神は見た。
ハイハルトさんのかっこいいイメージを壊したくない方は読まないほうがいいかもしれません。
神は見えているんだよという話
中盤辺りです
授業も終わり、ちらほら帰宅する生徒たちも出てきた時間。
いつもあれは自分に「透視」の魔法をかけて行動し始める。
ハイハルト・ロイスベーク
いつも行動は決まっている。
花壇を見に来るリリアンローズのほほ笑みを見てから、許可を得ている王宮の図書館で本を読み漁る。
ほぼ毎日この行動を繰り返している。
正直気持ち悪い。
「透視」の魔法は他の人から見えなくなるだけではなく、建物などをすり抜けたりする効果があり、通常の人間はもって2分位だが、この男は2時間位使うことができる。
そもそも、リリアンローズの花壇でのほほ笑みを誰にもバレないよう見る為だけにこの魔法を習得し、継続時間を延ばしたことだけでもちょっとやばいのに、誰にも見られてないと思っている為か、すごく近くで真剣に見ている姿も不審者に近い。
ダンスパーティーなどで、リリアンローズが悪役令嬢としてのセリフを頑張って言っている姿も彼にとってはご馳走らしく(どうせ、あんなに辛そうにあのセリフを話してくれるなんて、なんて儚げなんだろうとか思っているんだろう)終わった後にちょっとにやけて真顔になるのを繰り返している。
恐らく、リリアンローズの気持ちを考えると、にやけてはいけないと考え直して真顔に戻るのだろうが。
こいつは大丈夫なのか。
リリアンローズの母親と話してから数日は考え込んでいたが
「やはり、今私は、彼女の事が好きなんだ」
とつぶやいてからこの有様だ。
いや、好きすぎかよ。
直接彼女に思いを伝えられないことがより彼を変態に近寄らせている気がする。
いつも完璧な仮面を被っているだけに差がありすぎて最早怖い。
ああ、早くこれを終わらせないと。
そう思いながら身を震わせた。
お読みいただきましてありがとうございます。




