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魔法でできた世界で俺は剣で最強  作者: 希華
二章 ケジメ
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虚空空間での戦いpart2

前回の続きから、デシキたちの視点でスタートです。



「僕が前に出て引き付ける!援護を頼む!」

「「わかりました!(ったよ!)」」


この状況を脱するためには、こいつを倒すか、ダウンさせるしかない。

ここが何処かわからない以上僕は僕のできることをするんだ。


デシキは今回のことでかなりの責任感を感じていた。

自分が置いていく、と言っていれば、春花に自分だけでって申し出ていれば、二人はこんなことに合わせずに済んだだろう。

春花たちがいれば大丈夫と無意識に甘えていた自分に気付き、だからこそ、決して二人を死なせない、そう考えていた。


ドパンバン!


デシキはまずタゲを自分にするために、キャスターをセーフティを外してから二発放った。

その弾丸は狙い違わずドラゴンの目へと吸い込まれた。


ドラゴンは硬い。鱗やらに覆われているのもあるけど、そのものが硬いが、目やケツなどは硬くない。まぁ多少柔らかい程度だが、それでも通るか試してみないと始まらない。

弱点はつけるときにつかないといけない。余裕はこっちにはないのだから。


『グゥァアアア!』

「よしっ!」


デシキの弾丸はデシキの想像の最高を行った。

目を撃ち抜かれて、赤い血を流した。二発とも両目へと行き、初手としては最高の一撃となった。


「離れな!」

「師匠!行きます!」


丁度そのタイミングに二人の魔法は展開され、放たれた。


「フレイムストライク」

「アクアショットォ!」


二人とも、自分の使える最大の攻撃、基本魔法の最高威力の魔法を選んだ。

目の痛みに苦しんでるドラゴンは回避は愚か、まず見ることも出来ずにその二つを直撃した。

しかし


「ッッ、やっぱりあんまし効果はないみたいだねぇ」

「わかってたけど悔しいです」

「大丈夫、なんとかなる!」


効果を示さないことに少なからず暗い雰囲気になることを見越してデシキは次に励まし、その間キャスターを打ち続けた。


ガキィンカァン


硬すぎる。さっきのは柔い部分だったから抜けたけど、流石にこれは……………ならっ。


デシキは何かを思いつき、先よりも集中しある一点を見始めた。


ドパンパンパンドバンドパン。


ひたすら無口に引き金を淡々と引き続ける。

当然なんの抵抗をしないドラゴンでもあるわけない。

見えないのならと、無差別にブレスを吹き始めた。


それでもデシキは引き金を引き続けた。

ブレスは見えてないように、否、本当に意識の外にあるのだろう。

だが、それだけ攻撃を受ければドラゴンだって相手の位置を捉える。


『ガァァッ!』


気合い一発、特大のブレスをデシキへと放つ。

それでもデシキにはそれが見えてない。


そのブレスが迫っていく、数十メートル、数メートル、何センチ、そこまで来ると、壁に阻まれるようにブレスは止まった。


「かぁっ、耐えるよ!」

「わかってます!師匠には火の粉ひとつ当てさせません!」


当然、フェルとティンガーだ。

結界を張り、デシキを守る体勢に入った。

二人は先程から動かなくなってひたすら目線と銃口を動かして引き金を引き続けるデシキを見て、自分たちの攻撃は通じない、なら何かをしようとしてるデシキのサポートに全振りすることに変えて、ここまで上がってきていた。


耐えろ私!ここで倒れたら、女が廃る!何より友達って堂々と言えるわけない!


俺はっ!師匠の弟子なんだ!ここで倒れるわけも、出来ないわけもない!


それぞれの思いを力に変えて、力の限り、結界を張り続けて、デシキを守り続けた。



あと少し、あと少し、あと少しで通せる。


デシキは一人、自分の世界に案を作り極限の集中状態。俗に言うゾーンを見せていた。

他はなにも見えてはいないが。

勝つためにはこうでもしなければ出来ないことであった。


ピシッ


きたっ。


「フルパワーモード!貫けぇ!」


ズゥドォン


腹の底まで響き渡る轟音と共に放たれた弾丸はデシキの全ての魔力を込めた弾丸。

キャスターの特性上、相手との距離に応じて威力は上下する。

そのため、撃つ瞬間、デシキは結界の先へと飛び出して放った。

これで仕留められなければ終わりと思って、出し惜しみも無し、全てを掛けた弾丸。


キュゥゴォっという空気を猛烈に裂くような音をたてながら弾丸は狙い違わず、ドラゴンの心臓へと伸びた。


本来ならフルパワーでもドラゴンの皮膚を抜くことは出来ない。

だからこその先の作業だ。


やってたことは心臓のあるであろう皮膚へと弾丸を撃ち込み続けていた。

幸いだったのは、このドラゴンは四つん這いで歩く形でなく仁王立ちで立っていたことだった。

そのお陰で楽に撃ち抜くことが出来た。

恐らく四つん這いだったら心臓の付近へと撃ち続けることは出来なかっただろう。



その弾丸はしっかりと心臓へと伸び、そして……………穿った。

衝突の瞬間に、先程の亀裂から順を追うように体の全てを壊した。


『ギャァァァ………』


断末魔の声をあげながら顔から倒れていくときには、すでに原型をとどめないほどに粉々だった。


「やったじゃないかっ」

「流石です、師匠!」


この壊れかたは、あり得ないなぁ。

これ、もしかしなくても魔法だったりする?


デシキは二人が喜び会う隣で少し冷や汗を流してこのドラゴンについて考えていた。


「でも、倒せたからよしとしよう。…………おっと」


魔力を使いすぎて、少しフラフラする。


「大丈夫かい?ほら肩ぐらいは貸してあげるよ」

「ありがとう」


そんなデシキを見たフェルゴールは支えて、その上で肩を貸すと言った。

ちなみに貸してもいい、ではなく貸す、だ。

こんなときだから拒否権なんてない。

デシキもそんなフェルゴールを知っているため、特に迷わずに肩を貸してもらった。


「師匠大丈夫ですか?」

「うん。しばらく休めば大丈夫。魔力の使いすぎと単純な疲労だから」


ティンガーも同様に心配して声をかけた。

デシキは間をおかずに返答を返した。


「はぁぁぁ。先を急ぐか、それとも休んでいくか」


そして次の思考へと入っていくのであった。



・・・


俺は切り裂いた空間へと足を運んでいた。


進めど進めど、終着点は無いな。

だが、風はあるんだよなぁ。

少なくとも虚空の空間じゃないか?


春花は慎重に、けれども迅速に探索を進めていた。



それから一時間探しているが、何も見つからない。


もしかしたら、無理やり入ったことでこの空間に本来とは違う感じのことでも起きたんかね。

知らんけども。



「…………むっ、気配」


それは突然のことだった。

なんの前触れもなく突然、たくさんの気配が出現した。

しかし


「敵意どころか、好意を持たれてね?」


そういうのに鈍感な俺でもわかるのはそういうことだ。

なんと言えばわかるかぁ、旅館に着くとお出迎えされるやつ。


「ようこそ、八雲様」

「…………なんのようだ。お前は誰だ?」


そこにいたのは一人の女だった。

俺のことを知ってるみたいだが、会ったことは無いし見たこともない。

ただ、気になるのは………メイドさんなのだ。

その女は。


「えっと……………誰の使いもんだ?」

「こちらへどうぞ」

「いや、話聞けよ、というか答えろよ!」


なんか、俺の話無視してません?この人。

多分誰かのメイドでそれで主のところへ連れていきたいんだろう。

だがなぁ。まぁ、でもやることはこれぐらいしか無いし行くしかないよなぁ。


「はぁ、どっちだ」

「こちらでございます」


俺はそのメイドについていくことにした。




いつの間にか、明るくなった辺りを見回しながら、注意を外さずついていくことおよそ八分。


「着きました。この先でございます」


そこは、なんと言おうか、まるで()()()()()のような場所だった。

だが、あるのはゴミだけでなく、人もいた。


「ッ。ここはなんだ。というかこんなところで何をしてやがる」

「ここは、捨てられた者の生きる場所にございます」


まさか、本当にそうだったとは。

だが、確かにそこら中に生活感のある痕跡がある。

…………骨となっているものもあるが。


「ここに連れてきたのは、何のためだ」

「貴方にお願いがある、と言っておられました」


お願い、か。何が、楽しくてここにいるかは知らんが、何かあるんだろうな。

だが、少なくとも、俺に害をなせるだけの力はこの辺にはない。

直感だがな。


春花はここまで来たらとそのお願いとやらを聞くためにそのメイドの主に話を聞きに行った。




「来たわね」

「……………あんたがこれの主か?」


思ってたんと違うけど、確かに威厳はある声と態度だ。

見た目は……………


「おい、何が子供だ」

「いや、ただ言動的に子供は無いかなぁって思いつつも、これは俗に言う合法ロリキャラなのだろうってな」

「だ・れ・が!ロリキャラだぁっ!」


うん、なんか可愛い人だ。


奈癒再なゆさ様。本題を」

「ん?あぁ、そうだったわね」

「いや、ちょっと気になることが聞こえたんだが?」


二人はそれを気にしないように話を始めた。始めやがったよ。


「私は九樹くじゅう奈癒再。こっちは私のメイドのユミルよ」

「ユミルです。以後お見知りおきを」

「お、おう」


というか九樹ってことは間違いなく日本じぃん?


「よろしくお願いします。俺は八雲と言います」

「やはり同郷の人ね」


そういうことだな。


「で、こんなところにまで呼んで何をさせたい」

「単刀直入に言うと、この空間を壊してくれね?」


舌を出してお茶目感をだしてお願い?してきた。


俺はなんとなく前に近づいて……


「ふん」

「あだっ!」


拳骨を一発落とした。


「いきなり何よ!」

「いや、なぁーんかムカついた」


本当にただムカついただけ、理由はナッシング!

なんか前にもこんなやつがいて、同じようなことをしたことがあったなぁ。


「まったく!突然レディを殴るなんて非常識な人ね!」

「「レディ?」」


俺はこのユミルっちゅうメイドと初めて心が通じた気がした。


「二人して何よ!ホントに、むぅ」

「奈癒再様、ホントにそろそろ本題を」

「あぁ、頼むぜ〜〜」

「あとで覚えておきなさいよ」


奈癒再はここにくるまでの話から、先程のお願いのことまで話し始めた。





「というわけよ」

「成る程なぁ。本当にこの国はくそなんだなぁ」


話によると、ここはさっき言った通りゴミ箱。ただし人間の、だ。

ここには国の不利益やら、神の意向に逆らったとかで捨てられたそうだ。

奈癒再はなんでも聖女さんを越える回復の持ち主で聖女の立場や神のうんたらで邪魔になりここに来たそうだ。

ユミルはある貴族さんの家で働いていたが、家族を盾に脅されて色々あったそうだ。その中で神を侮辱、もといい否定してここに来たそうだ。

この空間は魔法による結界と魔法の封印を施された神具しんぐらしい。神具って寝具と間違えそうだな。

それは置いといて、その結界と神具はこの空間内に存在して壊せるかも知れないが、そこに何もおかない馬鹿じゃない。

こちらも自動迎撃の能力を持った神具が配置されている。

魔法が使えない中でそんなものに勝てるはずもなく、諦めてここで生活していたそうだ。

どうやって生きてたかは知識チートを使ってたみたいだ。

そんな生活を続けながらこの神具を砕ける力を持っている人を待った。

この空間は、あの虚空空間と繋がっているらしい。

しかし一応一方通行。こちらから入れても虚空空間からは出ることは出来ないらしい。

そんなときに俺があの空間を斬ったらしい。

それをどうやってか感知した奈癒再はそこにユミルを向かわせたらしい。自分で行けよな。


成る程なぁ。

色々とあるんやなぁ。


「引き受けても良いが。一つだけ条件を付けてくれ」

「なに?」

「俺の連れが虚空空間のなかにまだいるんだ。お前は感知出来るんだろ?」

「………まぁ」

「だから、みんなを回収してからなら」


流石に俺一人がノコノコと脱出なんて死んでもあり得ねぇ。

だからこそ、みんな一緒ならいいよ?と言ったのだ。


「危険がございます。奈癒再様が向かわなければ行けないのなら私は了承しかねます」

「……………良いわよ」

「ですよね、断りますねって、良いのですか!?」

「俺が言っておいてなんだが良いのか?」


なんか、ほんの数秒で決めていい内容じゃない気がするのだが。


「だって、貴方のような存在が次に来る可能性なんてゼロに等しいからね?」


そりゃぁ、俺みたいな魔法世界の剣士なんてやってるやついるわけ無いよなぁ。しかも霧散とか色々と持ってるやつなんて。


「あってるでしょ?」

「確かに。まぁ将来を考えるか命優先で考えるかの違いだな」


こいつ、人の心を読むのが得意そうなんだなぁ。

見た目これだけど、凄いやつかも知れん。侮れん。


「そうです、ね。仕方ありません。八雲様。絶対に!守ってください。私も戦えますがたかが知れてますので」


ユミルさんも折れた。

よし、これで脱出の目処がついた。



そんな希望を手に新たに二人を連れて、もと来た空間の近くへと足を向けたのであった。




ヤバイ、partいくつまでやれば終わるかな。

思ったよりデシキのやつとか奈癒再とか楽しくなっちゃって。


なんか、イズナから普通の春花に戻ってるのに、反転を戻し忘れてたのを思い出して、前のやつに無理矢理ねじ込んできた。



完全に忘れてましたが、ブックマーク百件を超えてました。ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。


見てくれてありがとうございました。



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