勇者との再戦
はい、今回は一ノ瀬が勝負しろ!って言ったあとからです。
「一応聞くぞ?何でだ?」
いきなり勝負とか言われてもワケわからんし、第一俺が勝負しないといけない理由にはならない。
「何でか?そんなの決まってる。僕達は勇者で誰よりも強くならないといけないんだ!魔王を倒さないといけないんだ!そのために負けは認められない!だから八雲を倒して僕達の方が強いことを証明するんだ!」
なんとまぁ、子供の戯れ言っていうか、建前にもなってない。
単純に負けたのが悔しくてリベンジしたいってことだろ?
ってことは、俺は付き合ってやる理由も無い。
「まあ、とりあえず、断る!」
声を大にしてそう言い放った。
「なっ!何故だ!」
「なんでそんな面倒なことをしないといけないんだ?理由も義理も借りもある訳でもないのに」
「怖じ気づいたか!俺に負けるのが怖くて!」
「バカなのか?俺がお前らごときに負けると?それに俺は勝ち負けにはこだわってねぇよ。俺にとって戦いは守るための手段でしかない。いちいち面倒ごとに首突っ込む訳じゃないんだ」
俺は少々らしくないことを言ってしまったが、今いったことは本心だ。
「僕との勝負が面倒ごとだと?」
あっ、そっちに食いついた?!
「ふざけるな!!八雲にとってはどうでもよくても僕にとっては大切なことなんだ!」
えぇー逆ギレかよ。
これ以上面倒にしないためにも受けるべきかなぁ。
「止めときなさい」
不意に俺でも一ノ瀬達でも無い声が割り込んだ。
「相手との実力差が分からないような人がこの人に勝てるとは思わない。またプライドみたいのを傷つけたく無かったら止めた方がいいわ」
その言葉を発したのは、なんとスゥハさんだった。
えっ、なんか意外?助かるんだけどなんか昨日まで怨み辛みを言ってたような人がいきなりいい人になるのは怖い。
「なんだと?僕達が八雲に負けると言うのか!」
「そう言ってるのよ?貴方達では勝てないわ。この会場で勝負になるのは多分ベルサレク様だけよ」
「僕では勝負にならないと?」
「当然。それでもいいならご自由に」
それだけ言って去っていった。
「めんどくさいが勝負は受けてもいいぞ?スゥハさんの忠告を無視するならな」
一応煽りつつも脅しとく。
「くっ、やってやる!」
結局勝負することになった。
さて、どんくらい持つかな?
そのあと俺は料理を食べて、ベルサレクさんを初めとした先輩方に話を聞いていった。
生物の話、ダンジョンの話、迷惑依頼者の話等々。
とてもとても有意義な時間だった。
俺は実力はあるが経験に乏しく、異世界人だからこの世界のことにもまだ、疎い。
だからこそこういう話は俺にとってとてもためになるのだ。
そして時間はあっという間に過ぎ自由時間となった。
正直面倒な試合の時間だ。
俺は庭らしきところに来た。
話を聞いていた人がここで試合ができることを教えてくれて、ここに来た。
一ノ瀬も既に準備万端で立っていた。
そしてギャラリーも集まっていた。
先輩方いわく俺と勇者はどちらも興味をそそるのには大きすぎるらしい。
よくわからんかったがようは注目されてるってことだけはわかった。
「来たな、八雲。絶対にお前を倒す!」
なんと言うか、勇者に染められたなぁ一ノ瀬。
「毎回思うけど、俺はボスキャラか?そういうのは魔族にでも向けろや」
「うるさい。僕にとって八雲は敵でしかない!」
……………言い切られた。
ここまではっきり言われると悲しくなる。
「まあ、いいか。俺に出させてくれよ?本気を」
「言われなくても!!」
それが合図となり勝負は始まった。
「ライトニング フレイム!アクアサンダー!」
痛々しい名前が叫ばれたが威力は凄かった。
稲妻のような炎が俺へ高速で飛んできて、更に水が俺を囲むように広がり俺の頭上付近には雷雲みたいのができていて、今にも落ちてきそうだ。
とりあえず俺は目の前の炎を斬った。
バチイィ!!
「うおっ、危ねぇ!」
その炎を斬った瞬間、突然その炎から稲妻が溢れた。
俺はそれを超常的な反応速度で反応し、剣を避雷針として逃がし俺は剣を離しその場を離脱した。
チャプッ。
俺の足はさっきまで俺を囲んでいた水を踏んでいた。
次の瞬間空が光った。
正しくは雷が落ちた。
その瞬間同調するように雷が水一面を這った。
「面白い。なら、ウラァ!」
俺はその場に身体強化15で踵落としをし、地面を落とした。
当然地面の上にあった水は重力に従って下に落ち雷は落ちた地面の前で止まった。
「くそっ!これで駄目なのか?!」
一ノ瀬はかなり焦ってるように見える。
「で?次は?」
「なら!炎上爆破!!」
なんか漢字の魔法が出てきた。
ということはオリジナルの可能性が高い。
その魔法は俺の周りに水滴みたいのが沢山現れ、一ノ瀬が火を沢山放ちまくっている。
ボォォンボッボボボボボボボボォン。
そして火が水滴に触れるとかなり大規模な爆発を引き起こした。
その爆発は誘発するように隣を爆破し俺は火の柱のような形になった爆破を中心で受けた。
この魔法を普通の魔法使いが受けたら骨も残らないだろう。
生憎俺は魔法使いではない。
剣士だ。
範囲攻撃は得意分野だ。
「我流 土刃 牙颯」
さっき避雷針に使ったいつもの剣に変わって俺は腰にある二本目の黒い剣を手にし、目の前の爆破の壁に突き刺した。
そしてそれを俺を囲む柱を横に一周。
そうすると爆破の柱は綺麗な線を描き折れた。
「あ、あれを直撃して生きてるのか!」
「まあね。死にたくは無いし、あの程度は全て無効化できる」
「くそが!まだ、」
次の魔法を発動させようとしたが。
「トロトロやってんじゃねぇよ。もう終わりだ」
「っっ!?!?い」
ドォォォン
爆発と間違えるような音を響かせ一ノ瀬の体は縦十メートル程度飛んでいった。
何をしたか?いつも通り殴っただけだ。
最後に多分「いつの間に」って言いたかったんだろうけど、反応も準備も何もかも遅かったな。
俺は剣を回収して休憩できるところを探しに行くのであった。
サラッと強キャラになっていた一ノ瀬。
ちょこっと遊び心のあるセリフを使った気がする。
わからんけど。




