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魔王の花嫁様!? 〜パーティーを追放された私は魔王に拾われ、花嫁候補にされました〜  作者: 蒼月 天馬
第1章 突然!?魔王(女)に求婚されました!?
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第5話 魔王の過去1

「うげ…」


「メリアさん、どうかしました?」


朝食の後片付けをしていると露骨に嫌そうな声が聞こえた。どうしたのかと視線を向けると1通の手紙を顰めっ面で見つめていた


「はあぁぁ……」


「どうしたメリア。うわ……アイツまた来んのかよ」


「アイツ…?」


「自称最強の魔槍騎士ドレイク、一応魔王の婚約者だ」


「婚約者ですか…その割には露骨に嫌がってますけど」


「まぁ…会いたいかって聞かれたら…会いたくねー奴だな」


リーパーさんだけでなくルル姉さんまでもが苦い顔をしていた。そんなに嫌なのかな……だから私を娶ろうとしたってこと?


「あー…嫌じゃあー…」


「うわ…まおー様が駄々こねてる…珍しい」


「あ、そうか。メルルも知らないんだっけか」


「ねーねー、リパ兄、まおー様どうかしたの?」


「あー…それはなぁ…」


「愛しのメリー!会いに来たよー!」


「げっ…もう来やがった!」


リーパーさんの声を遮るようにダイニングの扉が開き、如何にもボンボンといった男がそこに居た


「その呼び方は止めろ、寄るな、喋るな、気持ち悪い!」


「もうメリーは照れ屋だね。大丈夫、僕はそんな君も大好きさ」


メリアさんが真顔で言うが男は気にしない、というより冗談と思っているらしい。なんていうか濃い人だなぁ……


「ん?メリー、この人間の小娘はなんだい?使用人にしては身なりが良すぎるね…馬子にも衣装ってとこかな」


ムカ…!初対面の相手にそれは無いんじゃないかなぁ…何なのコイツ


「貴様には関係無い…」


「あー、分かった。新しい玩具でしょ?君、そういう可愛い子で遊ぶの好きだもんね?」


え…遊ぶ?玩具?どういうこと…?何を言ってるの…?


「黙れ…!」


「愛が欲しいとか言って、男と女構わず手当たり次第に勝手に拐ってきて飽きたら捨てる。酷いよねぇ…君はいつ捨てられちゃうのかな?」


「黙れと言っているだろうがぁっ!!」


激昂するメリアさんをよそに男は私を見て、残酷に宣言した……信じたくない、でももし本当なら…私は捨てられるの…?また裏切られるの…?


「いや…いやぁぁぁっ!!」


「ユーカ!待て、ユーカ!」


目に見えぬ恐怖に怯え、私は衝動的に走り出した……引き留める皆の声を振り切って………














「はぁ…はぁ……此処どこだろ……」


冷静になって辺りを見渡すと光が一切射し込まない真っ暗な森にいた。皮肉にも私が追放された時と状況が似ていた


「どうしよ…私、また一人ぼっちなの…?」


あの男の言葉を全部信じる訳じゃない、メリアさんを信じたい。だけど彼女はその言葉を否定しなかった


“主!”


「…ノワ。追い掛けてきてくれたの?」


“何を仰っているのですか!主をお守りするのが我の役目です!地の果てまででも付いていきます!”


「ありがと、ノワ……シルバは?」


“先程の下衆を四天王達と粛清してます。本当は我も参加したかったのですが……主の無事が優先です”


サラッと怖いこと言ったなぁ今…四天王とシルバをいっぺんに相手するって…かなりの無理ゲーだなぁ


“主、そろそろ戻りましょう。此処は不死者の森と言いまして、死者達の怨念の渦巻く危険な場所です。あまり長居すべき所では……”



《ウゥゥッ…!》


《アァァァッ…!》


ノワが言いかけたとき、地面から呻き声とともに生ける屍達が目を覚ます


「…グール!」


“ち…主、乗ってください!振り切ります!”


「う、うん…!」


伸びてくるグールの腕をかわし、ノワの背中に乗る。同時にノワは駆け出す


《ウゥゥッ!》


《ガアァァッ!》


「クロスボウ!」


“ドスッ!”


《ギャアァ…!》


「くそっ…しつこい!バースト!」


“ズガガガッ!”


クロスボウを両手で持ち連射。グールの群れを一掃、もう追っては来ないようだった


「ふぅ…」


“撒いたようですね…”


「そうだね。ありがとノワ……ねぇ、メリアさんの事、信じて良いのかな?」


“我からは何も言えませんが…あの方は主を見捨てたりはしません…きっと”


「うん……じゃあ帰ろっか」


「ユーカぁぁ!!」


「ほぇ……?」


空から声がしたような……上を見上げると背中に翼を生やしたメリアさんが此方に向かって……ちょっと待ってこのままじゃぶつかる…!


「ふにゃあぁぁっ!?」


“主ー!?”


予想通りそのまま抱き付かれた勢いで地面に転がる、うぅ…頭ぶつけたぁ…


「ユーカ、大丈夫か?怪我はないか?」


「メリアさん……はい、平気です。ごめんなさい、ちょっと取り乱しちゃって」


私を見つめる彼女の顔は本当に心の底から心配している表情だった…


「そうか…良かった、本当に良かった…っ」


「メリアさん……あの男が言っていたこと……本当なんですか?」


「……あぁ、事実だ」


「…話してくれませんか?」


「分かった…じゃがまず城へ帰ろう。またいつ亡者共が襲ってくるやもしれんからな」


「…はい」


返事をし、城へと向かった。その間ずっと沈黙が続いていた……













「さて、どこから話そうかの」


城に着き、メリアさんの自室へと案内される。どうやら他の面々にもあまり聞かれたくないようだ


「全部話してください…私は何でも受け止めます」


「分かった……そうじゃの、先にこの事を伝えておこう。妾は元は人間じゃ」


「へ……えぇぇっ!?」


衝撃的過ぎる事実に本日2度目の絶叫を上げるのだった


「そんなに驚くことかの…まぁ良い、昔話から始めようか。憐れで惨めな少女の話をな……」



そう言いメリアさんは語り始めた……

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