月島雄一郎はラノベ作家である⑨
お待たせしました。
エープリルフール回?です。
月島雄一郎はラノベ作家である。
「私は泉の女神、貴方の落としたのは、この金のノートパソコンですか?それとも、この銀のノートパソコンですか?」
暗闇の中、溢れだす光る泉の水。今、思えばあれば魔力の奔流だったのでは無いだろうか?
その中心に立つ女神と名乗る一人の女性。
今の置かれている状況に月島は多少狼狽えながらも、冷静に分析を始める。
――
ここは月島の実家の蔵。
小説のネタ探しに何十年も開けられていない蔵に入った月島は、一つのスクロールを見つける。
興味本意に唱えてみたスクロールの呪文が、今のこの状況を作ったのだが…。
いきなり現れた泉に、持っていたノートパソコンを転んで落としてしまいこの結果…これ金の斧、銀の斧のあれだよね?
――
少し、落ち着き物語の結末を思い出す。そして、言うべき一言は、最初から解っている。
「いえ違います。」月島の言葉に女神の顔が笑顔になる。こちらまで、微笑みたくなる様な笑顔だ。
その美しい笑顔が…。
「私の落としたは、貴女です。」
酷く、無表情になった。
あっ、これは女神がしてはいけない顔だ。
「残念でした。貴方の落としたのは、このノートパソコンです。私では、ありません。」
酷く機械的なしゃべりだ。
解っている、解っているんだ、その答えは正解じゃない。
でもさ、しょうがないじゃない。だって、凄くタイプだったんだもん。
女神は、いわゆる絶世の美女と言うわけでは無かった。
いやね、凄く綺麗だと思うよ。と言うか可愛らしいし凄く好みの顔立ちだ。
スタイルだって無茶苦茶良い訳じゃない、胸だってあまり、豊かじゃない。どちらかと言えば、貧にゅゴニョゴニョ。そのわりにお尻は大きめだし、まぁなんと言うか、その~…。
月島のドストライクだった。
月島にとって奇跡だとしか言いようが無い位、女神は月島好みだったのだ。
だからこそ、答えが解っていても月島の答えはこれしか無かった。
「いえ、私の落としたのは貴女です。」
月島は、言い切った。
女神は、途方に暮れた。
――
「これが、パパとママとの初めての出会いだったんだ。」
膝の上に、月島息子を乗せ、月島は言う。
利発そうな息子は、ニッコリ笑って言った。
「嘘でしょ。」
月島もニッコリ笑った。
こうして、月島雄一郎の優雅なる一日は過ぎ去って行く。
この作品は、フィクションであり登場人物は架空の人物である。
月島!!息子がいたのか!?