。ただ、(かな)しげに鳴くばかりです。ミュウは助けを求めて、鳴き続けました。


ミュウの鳴き声は、城下(じょうか)まで(とど)きました。ミュウの悲痛(ひつう)な鳴き声とミダス王の兵たちの残虐(ざんぎゃく)さを考え合わせると、城の中にいるドラゴンがどんな目にあっているか、町の人達にも容易(ようい)想像(そうぞう)がつきました。

町の人達が心配している間にも、ドラゴンの声はどんどん(かす)れて小さくなり、やがて完全(かんぜん)に聞こえなくなりました。(ほど)なくして、ドラゴンが死んだという(うわさ)が町に流れました。



この王にして、この家来あり。上の者が悪いと、下の者まで悪くなる見本のようなお話です。


「ミダス王」という言葉、どこかで聞いたことがあると思った皆さんは、かなりの物語好きですね。

ミダス王はギリシア神話に出てくる「触れたものをすべて黄金に変える手」を持つ王様です。実はこの王様、神話や伝説上の人物ではなく、実在した人物だったようです。

ミダス王は古代アナトリアの王でかなり強欲だったようです。

挿絵(By みてみん)

興味のある方はネットで調べてみてください。


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