3. 期待はずれ
3. 期待はずれ
カゴの中にいたのは、灰色の毛のない生き物でした。皺の寄った灰色の皮膚は薄く、ところどころ血管が透けて見えています。毛がないせいで寒いのか、ブルブルと体を小刻みに震わせています。目は閉じられたままでしたが、眼球がかなり大きようで、ボコッと飛び出していました。
――コレって…
体の両側には腕とも翼ともつかない小さくて不格好な何かが付いていいます。お尻には長いネズミの尻尾のようなものあります。
――コレって…なに?!
リューイのテンションは一気に下がりました。
読者の皆さん、ここでリューイを責めてはいけません。もしも、リューイが何も考えずにこの生き物を見つけていたのなら、リューイの反応ももう少し違ったものになっていたかもしれません。珍しい動物の発見にワクワクしたかもしれませんし、寒そうに震えているこの子をみて可哀想に思ったかもしれません。しかし、リューイの頭の中はつい先程まで可愛らしい子猫を思う存分、モフモフする妄想でいっぱいだったのです。毛一本生えていない、モフモフ要素ゼロの生き物にテンションが下がったとして、誰が責められましょうか。
灰色のヘンテコな生き物はリューイの不興を買ったことを全身で感じとったのか、鳴きもせず、目を閉じたままリューイの様子をじっと窺っていました。
――助けに来てくれたの?でも、なんか嫌な感じがする。痛いことをされないといいけど…
よくわからないながらも、鳴いていたら何となく誰かが助けに来てくれそうな気がしていたのに、どうやら期待とは違ったようです。
どうやらどちらとも期待が外れた様子。続きが気になります。