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魔法でできた世界で俺は剣で最強  作者: 希華
一章 家族
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異世界は魔法が全ての世界なのになんで、俺は剣士なのだろうか?


 

 俺、八雲 春花はその日ゲームをしていた。


 魔法を使って自由に生きることのできる世界、というのが売りのゲーム。


 世界観としては、最近ラノベでよく出てくるような異世界に近い感じで、原始的な世界から魔法という力で発展してきた世界。

 魔法が強く、便利で魔法があればなんとかできる世界。

 言い換えると魔法至上主義な世界。魔法以外の物は論外とされる。


 俺も最初は使っていたが。だが、途中から魔法がとても弱く思えたのだ。


 なぜなら、魔力が無くなれば、魔法は使えなくなり、その途端、何もできなくなる。

 近接戦闘になればその瞬間に魔法は足を引っ張るものでしかなくなる。


 他にも理由は色々あったが、俺には魔法なんかよりも剣の方が圧倒的に強く見えた。


 剣は体力があれば戦い続けられる。

 体力の限り動き回って回避し続けて、魔力切れを狙うこともできる。


 幸いなことに、俺には剣を振るうセンスがあった。

 だから俺は魔法が売りのゲームを剣でプレイすることにした。


 当然ながら他に剣を使っているプレイヤーはいない。

 サブウエポンとして持っているやつはいるがメインで使っているのは恐らく俺だけだろう。


 それから俺はそのゲームをやり込み始めた。

 最初の頃はステータス的な問題で全然だったが少しずつステータスを上げていき、強くなっていった。


 そして俺はそのままやり込み、遂に俺は剣でそのゲームのトップ集団にまで上り詰めた。


 そして、現在次のゲーム内イベントに向けて徹夜していた。


 何故そのイベントに徹夜してまで力をいれるかというと、そのイベントは公式ランキングの順位変動のイベントなのだ。


 今の俺は非公式の順位は持ってるが公式の物は持っていないので、それのためにもこうしてやり込んでいるのだ。


「っぅ、ハァーー。つっかれたぁー」


 今現在午前6時30分であり、始めたのは2日前の午前6時。48時間30分もの間、食事やトイレ、お風呂を除いた時間、ゲームをし続けていたのだ。


「もう、学校か、……楽しい時間は短けぇーな。……30分寝たら行きますか」


 そのまま俺は短い眠りについた。


・・・



 あの日は大雨だった。


 いつも通り帰ってくると、そこには……あの人が倒れていた。


 俺はあの人に何もできなかった。いつも疲れた表情をしてていつ倒れてもおかしくはなかった。それがあの日だったってだけだ。


 それでも、無理にでも休ませることくらいできたはずだった。それをしなかったのは『大丈夫』っていつも通りの笑顔を見せてきたから、俺は何も言わなかった。言えなかった。


 そうして俺はあの人を失い、泣いて喚いて、今までで一番、強さというものを求めた。


 そのときからだ。俺が俺になったのは。



・・・



 ピピピピッピピピピッ……


「うっ、まぶしっ」


 アラームの音によって起きた俺は30分という短い睡眠から目を覚ました。


 目が疲れてるのかわからないが日差しが痛い。

 時間は7時。遅刻という言葉が頭を通ったが、それを気にしないように、悠々と支度を始めた。

 家に親はおらず、唯一の妹も委員会活動とかで朝早くに出ていった。


 そのため、焦らせる人もいないため、自分のペースで悠々と支度を進めた。

 ちなみに朝飯は菓子パン二袋を着替えながら食べた。


 もう一つちなみにパンはチョコ味の蒸しパンとメンチカツのサンドイッチだ。


 支度を終え、家を出たのはその40分後だった。




 そうして春花が学校についたのは遅刻ギリギリ。

 どれくらいかというと、春花が席に座った瞬間、先生が扉を開けて入ってくる、くらいのギリギリだ。


 先生は出席を取り、ホームルームを始めた。


 その間に俺はホームルームの話の内容など気にせず、ゲームでやったことをノートに整理していた。


 今回の徹夜して手にいれたスキルを見ると達成感を覚える。

 そして、整理が終わり、ノートを閉じた。

 その時丁度ホームルームも終わった。


 一度立ち上がり礼をして先生はクラスを出た。


「こうして、また、つまらない日々が始まるのだった」


 なんてな。


 誰にも聞こえない声で春花はそう呟いた。


 誰かが、何でもないことを話して笑って、授業を受けて、弁当を食って、また授業を受けて、部活をする人はして、帰る。

 そんななんてことのない日常が。始まる。そう信じて疑ってなかった。



 しかし、そんな春花のつまらない日々は唐突に終わりを告げる。


 それはお昼の時間。クラスメイトの全員が持参した弁当を食べるためにクラスにいた頃それは起きた。


「なっ、なんだ!?」


 突如現れた光にクラスが騒然とした。

 当然俺も突然の事態に驚きどうしたものかと頭を悩ませた。

 しかし、何をすべきか悩んでいたうちにクラスが目映い光に包まれ、クラスの全員がその光の眩しさに目を閉じた。


 その瞬間、俺のつまらない日々は終わりを告げた。







 次に目を開けたときに広がっていたのは見慣れた学校ではなく真っ白い壁、豪華なシャンデリア、魔法陣みたいなものが描かれた地面、そして、突然のことに戸惑う俺たち。


 俺は突然のことに状況を整理しようとしたが、頭の整理が追い付かない。


 そして、ようやく落ち着いて来た頃に俺たちの周りに大勢の人たちが、なにやら歓喜?していることに気づいた。


 見慣れない場所、見慣れない服、突然の謎現象。


 状況を整理し、そして春花は結論に至った。


「俺たちは異世界召喚でもされたのか」


 他のクラスメイトたちも同じような結論に至ったのか混乱してたり歓喜したり人それぞれな反応をしていた。

 ちなみに俺は混乱の方だ。理解はしているが意味はわからないみたいな状況である。


 その春花たちの状況を飲み込めたときを見計らったようなタイミングで一人の女性が近付いて来た。


「異界の大魔導師様方ようこそいらっしゃいました。私はこの、ウィザード王国の第一王女、ウィザード=フォン=メルナと申します」


 腰に届くくらい長い金髪に碧眼の身長150センチくらいの女性が、そんな風に俺たちに対して話しかけて来た。

 その挨拶に思考中の意識を戻した。

 クラスメイト、主に男組は本物のお姫様だぁって顔をしてた。何人かはキモい顔してる。


「ご丁寧に挨拶をありがとう、僕はこのクラスの委員長の一ノ瀬勇太だ」


 と、挨拶を返したのが俺のクラスの委員長の一ノ瀬だ。

 日本人特有の黒髪黒目。身長が175くらいで、そして顔が俗に言う爽やかイケメンってやつだ。

 そのムカつく顔をぶん殴りたいとたまに思うくらいのイケメンだ。そして善人ってやつだ。


「いきなりで失礼ですが、今のこの状況について何か知ってる様子。この状況について教えてもらえませんか」

「すみません、そうですよね。ご説明しますと、まず、今いるこの場所は皆様のいた世界とは異なる世界です。そして、皆様をこちらにお呼びしたのは私たちです。呼び出した理由は皆様にこの国を救っていただきたいのです」


 予想は違わず、やはりここは異世界なようだ。

 それにしてもずいぶんと腰の低いこった。

 罪悪感があるのか、それともやましいことがあるのか。


 春花はお姫様、否この世界の人たちが信用できるのかそんなことを計っていた。


「なるほど僕たちは貴方達に異世界に呼び出されたのですね?それで、この世界はどのような世界なのでしょうか?また、元いた世界に帰ることは可能ですか?」


 何でそんなに落ち着いて話せるんだろうね。相手は一応王女、しかも初対面なのに。それに異世界に呼び出されたってそんなにあっさり受け入れるのかよ。

 こういう異世界ものが最近増えたからそのうちの何かを読んでたのかな?


「まず、この世界は魔法が栄えています。私たちは皆、魔法を使い生活しています。日常的なものから戦う時まで、だいたい魔法が使われます。詳しいことは後でお話しましょう。そして皆様の元いた世界に帰れるかという質問ですが、答えは今のところはNOです」


 どうやらこの世界は魔法がありその魔法によって栄えているみたいだ。

 剣と魔法の世界でなく、魔法だけの世界。何だか今朝までやってたゲームみたいだな。


 そして、俺たちは、一方通行な異世界召喚をされたようだ。

 だが、魔王を倒せば〜みたいなことは言わないみたいだし悪い人たちではないんだろう。

 それも、今のところだが。


「そうですが。それではもうひとつ。この国を救うとはどう言うことでしょう?」

「はい。今私たちの住む世界には魔王と呼ばれる存在がいて、私たちの国はその魔王の軍勢に支配されようとしているのです。それで、言い伝えにある、世界が支配されようとしているとき異世界から大魔導師を召喚する。その魔法を知り、藁にもすがる思いで行った結果、皆様をお呼びすることになったのです。どうか魔王を倒してこの国に平和をもたらしてください!お願いします!」


 と、長い説明が終わると同時に周りの奴ら含め頭を下げてお願いしてきた。


 うーん、結局魔王倒してくださいかよ。

 まぁ、自分たちの私利私欲のために呼んだんじゃなければまだいいが。


「頭をあげてください。この世界の事情もある程度わかりました。少し時間をください。皆で話し合って決めるので一度、出ていってもらってもいいでしょうか?」

「わかりました。しばらく皆部屋から出ます。話が終わったら、外で待機してますのでお呼びください」


 そういって俺たち以外の人は出ていった。


「さて、皆話しは聞いていたと思うがどうする?戦うか?それとも、戦わずここに残るか?別にどちらを選んでも構わない」


 そういって皆に問いかける。

 皆近くの人と話したりしていた。


 そして俺たちは、全員戦うことにしたようだ。

 無論俺もだ。まぁ、流れでそうなった感凄いけど。

 別に元の世界に未練とかそれほどあるわけでもない。あるにはあるが、それに関しては多分大丈夫だからな。

 今のところはのんびりとゲームのように強くなっていけばいいだけっぽいからな。

 ただ、こいつらが俺を利用とかするようならさっさとズラかるけど。


「よし、僕たちはこの世界で戦うことにする。途中で降りてくれても構わない。苦手な人は参加しなくてもいい。戦う人は、無理をせず、協力していこう。そしてこの世界を救い、帰る方法を探そう!」

「「「オオーーー」」」


 こうして、俺たちは魔法の異世界で戦うことにしたのだ。





「皆様ありがとうございます!」


 一ノ瀬は先程の結論を戻ってきた王女に伝えた。


「いえ。僕たちは帰るために、という目的もあるわけですから」

「目的はどうであれ、みなさんは私たちのために戦ってくださるのですから」

「少し恥ずかしいな」


 なんだ?いきなり主人公ぶって。テンプレな王女メロメロ展開狙ってるのか?


「では、皆様の能力を見に行きましょう」

「さっきもおっしゃってましたが、それは具体的にどう言うものなのですか?」


 どうもこうも、多分ステータスとかだろ。魔力量とかそういう。


「能力というのは、使える魔法の属性と魔力の量とスキル、魔法適正職というのがわかります」


 ほらな?ただ、一つだけ聞き覚えのない、単語が聞こえたな。


「んっ?その魔法適正職とはなんですか?」


 そう、それ。代弁してくれてありがとさん。


「魔法適正職というのは、使える魔法のランクやスキルなどで決まり、職は魔法の威力や精度などを、上昇してその魔法に特化した魔法が使えるようになる、というものです。例えば私は治療魔術師で、回復に特化した職です」


 なるほど、その職で役割が決まるのか。

 ということは間違いなく一ノ瀬は勇者だな。


 春花には一ノ瀬に対しての謎の確信があった。


「それでは、能力を測定します。皆さん一人ずつこの石板に手をおいてください」


 ふーん。ステータスプレートみたいのはないようだ。


「僕からいこう」と、一ノ瀬。

 前に出て、石板に手を触れた。

 そうすると石板の真上にゲームのステータス画面みたいのがでてきた。



 一ノ瀬 勇太


 魔法属性

 火 水 風 光+


 ステータス

 攻撃力50

 魔法攻撃力 5000

 防御力100

 魔法防御力 1000

 素早さ 100

 魔力 20000

 魔法適正職

 勇者


 スキル

 高速詠唱level10 同時詠唱level3

 火魔法level1 水魔法level1

 風魔法level1 光魔法level1



 やっぱり勇者だったな。というか魔法の世界でも勇者あるんだ。賢者とかじゃないの?


「なんかすごいステータスだね?」

「はっ、はい。なんですか?このステータスはこんなの初めて見ました」


 一瞬の方針状態から一ノ瀬のその声により現実に戻った王女、目が飛び出さんばかりの驚きようは、その凄さを示している。俺はこの数値見てもすごいのかどうかはよくわからんからな。


「ちなみに勇者はどんなことが出来るのかな?」

「勇者は適正の魔法の威力が全て上昇して、また詠唱の時間が半減以上になります」


 おっ、おう。イケメンはスゲーな。

 一ノ瀬のスペックがえぐい。

 一つの魔法を撃つ間に一ノ瀬は魔法が二つも撃てて、しかも威力は高く、四つの魔法に加え、それ以外にもプラスだからこの先も増えていくんだろ?

 これ、他の奴等いらなくない?


 ちなみに他の奴等は

 魔法属性がだいたい1つステが

 攻撃力10

 魔法攻撃力1500

 防御力25

 魔法防御力150

 素早さ50

 魔力1000

 で、スキルが属性魔法一つってな感じ。

 いかに一ノ瀬がチートかわかっただろう。


 そして俺は最後だった。

 周りの連中はみんな一ノ瀬のところにいっている。

 ようするに、俺はボッチだ。


 ま、まあ、ステータスをみられる心配がないからいいけど。簡単には自分の手札を見せない。


「ま、俺なんてなどうせあいつらと同じくらいだろ。魔法?くそ食らえだったしな」


 今朝までやっていたゲームとの違いを感じて自虐くさいことを口走って自滅した。

 その思考を振り払い俺は石板に手をおいた



 八雲 春花


 魔法属性

 ???


 ステータス

 攻撃力 100000

 魔法攻撃力 100

 防御力 2000

 魔法防御力 50000

 素早さ 10000

 魔力 100000

 魔法適正職

 剣士


 スキル

 剣術level100 体術level100 身体強化level50

 二刀流level50 切断level10 限界突破


 ユニークスキル

 魔力霧散 我流 世界を見るもの



 ふぁっ?!んだこれ……


 剣士?丁度今朝までやってたゲームみたいなもんじゃねぇかよ!?


 でも、ステータス総合値は勇者である一ノ瀬より強いな。というか、初期スペックか、これ?

 気になるのは魔法攻撃が平均より大幅に低いのに魔力はめちゃくちゃに高い。

 あとはユニークスキルかな。何でもってんだ?主人公っぽい一ノ瀬すらなんも持ってなかったよな。


 色々とヤバいこのステータス。幸運なのは誰にも見られなかったことだな。ボッチ(災い)転じて福となすってやつだな。……言ってて悲しくなった。


 さて、どうしょう。

 これだとバカ正直に見せれば色々めんどそうだ。

 魔王退治だとか特訓だとか勉強だとか、異世界なのに、そんなの超つまんねぇな。

 やべー。寝たい、逃げたいゲームしたい。どうしよう。

 こんなことならゲームとか充実してる元の世界の方が何百倍もいいぞ?


 春花はしばらく一人で考え込んだ。


 そしてしばらくして結論を出した。


「……個人行動をするしかないか」


 ということになった。

 異世界生活ってのは、アニメや小説のように思いどおりに行かないもんだなぁ……





はじめまして、希華と申します。

趣味と、日頃のインスピレーションみたいなものを発散しようと始めました。

始めてなので失敗は多いと思いますし、下手くそかも知れませんが、少しずつ、書き方等を覚え少しでもいいものを届けられればいいなと思っています。

この作品と共に成長していけるように頑張ります。


もし、よかったとか、面白いとか思ってくれると嬉しいです。よかったら評価やブクマを押していただけるとモチベにも繋がるので、お願いします。



見てくれてありがとうございました。



追記

現在改稿中のため内容が途中でおかしくなる箇所がありますが、そういうもんだと思ってくれると幸いです。


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[気になる点] ●肩に届くくらい長い金髪 →肩までの長さの髪は珍しいことではないのではないでしょうか。「〜に届くくらい長い」という表現は、一般的ではない時に用いた方がしっくりくると思います。主人公たち…
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