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素晴らしい舞台。
あの女がおかしくなったのは何も最近の話しではない。そもそも初めから気味が悪い女だと感じていた。
美しい外見と天才的な頭の良さ、それだけが彼女の取り柄だった。
取り柄だったはず、だった。
おかしくなり始めたのは学年が2つ上がるころ。
テストの回答に間違いが増え、輝くような髪も艶を失い、肌も化粧で誤魔化せなくなっていくのが伺えた。
チラリと腕の中の女を見る。
ボサボサの頭にボロボロの肌、ネイルの入った爪も噛み跡でガタガタに崩れている。
私が愛して止まないと、そう信じて疑わないその瞳。
きっと私は上手く笑えている。
舞台には演出が基本だろう。
なぁ、神よ。
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