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魔王の花嫁様!? 〜パーティーを追放された私は魔王に拾われ、花嫁候補にされました〜  作者: 蒼月 天馬
第1章 突然!?魔王(女)に求婚されました!?
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第4話 不安と疑念


「ふわぁ…」


「あ、おはようございます。ルル姉さん」


「ん…おはよユーカ。何してんだ?」


「朝食の準備です。何もしないで住まわせて貰うのってなんだか気が引けちゃうんで…」


ピンク色のエプロンを着て、キッチンと食卓を忙しそうに行ったり来たりしていたユーカは言う。その後ろを頭に皿を乗せたノワとシルバが付いて歩く…器用だなコイツら


「そうか。偉いな」


「えへへ。ルル姉さんに褒められた」



頭を撫でてやるとへにゃりと幸せそうに笑う。あー…癒しだぁ


「あれ?メリアとベルクはまだなのか?」


珍しいな、全員揃うときは必ず最初に居るんだが…


「あぁ、そういえば朝の鍛練をしてくるって言ってました。そろそろ準備が終わるので呼んできてくれませんか?」


「ん、分かった……ってメルル、何で正座してんだ?」


「ふえーん…ユーカお姉ちゃん、ごめんなさーい…」


「ダメです、つまみ食いは重罪。用意が出来るまでそのまま」


「そんなぁー…」


つまみ食いって…子供かっつーの。呆れつつ食堂を後にし、修練場へ向かった








キィン!ガキンッ!キィィンッ!


修練場に着くなり、金属が激しくぶつかり合う音が響く。相変わらず白熱してんな、ベルクの旦那とメリア


「ふ…腕を上げたな、ベルクティオ!」


「俺の目標は貴女ですから…!」


「嬉しいことを言ってくれるのぉ。じゃが…!」


ガキッ!キィィンッ!


「しまっ……!」


「まだまだ詰めが甘いぞ?」


「また俺の負けですか」


「だが、確実に強くなっておるぞ。最初の頃は妾に一撃入れることも敵わなかったからの」


そう言い、ベルクの旦那に手を差し出す。その手を掴み立ち上がる。


「そうでしたね……ん?ルルティア、いつからそこに居た」


「んー?旦那が無様にやられた辺りかなぁー」


「…負けたのは事実だが、善戦はしたぞ」


おぉ…怖、旦那は意外に負けず嫌いだからなぁー。


「こらルルティア。あまりからかうでない」


「へーい…あ、そうだ。朝飯の用意が出来たってよ」


「ふむ、そうか…ユーカの手料理、楽しみじゃのぉ…」


こんなにウキウキしているメリアを見るのは久しぶりだな。まぁ…魔王討伐連合とか訳の分からんものが結成されて以来、ピリピリしていたしな……


「ぬ?ルルティア、難しい顔してどうした?」


「え…あ、いや何でもねぇ。ほら行こうぜ」


「…うむ、そうじゃな」


適当にはぐらかし、歩き出す。一瞬何か言いたそうにしていたがすぐにいつもの調子にもどるメリア。絶対気付かれたな…オレが不安そうにしてるの。後で問い詰められるなぁ…絶対












「あ、メリアさん、ベルクティオさん、お疲れ様です。温かいうちに食べちゃって下さいね」


「うむ……」


食卓に並べた朝食を興味深そうに眺めるメリアさん。やっぱり和食って無いのかな?因みに献立は豆腐の味噌汁、卵焼き、ビッグフィッシュの塩焼き。因みにビッグフィッシュっていうのはこの世界の一般家庭で良く出される魚らしい。味は鮭に似ているかな


「これは…ユーカが居た国の料理か?」


「あ、はい。口に合うかどうか」


「それは食べれば分かる、まぁお主の作るものが不味いなんて事はないじゃろ。それでは皆、いただくとしようか」


全員が席につき、食事を始める。あー…緊張する…口に合うかな


「ふむ…ビッグフィッシュは焼くのも中々だ、酒のつまみにもなりそうだ」


「んにゅー、この卵も甘くておいしいー!」


「この汁もうまいな」


「はぁー…日本食かぁ、懐かしい。納豆があれば文句はねーんだがなぁ……異世界だししゃーねーか」


「ふむ…うまいのぉ。料理上手の子を娶れるとは…妾は幸せじゃあ」


それぞれから好評価を貰えた。良かった気に入ってもらえて……ん?


「リーパーさん、懐かしいって言いました?」


「ん?あぁ、言ってなかったな。俺もお前と同じ転移者なんだよ」


「えぇぇっ!?」


「そんな驚くことか?」


「驚きますよ、同じ世界の出身者が居るなんて思いませんよ!名前も日本ぽくないし!」


「あー、この名前はネトゲで使ってた奴でな…この姿もアバターそのまんまさ」


そう言い恥ずかしそうに頬を掻く。そうだったんだ…まさか同じ世界の人が居たなんて


「リーパーさんはどうしてこの世界に?」


「まぁ、色々あってな…取り敢えず飯食いながら話すことじゃねえからまた今度な」


「あ、はい」


表情に陰が差したのを見てただ事ではないと悟り、それ以上聞くのを止めた。複雑な事情があるんだろうな


「そういえばユーカよ。お主は何故この世界に来たのじゃ?」


「私ですか?えっと幼馴染が英雄召喚に巻き込まれたっていうか、一緒に来て欲しいって言われたんです」


「ほぅ……」


「アイツ、おっちょこちょいでお人好しで、バカで…私が付いてないと危なっかしくて見てられないんです」


「…好きなのか?そいつの事」


「ふぇ!?何言ってるんですかルル姉さん!アイツは只の幼馴染ですってば!」


ルル姉さんが放った爆弾発言を慌てて否定する。アイツと恋人とか想像出来ない…!


「あっはっは!慌てて否定するとこが怪しいな…メリア、ライバルは勇者だそうだ」


「ふん、妾があのような若造に負けるか」


「だから違いますってばぁ!」


“主、違うんですか?”


“我々もてっきりそうなのかと……”


「うぅ…ノワとシルバまで……」


実際に手の掛かる弟みたいな感覚があるから恋愛感情じゃない筈……勇輝、どうしてるのかな










「はぁ…何処に行っちまったんだ、優花」


優花が居なくなって3日が過ぎた。迂闊だった…居眠りしてしまったときに野盗が襲ってきたなんて……対処に遅れて気が付いたときにはもう、彼女の姿は無かった


「守るって…約束したのに…ごめんな優花」


“コンコン”


「…誰だ ?」


「ミリィよ。話があるの…」


「…入って良いぞ」


返事をすると扉が開く。ネグリジェ姿のミリィが部屋へと入ってきた


「お前…なんつー格好してんだよ。男の部屋に来るなら服ぐらい着ろ」


「うわ…反応うっすいなぁ。まぁ良いわ…話ってのはね、こないだの野盗の襲撃の事なんだけど…アタシ、見ちゃったの」


「何をだ?」


「野盗と戦ってるときにユーカがどっかに行ってさ…おかしいなって思って後を尾けてみたの…そしたらね野盗のリーダー格の奴と話をしてた……もしかしたらユーカがけしかけたのかも」


「そんな筈ない!アイツは俺を裏切るようなことは絶対にしない!」


「アタシだって信じたい…でもこれは事実よ」


「そんな……何でなんだ…」


「そんなに落ち込まないで…アタシも悲しいわ…」


そう言ってミリィは顔を伏せる。俺は呆然とするしか無かった


「ユーキ、ちょっと話が……お前、何してる!ユーキから離れろ!発情エルフ!」


大声に気付き、我に返ると手足がエメラルド色の鱗に包まれ、大きな尻尾を持つ竜人族の少女‐レグナ‐が俺の前に立ち、ミリィを睨み付けていた


「レグナ…?」


「何よ、邪魔しないでくれる?このトカゲ娘」


「うるさい!早く出ていけ!」


「ちょっと!?何よ、きゃあっ!?」


ミリィを担ぎ上げ、廊下へ放り投げ、乱暴に扉を閉じた……同時に竜人族特有の結界を張る


「レグナ、何で結界張ったんだ?」


「今から話すこと、アイツらに聞かれたら困る。ユーキ……ミリィとフレイア、あの2人を信用するな…嘘吐いてる」


レグナから紡がれた言葉は信じられないものだった……2人が嘘を吐いてる…?


「上手く言えない。でも気をつけて…」


「…少し考えさせてくれ」


「ん、分かった。だが急げ…取り返しつかなくなる。じゃあ」


そう言いレグナは自室へと戻っていった。裏切ったのは一体誰なんだ…出来れば誰も疑いたくない……思い違いであって欲しい。そう願うばかりだった……

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