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竜の赤ちゃん、拾いました。第一章~第三章  作者: 小川せり
第二章 幻を見る者
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番外編 ドラゴンの匂い

番外編 ドラゴンの匂い



「あらっ、三人とも()ちゃったのね。」

リューイが目を()ますと、お母さんが目の前に立っていました。お母さんはミュウにもたれかかって(ねむ)っていたフューイをそっと()()げました。

「ア~」

抱き上げられたフューイは、むずがって体を(よじ)ると、ミュウのほうへと手を()ばしました。

「フューイはミュウと一緒に寝ていたいってさ。そうだ、フューイのベッドにミュウも一緒に入れてあげたら?」

ほら、ほら、とリューイが冗談(じょうだん)()じりにミュウのお(しり)を押して、お母さんのほうへ行かせようしました。それを見たお母さんがとんでもないと言わんばかりに頭を()りました。

「やめてちょうだい。ベッドがドラゴン(くさ)くなるから。」

お母さんにはそう()(はな)つと、(かた)まっているリューイを残したまま、さっさと下へおりて行ってしまいました。

「なんだよ…それ…」

しばらくして、リューイは口の中で小さく(つぶや)きました。

「ドラゴン(くさ)いって、なんだよっ!」

今度はもう少し大きな声で言ってみました。じわじわと(いか)りが込み上げてきます。だって、あまりにもあまりな発言(はつげん)ではありませんか。次第(しだい)(はら)()ってきたリューイは、(いま)(さら)ではありますが、「お母さんのバカ~!ミュウは毎日、お風呂(ふろ)に入っているんだぞ~!(くさ)くなんかないぞ~!」と(さけ)びました。

叫んで少しすっきりとしたリューイは、ミュウに(あやま)りました。

「ミュウ、ごめんね。おかあさんが(ひど)いこと言って。ミュウは全然(ぜんぜん)(くさ)くないよ。本当にごめんね。」

リューイが(やさ)しくミュウの頭を()でると、ミュウは気持ち良さそうに目を閉じました。

――♪

本人はまったく気にしていないようです。

それにしても…とリューイは思います。

――お母さんってときどき、(わけ)もなくミュウに意地悪(いじわる)になんだよな。ミュウが(はね)布団(ぶとん)をビリビリにしたこと、まだ(おこ)っているのかな?だからってあんな言い方しなくてもいいだろ。ミュウは全然(ぜんぜん)(くさ)くないのに!

そこまで考えて、リューイはふとある疑問(ぎもん)()()たりました。

――もしかして、いつも一緒(いっしょ)にいると匂いがわからなくなるのかな?本当はミュウは臭いのかな?でも、ドラゴン臭いってどんな匂い?ペットショップの爬虫類(はちゅうるい)みたない匂い?

考えているうちにリューイはどんどん不安になってきました。

――もしかして、いつもミュウと一緒にいる僕もドラゴン臭くなっているのかな?ドラゴン臭いって…ドラゴン臭いって…

好奇心(こうきしん)(おさ)()れなくなったリューイは、ミュウに気付(きづ)かれないようにそっと顔を近づけてミュウの(にお)いを()いでみました。しかし、それにはさすがのミュウも傷付(きずつ)いたようで、ぷいっと立ち上がるとベッドの下の(もぐ)ってしまいました。


あら、まあ…

おしまい。





お母さんが言う「ドラゴン臭い」という匂いがどのような匂いなのか、結局、リューイにはわかりませんでした。たぶん、ミュウは無臭だと思います。


みなさんはペットの匂いが気になりますか?筆者はペットの匂いが大好きです。


ときどきペットに執拗に「臭い、臭い」と言って、嫌がる様子をYouTubeにアップしている人がいます神経を疑いますね。たとえ相手がペットでも、嫌がっているのに執拗、且つ、故意に傷付ける行為は最低です。「ペットよりもあなたのほうが臭いですよ」と言ってあげたくなります。

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