まあ、色々大変だね
今回は馬車でロッドに向かうところです。
出発の日。
ロッド王国への出発の日、俺はギルドに来ていた。
なんでも俺以外にも招待状をもらったりしていて、冒険者の力?権力?を侮られないために大きめの馬車で行かないといけないらしい。
俺が走った方が絶対早いのに。
「おはようございますヒスイさん」
「おはようございます八雲さん。早いですね」
「そうですか?まあ、早めにとは思ってましだが」
学校の頃とかはずっとギリギリなことが多かったが今はそれはできない。
あの恐ろしいイルミナがいるからな。
時間には敏感になってしまった。
「そういえば今日は誰が来るんですか?俺だけじゃないんでしょ?」
「はい。確か、ユウナギさん、シュナさん、ヤブサメさん、あとは白ランクから何名かです」
「多いですね。銀三人と白の何人かと俺かぁ。なに考えてるんだろ?」
いきなり冒険者の上位を呼び寄せるなんて。
なんか裏でもあんのかね。
「八雲さん、皆さんが到着するまで馬車の中でお待ち下さい。揃い次第出発しますので」
「了解しました。では失礼します」
俺は馬車に乗り込み他の冒険者方を待つのであった。
待つこと数分、一人目の冒険者が入ってきた。
いや、俺が一番だから二人目か?
どっちでもいいか。
「ったくよ、なんでワシがロッドなんて行かなきゃならないんだろうねぇ!」
入ってきたのはごっつい武器みたいのを背負った男だった。
というか魔法使いだよな、この人なんでこんなに筋肉がついてるの?これプロビルダー並みの筋肉のつきかただぞ?
「あの、おはようございます」
「あ?お前さんが先客か。ワシはドルドル、白ランクで粉砕の魔法使いって言われとる」
ふ、粉砕の魔法使い?
俺と同類か?それとも魔法を相殺するのが得意なのか?それとも魔法でバカスカ粉砕するのか、はたまた別の何かか?
「俺は八雲。金ランクに最近昇格させてもらった。マジックブレイカーって言われてるらしい。恥ずかしいが」
最後の部分だけ声が小さくなったがまあ、しっかり挨拶できた。
何に安心してんだ?俺。
「お前さんが?そうかい。よろしく頼むぞ八雲」
「こちらこそよろしくお願いします。ドルドルさん」
言葉遣いとは裏腹にすっごくいい人っぽかった。
「お取り込み中失礼します」
そうして話していると三人目の人が入ってきた。
今さらだが三人入ってもまだまだ余裕のある馬車内はおかしい。広すぎたろ。
「おう。ジーラヌトか。久しぶりだなぁ!」
おろ、知り合いか
「初めましてマジックブレイカー。私はジーラヌト。白ランクで幻影の魔法使いを名乗らせてもらってます」
幻影ってことはそっち系統の魔法を使うのか。体細くてか弱いイメージを得る体格の男性だな。
俺と相性悪そうだなぁ。
あんまり争いたくは無いな。
「よろしくお願いします、ジーラヌトさん。俺は八雲です。金ランクでさっきおっしゃられた通りマジックブレイカーを名乗らされてます」
「それにしても豪華な面子よな。ここにまだ他の白とか銀がくるんじゃからロッドも何を企んでおるのか」
「さあ、私にもわかりませんね。何かを企んでるのは間違いないでしょうが」
「そうなるとこの町が心配じゃのう」
「八雲さんはどうなんですか?今回の一件どうお思いですか?」
「俺はこの一件はこの町ではなく俺達を狙ってるんじゃ無いかと思ってます」
それを聞いた二人は驚いた顔をした。
「何故そう思うんだ?」
「はい。最初に思ったのは招待状という形です。俺は前からロッドに狙われてはいました。だから俺自身に招待状が来ても何の不思議はない。ですが他の国は呼ばれた、だけなんです。わざわざ招待状にした理由はなんだろう。普通に呼ぶだけで普通の人なら行かないといけなくなるはず。なのに何故招待状にしたのか」
「うーむ。そんなの断られる訳にはいかなかったからじゃろ」
「俺もそう思って最初は何も考えませんでした。ですがその招待状は俺だけじゃなかった」
「確かにのう。聞いた話じゃと他の国にも招待状が行ってるらしいしのう」
そうだったの?!
なら尚更呼ぶ理由がわからないなぁ。
でも一度意見言っちゃったし続けるかぁ。
「次に会談だったということ」
「確かに会談なら私達白ランクは呼ばれる訳ありませんよね」
「はい。だからドルドルさん達白ランクが来ることが怪しく感じました」
「それですと町の戦力を低下させる目的だと思えるのでは?」
「はい。ですがやるなら残りの白ランクや銀ランクも呼ばれるはずです」
「確かにねぇ。でもそこまでなら誰でも考え付く。決定的な何かがあるんじゃないか?」
これはあくまでも俺の予想だから決定的な何かは無いんだよな。
「…………………」
「そうですか。なら警戒は怠らないようにしましょう」
「わかったわい」
「勿論です」
そんな感じで春花達三人の仲は深まった。
誰一人自覚は無いが。
その後、
「銀ランクのユウナギです。皆さんご存知かも知れませんが水彩の女王の二つ名をもらってます」
「銀ランクのシュナだよ。えっとね凶器の魔女とか言われてるよ」
「銀ランクのヤブサメだ。多彩の牙って言われてる」
と、三人の銀ランクが到着した。
残りはヒスイさんに聞くと二人だそうだ。
それから待つこと十分。
お、きたきた。
最後の二人が入ってきた。
「私達が最後?まあ、いいわ。私は白ランクのスゥハよ。乱打の魔女って言われてるわ」
「あの、遅れてすみません。僕は白ランクのクゥハです。無傷の魔法使いって言われてます」
二人は姉弟らしき感じだった。
スゥハは高校一年くらいの背丈で女王って感じのわがままとか、めんどくさそうな雰囲気を漂わせている。
弟らしきクゥハは中二位の背丈でおどおどしているところから姉とは逆の性格っぽいな。
しっかり者だが臆病って感じだった。
とりあえず俺を含めさっきみたいに自己紹介をした。
「貴方がマジックブレイカーね?私と勝負しなさい!」
「はっ?」
なんでこうなった?
俺は普通に挨拶しただけだ!
それがなんで憎むような眼差しで俺を見て勝負を挑んでくるんだ?
「姉さん、やめた方がいいと思うよ?」
「うるさいわね!私はマジックブレイカーと戦いたいの!異論は認めないわよ!」
えぇーー。
「なんで俺とやりたいんだ?俺はスゥハさんとは初めて会いますし間接的にも関わったことは無いはずですが?」
「そうね。私も貴方と会うのも関わるのも初めてよ」
「なら、」
「でも、貴方を私は認めないわ!金ランク?魔族を倒した?はっ!そんなのどうせ嘘っぱちか道具の力に決まってるわ!」
だからなんで目の敵に?
「とりあえず、金ランクになったのも魔族を倒したのも俺の実力なんだが?道具の力?それを扱う力が俺にはあって、その実力でここまで来たんだが?」
「それを確かめるために勝負をするのよ!どうせ実力がバレるのが怖いんでしょ?」
なにこのガキ、ムカつく。(俺もまだガキだが)
「どうしましょう」
とりあえずユウナギさんに相談しようと思った。
「えぇ、ここじゃあ戦えないし出発して少ししたら広い場所に出るからそこでやったら?」
「はぁ、そうします。ありがとうございます」
面倒だなぁ。
「スゥハさん!とりあえずここではできないので出発して少しした場所でやりましょう!」
「ふん、わかったわ。逃げないでよね?」
こうして何故かスゥハさんと戦うことになってしまった。
これってロッド王国に行くだけの話だったよね?
なんでこんな目に。
「それでは出発します」
御者さんの声と共に馬車が動き始めた。
「なるほど、そんなことがあったのですか」
俺達は責任者としての立場で同席したヒスイさんにさっきのことを話した。
「わかりました。そのように進めます」
「よろしくお願いします」
「いえいえ、八雲さんが謝る必要はありません。むしろ受けてくれてありがとうございます」
「えっ?なんで?」
「あの人、スゥハさんは今まで負けを知らずに生きてきてます。更に今までは最短の早さで白に上がりました。最速銀ランクを期待されてもいました」
へぇ、そんな人だったんだ。
「ですがそうやって扱われて増長してしまって、そんなときに八雲さんが現れまして、スゥハさんの記録を塗り替えました。だからか八雲さんを異常に目の敵にしていたんです」
な、なるほど。
「じ、事情はわかりました。とりあえず勝負してそのあとスゥハさんがどう出るかで俺も色々と決めます。場合によっては半殺しも覚悟しておいて下さい」
どんなことをしてくるかわからないから殺しかけるかもしれないことだけは承諾してほしい。
スゥハさんがどんなことをしてくるかわかったもんじゃない。
「わかりました。回復の準備はしておきましょう」
「ありがとうございます」
一時間位経過した頃、馬車が止まった。
そして乗っている俺達は皆思った、始まるのかと。
「さぁ、マジックブレイカー!私と勝負よ!」
勝負の場は木々などがなく、本当に何もない開けた場所だった。
「全く、面倒だなぁ。とりあえず剣は無しで行くか」
変に文句をつけられるか分からないから剣は使わないことにした。
「ふん、武器は使わないのね?」
「ああ、別にあろうがなかろうが結果は変わりやしない」
「そうね、私の勝利は揺るがない!」
はぁ、実力差もわからない時点で勝敗は目に見えてるだろう。
「審判は私が行います!勝利条件は相手の戦闘不能、または降参宣言です。それでは両者構えて下さい」
俺は構えを取らなかった。
「ふふっ、諦めたのね?」
対してスゥハさんは杖を持った右手を後ろに引いて左足を前に出して始まった瞬間に撃てる体制を取っている。
「それでは、始め!」
「ブルーサファイア!」
初めて聞く魔法だな。
ユニークか?
スゥハさんの放った魔法は青い魔力弾が波のように一気に、俺の視界一面を埋める数が襲ってきた。
これが乱打の魔女の由来か?
まあ、効かないがな。
「フッ!」
身体強化をして俺に当たるものだけを撃ち落とし、あとは動かなければ当たらない。
「えっ?なんで一発も当たってないの?!」
一面の魔力弾が無くなりそこには無傷の俺が立っていた。
それを見たスゥハさんは激しく混乱し動揺し、思考を止めた。
俺はそんなスゥハさんに接近し、アッパーを決めた。
「はっ?ブッ」
そしてぶっ飛んだ。
そうして強制的に地面とキスして倒れた。
「これで終了っと。案外弱かったな」
もしもあの数を正確に俺に向けられたらもう少しまともだっただろう。
更に言うと今まで破られたことが無かったのか知らんが、魔法を破った瞬間に次の手を撃てなかったのも駄目だな。
「勝負あり!勝者八雲さん!」
「お疲れさん。どうだった?あの小娘」
「見ていてわかりませんでしたか?」
「そうじゃな!何はともあれお疲れさん」
「ありがとうございます、ドルドルさん」
馬車に戻りドルドルさんとさっきの試合のことを話し、スゥハさんはどうだったかとかどうやったかとかを聞かれたりした。
とりあえずこれで静かにロッドに行けるな。
しばらくはスゥハさんも動けないだろうし。
そんなことを考えてると馬車が再び動き出した。
ロッドには次の話には着きます………多分。
二つ名が上手く思い付かんかった。だから少し適当になってしまった。許してください!……すみませんふざけました。




