ハイハルトの妻になるのは私です
神は私に貸しがある。
一度、私を間違えて殺してしまったからだ。
あれは貧乏で、毎日パンが食べられないような日々を送っていた時だった。
次の日には死にそうな家族たちを見ながら、私はバカらしくて死んでこようかなと思ったのだ。
1人分の食事が増えればまだマシになるだろう。そう思って外に出て、歩き出そうとした瞬間、突然勢いよく走ってきた馬車に轢かれていた。
それは、いつもなら来ることがない乗り物だった。こんな田舎に馬車に乗る人物が来ることが考えられない。そんな事を考えながら死んだ。
本当は馬車は次の日には来る予定だったらしい。
それを神の都合で早めに走らせていたら飛び出して来た私を引いて殺したようだ。
面白かった。死のうと思っていたし、おそらく明日には死んでいたと思うのに、神が必死に謝っている。望みを叶えてやろうと。
「なら、不自由のない生活がしたい。でも、一番は私が好きになった人と結婚できるようにして」
そう言うと神は“わかった、ただし人の心は動かせぬ、手助けだけだ。”と言って私を世界の輪廻に戻した。
それからマリアと名付けられ、6年後、国王によって貴族の子供達が集められた時があった。
その時に見つけた男の子、ハイハルト・ロイスベーク。彼に一目惚れをしたのだった。
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