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悪役令嬢として

 

 毎朝やらなければならない事を告げられる日々は、本当に憂鬱(ゆううつ)になります。




 《今日はこの場所であの令嬢を鼻で笑うように見る》


 などはましな方。


 《あの令嬢に「いい加減お気づきになったら?貴方の顔を見るのはもううんざりなの」と告げる》



 何故言葉まで制限されるのでしょうか……。



 しかし最近、指令には数が決まっており、全てこなせば監視からある程度逃れられると気がついたのです。


 前までは任務をこなすことを躊躇(ちゅうちょ)していたために、行動までが遅く、気がつかなかったのでごさまいます。



 気がついてからは図書館で密かに読書をする事が日課になっております。



 そして、神託について載っている本を探し、解ける方法はないかを見つけようとしておりました。

 しかし、そこまでの時間はなく、図書館で誰にも見つからずに本を探すことも難しい為に進んでいないのが現状でございました。



「はぁ…………」



 令嬢らしくあれとは思いますが、ため息は抑える事ができません。



 1ヶ月ほど前、ここで本を読んでいるのを婚約者様に見つかってしまった事がありました。



 足音がする方を見ると驚いた顔でこちらを見ている婚約者様がおり、慌てた私は荒く本を置き、逃げるように去りました。



 後から思えば悪役令嬢にはあるまじき姿であったでしょう。

婚約者様に褒めてと迫った方がよほど嫌な令嬢であったと落ち込んだ事を思い出します。


 間違えた対応は次の日に多くの指令が届く場合が多いのです。気をつけなければなりません。



  ですが、少し、本来の私に気がついてくれたなら、という気持ちもあったのだと思います。




 一点だけこの悪役令嬢になれて良かったと思う点があるとすれば、

 それは、大人になってからも婚約者様の名前をファーストネームでお呼びしている事。


 きっと本来の私であれば堂々とお呼びするなんて出来なかったと思うのです。



「……ハイハルト様」




お読み頂きありがとうございます。

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