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彼女が彼女として
「………………!」
ああ!ああ!これで!これでやっと!
私は解放されるのだ!
そう思った時、体を抱きしめられ、耳に掠れた声が届きました。
ーーーーおかえり。
そう言われた瞬間
胸に刺さっていたナイフが閃光のように輝き、一瞬目をつぶります。
すると、目の前にはあの時の神。
「リリアンローズよ。お主が終わらせたこの喜劇、素晴らしいものであった」
神は僅かに微笑むと私を指差しこう告げます。
「お主には我から永遠の祝福を授けよう」
その言葉が終わる瞬間、キラキラとした光が降り注ぎ辺りを照らしました。
なに、
何が起きているんだろうと、思いました。
私は、死んだはずなのに。
「リリィ、リリィ」
ああ、私を呼ぶ声がします。
懐かしい、昔、貴方が呼んでいた呼び名。
ここは天国なのでしょう。
目の前が霞んでよく見えません。
天国ならば、私の言葉を告げても、許していただけるでしょうか。
届くことのない告白を。
「…………ずっと愛しておりました、ハルトさま」
そう言って、私は意識を落としました。
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