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魔王の花嫁様!? 〜パーティーを追放された私は魔王に拾われ、花嫁候補にされました〜  作者: 蒼月 天馬
第1章 突然!?魔王(女)に求婚されました!?
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第7話 喪失


「メリアさん、あの男…ドレイクでしたっけ、アイツって婚約者なんですよね?仲悪すぎませんか」


物凄く可愛いメリアさんを堪能した後、ふと気になり聞いてみる。ルル姉さんもいつの間にか居なくなっていた。婚約者だからって仲が良好っていうのもおかしいけど、誰がどうみても異常なほど嫌悪していた


「アイツの言葉は薄っぺらすぎて信用できぬ…美しい者は皆、自分の物とかほざいておる愚か者じゃ……妾という存在は見ておらぬ」


怒り…そしてどことなく淋しそうな表情でメリアさんは呟いた。許せない…純粋な心を弄ぶような事をして…


「ユーカ、そんな顔をするな…せっかくの可愛い顔が台無しだぞ?」


「あ、ごめんなさい…」


「まぁ怒った顔もまた素敵だがな」


「もぅ…メリアさんっ!」


悪戯っぽく笑い、メリアさんは言う。私の顔がサッと熱を帯びた


「はっはっは、さっき妾を弄ったお返しじゃ。だがお主は妾が今まで見てきた者達の誰より美しく可憐だ」


真剣な表情で私を真っ直ぐ見据えて囁いた。気障ったらしいとは思ったけど、でも嫌じゃなかった……きっと本心で言っているから…そして何より“私”をちゃんと見ているからだろう…


「あぅ…良くそんな恥ずかしげもなく言えますね…」


「勿論、お主を愛しておるからの」


そう言いきり、自信たっぷりの笑顔を見せる……敵わないなぁ


「嬉しいけど、言われなれてないので…まだ恥ずかしいです」


「そうなのか?見る目が無いな、お主の世界の者達は…」


「あはは…まぁ私の容姿って何処にでもいるようなタイプですから」


まぁ勇輝には可愛いって言われたことはあるけど…今は言わない方が良いよね、ライバル視してるし


「さて、しんみりした話は終わりじゃ……ユーカよ、お主の事も話してくれないか?」


「へ?私の事…ですか?」


「うむ…妾もお主の事を知りたい、そしてもっと好きになりたいからの」


ニカッと清々しく笑うメリアさん。その姿にちょっとドキッとした…同姓さえ見惚れてしまう眩しい笑顔。どうして私なんかを選んだんだろ


「分かりました…でも1つ聞いても良いですか?」


「む?構わんぞ、何を聞きたい?」


「私を選んだ理由が聞きたいです」


「ふむ、ユーカを選んだ理由か……そうさの…一目惚れかの」


「へ…?」


「だから…一目惚れじゃよ!お主を拾ったあの時から、心を奪われたのじゃ!」


真っ赤になってヤケクソ気味に彼女は叫んだ。うわぁ…どうしよう、私まで恥ずかしくなってきた。まさかそんな直球な理由なんて…


「あ、えっと…その… 」


「ふふ、真っ赤だぞ、ユーカ」


「メリアさんこそ、真っ赤じゃないですかぁ…」


お互いに一目で分かるほど真っ赤になっていた。それがなんだかおかしくて


「ふふ…っ」


「ははは…っ」


気付けばどちらからとなく微笑み合っていた…どことなく心が暖かくなるのを感じた


「さて、質問には答えたぞ?お主の話を…」


「魔王様!敵襲です!」


慌てたように兵士の1人が部屋に入ってきた


「…ふぅ、何と間の悪い……。ユーカ、決して外には出るなよ?」


「待ってください、私も…」


「此処にいろ。それともお主は同族を殺せるか…?」


「…ぁ」


魔族の城に攻め入る…即ち人間が来ているということだ。私に人殺しが出来るはずが無い


「ごめんなさい……」


「なに、謝ることはない。それが普通だからの…すぐ戻る、話の続きはそれからじゃ」


そう言いメリアさんは私の頭を撫でて兵士と共に出ていった。何をやってるんだろ私……


「哀れだね、僕だったら彼女の為に同族だって殺せるよぉ…?」


「ドレイク……っ!?」


「ふふ…君は本当に足手まといだねぇ。戦うことが出来ないなんて…やっぱり君はメリーの側に居る資格なんて無い、僕が相応しい場所に送ってやるよ!」


槍を構え、突撃する。紙一重で回避するも切っ先が頬掠め、血が滴る。く…速い


「シルバ、ノワ…!」


不利なのを悟り、2匹を呼ぶも気配が無いどころか現れる様子がない…なんで…!?


「ふふ…特殊な結界を張ってるからね。いくら魔狼に神狼といえど容易に破ることは出来ない……そして君は丸腰、僕に嬲られるだけの哀れな獲物さ!」


「ち…なめるなぁ!」


ガキイィン!


腰から抜いた2本のダガーで迫り来る槍をギリギリ受け止める


「へぇ…戦闘は魔獣任せだと思ってたんだけどね…だけど…!」


「ぐぅっ…!?」


放たれた蹴りが横腹に突き刺さり、吹き飛ばされ壁に叩き付けられる


「く…うぅ…」


「弱い…弱すぎるよ…!君みたいのがメリーの側に居るなんざ有り得ないんだよ!」


「あぐっ…!?」


持ち上げられギリギリと首を締め付けられる。く…苦し…意識が…っ


「安心しなよ、殺しはしない……まぁ死んだ方がマシって思うだろうけどね…」


不気味な笑みを浮かべ、言い放つドレイクの言葉を最後に意識は闇に刈り取られた……









「ふう…漸く片付いたな」


全く弱いくせに数だけは多いからの…。まぁそれだけが長所が無いからどうとでもなるが…


「まおー様、早く城内に戻って!ユーカお姉ちゃんが危ない…嫌な匂いがする!」


「何だと…!?」


「急いで!取り返し付かなくなるから!」


メルルが切羽詰まった様子で捲し立てる。ただ事ではないと悟り、急いで城内へと戻る。ユーカ…!


“魔王!”


「シルバ、ユーカはどこに!」


“おそらくお主の部屋におる、結界が張ってあって我等だけでは……!”


「く…退いてろ…はぁぁぁっ!!」


ありったけの魔力を拳に込め、結界にぶち当てる。扉が吹き飛ぶがそんなものはどうでもいい


「ドレイク!貴様、ユーカに何をした!?」


「おや、メリー…僕の結界を破るなんて流石だね」


そこには気を失ったユーカを担いで転移の準備をしていたドレイクの姿があった


「ユーカを何処に連れていく気だ!?」


「あはは、怒った顔も素敵だねぇメリー。この小娘を相応しい場所に送ってくるから待っててね…まぁ本当は殺したいとこなんだけど……じゃあね、また会いに来るよ」


そう言葉を残し、ドレイクは去っていった


「くそ…待て!!ドレイクぅぅ!!」


行き場の無い怒号が虚しく部屋中に響いた………

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