剣士は剣だけじゃない
本日2本目です
遅くなりました
竜を討伐してから三日たった。
それからも冒険者として依頼を一日二つくらい達成していった。
いやぁ、採取依頼はマップでオッケー、討伐はだいたい一撃、しかも一瞬。
これで依頼の高速周回が完成した。
この三日荒稼ぎをしていた。
ついでに実績も
なので早めに銀ランク行けるかな?
ちなみにしっかり毎日20時までに帰ることはできている。
イルミナ怖いもん。
子供達は泣きそうだもん。
……何だかんだで俺お父さんみたいになってるな。
俺の銀ランクアップへの条件は依頼を一定数こなす。
ランクアップ承諾時一定数の承諾を得ることだった。
依頼は高速周回ができるから大丈夫だとして、承諾は微妙だな。
ぽっと出の俺を認めるやつは少なそうだ。
まあ、考えてもどうにもなんないか。
なら、依頼をやりながら考えていけばいいか。
というわけで今日もはりきって依頼を頑張りましょう!
ガチャ、チリーン
毎度お馴染みのこの音を聞きながらギルドに入っていった。
なんだか最近俺に変な名前がつきそうな予感がする。
なんでも白を越えると二つ名がつくらしい。
ギルドが直接決めるそうだが、恥ずかしいなそれ、と思いながら説明を聞いていた。他の人はどんなものかは知らない。聞きたくない。
そういうのを現実逃避というのだ。
まあ、とにかくそんな予感がするからギルドに入るとたまに怖くなる時があるのだ。
今回もその類いで若干怖かった。
それは置いといて。
とりあえず依頼を探してボードを見ていた。
「うーん?最近面白そうな依頼が少ないな」
「あのー。八雲さん?」
そんなとき、恐る恐るといった感じで話しかけられた。
「はい?……ヒスイさんですか。お久しぶりです、かな?それで、どうしましたか、俺に話しかけるなんて。なんかありましたか?」
なんだかんだで、俺ヒスイさんとあのあと会ってなかったんだよな。
「お久しぶりです。八雲さんにお話があって声を掛けさせてもらいました」
「なんですか?話って?」
「それは、ちょっと話しにくいので職員部屋まで来て下さい」
ギルドの職員の部屋ってそういうんだな。
「はい、いいですよ。今でいいですか?」
「大丈夫です。それではこちらに」
なんだろうな話って、なんなあったのかな。
なんだか嫌な予感がする。
ヒスイさんに連れてこられたのは椅子と机があるだけの部屋だった。
「それで、話と言うのは、二つあります。一つ目は八雲さんの二つ名についてです」
「へっ?」
話をすればとはよく言うが、考えればはちょっと聞いてない。
「あの少しだけ説明したことがあった気がするのですが、二つ名が白ランクを超えるとつくんです。それで八雲さんの二つ名が、昨日決まりまして、発表の前に本人に言うのが決まりなんです」
「は、はい。事情はわかりました。それで、どんなのですか?却下はできますか?」
「却下はできません」
くっ!なん、だと。
これで痛いのだったら俺、精神的に終わる
「肝心の八雲さんの二つ名は………魔法の破壊者です」
マジックブレイカーか。字に起こすと、魔法の破壊者だそうだ。
まあ、かっこ良くはあるけど、恥ずかしい。
心が痛い。
ん?そういや、二つ名意識しすぎて忘れてたけど、二つ?
それについてはヒスイさんがすぐに話してくれた。
「そして二つ目は王に八雲さんが呼ばれました」
俺は先程までの考えをすっと消し、その話に集中した。
「国に。もうですか?」
「そうですね予想よりも早かったです」
あらかじめそれが来ると思うと言われていて準備はしていたが、それでも二週間後と予想していた。
俺もギルドも。
一応国とは隔離された組織なので強制力等は無いがそれでもいかなければ直接来るだろう。何なら調べ上げて軍を送ってくるくらいはしてくるそうだ。
後々めんどくさそうだから行った方が良いだろう。
とその時はそれで話が終わった。
「どうしますか?これは今日か明日までにと言うことですが、行きますか?おそらく面倒ごとになると思います」
「だろうな………行った方がいいか。では行こうと思います」
さっき言った通りめんどくさくなる前に行った方が良いだろう。
それに王が相手じゃなにするかわからん
「わかりました。それではこちらの手紙を持って向かってください。期限は明日の15時です」
ずいぶん早いな。問題はないか。
「ありがとうございます」
「お気をつけてください」
そんな言葉を聞きながら部屋を後にした。
俺はこの国について調べた。
この国はウィザード王国の隣に位置する国だ。
名はキャスト王国
この国は周りと比べると大きいな国だが、大きいだけでかなり弱い。
そのくせ数を頼りにした戦い方で戦争をよく仕掛ける国みたいだ。
最後に戦争をしたのは、えっと、今から1年くらい前にウィザード王国に攻めて返り討ちにあってからはしばらくは戦争をしてないかな?
まあ、そんな感じの国みたいだ
警戒は全力でしていこう。
あと、礼儀の作法ぐらいは見ていこう。
そんなことをその日のうちに調べてから翌日王城に向かった。
今が11時か。
すぐ終わるといいな。
王城の前に着いた。
ここからどうしようかな。
この手紙を見せればいいのかな?
とりあえず門番の人に話しかけた。
「すみません。お話いいですか?」
「誰だ貴様」
ん?くそ態度悪いな。初対面に貴様とか。城を尋ねるんだから貴族の可能性もあるのにな。まぁ、いいか。
「俺は八雲と言います。王に呼ばれたためここに来たのですが、どうすればいいかわからなくなりましてね」
「なに?貴様八雲といったな、手紙はあるか?」
伝達はしっかりきているみたいだな。
「はい。これならあります」
「失礼……本物か。少し待ってろ」
そう言って門番は奥に向かって走っていった。
それから数分後、門番が戻ってきた。
「確認しました。八雲様。案内します」
門番の人は戻ってくるなり口調を変えて案内人になっていた。
俺は門番に連れられ門を開け中に入った。
なんか無駄に広いな。
ウィザードの城の倍くらいでかい庭だった。正直こんなにもいらんと思う。
そんな長い庭を歩いて城にたどり着いた。
「ここが、この国の王城でございます」
こちらもまたでかいな。
これ何部屋か余ってない?
とりあえず中に案内されてでっかい扉の前に立たされた。
「ここは王の部屋でございます。少し待っていてください」
「わかりました」
王の部屋ねぇ、だからそんなにいる?
心のなかでこの建物を作った人へツッコミを入れる。
さて、そういうのは置いといて、今の内に内部の人数を確認っと。
春花は一応、ではなく、必ず必要となるため、見る者を使い部屋の中の人の数を見た。
三十人程度かな?
隠れてるやつが五人で王様と王女かな?で二人。
他はわからないが警戒だけはしておこう
そんなことをしていたら案内人が戻ってきた。
「お待たせしました。この先に王がおります」
「わかりました。入ればいいんだね?」
「左様でございます」
さてと王か。面倒ごとにならないと嬉しいな。
そうならないと、春花自身が一番そう思っていた。
扉が開いた。
前にゆっくりと歩き、入る前で止まり礼をして入った。
その後王の前まで歩いていった。
他の人はほとんど大臣みたいな人だった。
「お初にお目にかかる。私は白ランク冒険者、八雲と言います。どうぞよろしくお願いします」
慣れない敬語を頑張って使っている。
「よくぞ参られた。私はこの国の王。キャスト=フォン=アラミックだ」
太っては、いないな。
これで太っていたら、傲慢なやつだと思ってしまうだろう。
「それで?アラミック様は私にどのような話で、呼び出したのですか?」
「それは、お前もわかってるのではないか?」
先程浮かべていた表情はどこへやら、傲慢者そのものの顔をした。
わかっているさ。お前みたいなテンプレの塊の言いそうなことはな。
「この国に付けとか、王直属の部下になれとか、ですか?」
「そうだ。お前はとても強いそうではないか。それで、この国のためにその力をふるってくれないか?」
やっぱりそうか。それに、疑問形で聞いてはいるが、その目や表情は拒否権などないとばかりに高圧的なものだった。
「私はそんなことを言われるほど強くありませんよ」
一応、茶番をうたせてもらおう。
「冗談を、しっかり調べさせてるわ。銀ランクに勝利したこと。竜を一撃で倒したとかな」
まぁ、それくらいは少し調べればな。だが、これは俺にとっての確認だ。
ここで王がイルミナたちについて何か言うなら警戒度は限界突破してただろう。
「なるほど。でも俺の素性がわからないのに国に支えさせるのか?そっちこそ冗談を」
言葉の応酬が続いた。
「しかしお前の実力は本物だ。その力を我が国のために振るってくれないか?」
我が国ねぇ。別に今の俺にここに留まる理由は家しかなく、仕える理由なんてない。それにーー
「断る。俺は自由がいいんだ。それに俺の力は自分とその親しい人にしか使わない。だから断らせていただきます」
俺はそう、ハッキリと伝えた。
そこまで言うと、小さく、けれどわかりやすいようにあざ笑嘲笑い。
「そう言うと思った。だが、イエスと言うまで帰しはしないぞ!」
パチン!
その音を合図にこの部屋の全員が俺に魔法を準備した。
実はこの部屋に入る前、剣と杖は取り上げられていた。
「さあ、ここで死ぬか、我が国に従うかどちらか選ぶがいい」
まあ、そうだよな。
どんな世界でもこういうやつはいるんだよな。
「その前に一つ聞いていいか?」
これは俺なりの慈悲だ。
「いいぞ。なんだ?」
「お前はなんで力を欲した?」
俺は王にその力を欲する理由を訪ね尋ねた。
「そんなの簡単だ!自分のためさ!楽しく遊ぶため、豪華に暮らすためさ。己の欲のためだよ、戦争も力も金もな」
そうか。躊躇いなく断言するか。
デブじゃなくともごみはごみだな
「さあ、答えたぞ。早く選ぶがいい」
「俺が選ぶのはそのどちらでもない。全員潰すだ」
俺は殺気を解き放ち、王を睨みつけた。
一瞬殺気に怯みはしたが、気持ちの悪い笑みは崩れなかった。
何か秘策でもあるのか?それとも俺に武器がないからって侮っているのか?
「無理だな。ここにいるのはこの国の精鋭の魔法使い、銀ランク相当の力を持っているのが、五人以上いる。杖の無いお前を殺すくらい他愛ないぞ」
どうやら、俺に勝てる気でいたみたいだ。
相手との実力差を計れ測れるやつは……一人もいねぇみたいだ。
ふと思ったけど、もしかしてこの世界はそういう能力が低いのかもしれない。
殺気など感じるものが当てられたら流石に反応するだろうが、近接などがほとんどしない世界、それに外見にその実力がでないから、そういうことはわからないのだろう。
「たかが銀か。お前ら勘違いしてないか?俺には剣が無くてもそれを使うための体があり、体術があるんだよ!」
そう自分でもよくわからないことを言って、体術を初めて実践で使う戦いに望むのであった。
「なら、仕方がない。やれ」
王はGOサインを出した。
剣はなくても魔力霧散は働く。
なら、問題ない。
俺は感覚を確かめた。
魔術師たちは俺を完璧に囲むように魔法を撃ってきた。
威力はあるがハッキリ言ってカスだな。
俺はその攻撃を全て避け、雑魚を全てぶっ飛ばした。
言葉通り壁までぶっ飛ばした。
残りの強い五人を全員魔法の詠唱中に接近し顔に一発攻撃を入れて寝かした。
詠唱は早かったがユウナギさんよりは圧倒的に遅い。
本当に銀の実力があるのか?と疑問を抱く程度には遅く弱い。
自信を持っていた割には楽勝だったな。
って、ていうか霧散使わなかったなぁ。
春花は不完全燃焼みたいな決着に納得がいかなかった。実力銀ランクと言われて霧散も使わずに終わるなんて違うなぁ、なんて。
ともかく春花は一瞬でこの国の精鋭を素手で全滅させた。
「で?どうするって?俺を殺すとか、何だったかな?」
俺は全員をぶっ飛ばしたあと、あ然と口を開く王を睨みつけた。
ちなみに先程のセリフは皮肉もつけて言っている。まぁ、気にしてない、というか、気にする余裕もないようだが。
「嘘だ?!この国の精鋭達が魔法も使えないやつに一瞬で?嘘だ嘘だあり得ない!」
さっきの威厳もくそもなかった。目の前の現実が理解できずに発狂し始めた。
周りの奴等は殺してないが、こいつは殺さないとな。
最近できた我流体術のいい実験台だ。
ちょうど正当防衛成立してるんだから。
「さて、言い残すことはあっても聞かないぞ。じゃあな死ね」
「嫌だ嫌だ!死んでたまるか!私は王だぞ!」
子供か?まあいいや。
「我流体術 日輪我天昇!」
春花は王の懐に目にも留まらぬ速さで潜り、アッパー。
そして、空に打ち上がり、俺は持ち前の身体能力でそれよりも高く上がり、陽の光と被るように拳を振り抜いた。
バキッゴキッ、そんな艶めかしい音と共に王は宙に上がりそのまま垂直に外まで飛んでいった
日輪我天昇は敵を打ち上げて自分も上がりそこから相手を下にぶっ飛ばす技?だ。
今回は斜めに飛ばした。
だけどこれ人には使わない方がいいかな?
死体がぐちゃぐちゃだな。地面に落ちた衝撃であり得ない角度に体が曲がって肉が飛び出ている。いや、流石に技が危ないんじゃなく俺が使うから危ないんだろうけど。
正直その成れの果てはグロかった。王の威厳も何もなく、ただの肉片だった。多分カラスにでも突っつかれて消えていくだろうな。
まあ、何より終わったな。というかこの国どうなるんだ?っつうか俺思いっきりやっちゃったけど、大丈夫かな?
いつだって、こういうのは事後に押し寄せてくるものだ。
「あの、ありがとうございます。あのゴミクズの王をこの世から消してくれて」
どうしようかと悩んでいると、そんな言葉が聞こえた。
その方向を見ると、王の隣にいた少女、恐らく王女だろう、が話しかけてきた。
ん?というかあなたいま父親に対してなんつった?
………意外となんとかなるかも?
「どういたしまして。あいつにはムカついたところだ」
ここは素直に礼を受け取り、素直な気持ちを告げた。
下手な嘘はしないほうが身のためだ。
「あの、お願いがあります」
かしこまり、俺の目を見て、頭を下げた。
「私を連れていってくれませんか?」
………はい?
困惑する俺の目には真剣な表情で俺を見る王女の姿しか映らなかった。
若干中途半端に終わってしまいました。
明日までにはスッキリさせないと
ホントに遅くなってしまいました。
今回も見てくれてありがとうございました。
今回は急ぎなので誤字脱字があるかもしれません。
あったらいってくれると助かります。
次回も見てください。




