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魔王の花嫁様!? 〜パーティーを追放された私は魔王に拾われ、花嫁候補にされました〜  作者: 蒼月 天馬
第1章 突然!?魔王(女)に求婚されました!?
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第2話 新たな日常

「ん、んぅ…ふわぁ…あー、朝かぁ…」


窓から射し込む光に目を覚ます。隣にはノワとシルバが丸まって眠っていた。2匹を撫でてベッドから降り、カーテンを開ける


「んー……良い天気。外で昼寝したら気持ち良いだろーなぁ……」


‘コンコン’


「誰だろ…はーい」


「おはよう、優花。夕べは良く眠れたか?」


「あ、魔王様。おはようごさいます」


扉を開けるとそこには昨日、私を娶ると宣言した魔王が立っていた


「ぬぅ…魔王様などと堅苦しい呼び方は止めよ。妾の事はメリア、若しくはメーちゃんと呼んでくれい!」


サムズアップしながら満面の笑みで言う。うーん軽いなぁ…本当にこの人は魔王なのだろうか


「ちゃんって歳じゃないだろーが」


「あ、ルルティアさん、おはようごさいます」


「おう、おはよう…なぁ、そのさん付け止めてくれねーか?ちょっと距離を感じる、最低1年は一緒に居るんだからよ」


そう言いルルティアさんは困ったように笑う。うーん…急に言われてもなぁ……どうしよう


「えっと……じゃあ、ルル…姉さん?」


「ぐふっ!?」


突然、吹き出し口元を抑えプルプルと震える、あれ何かまずかったかな?


「だ、大丈夫ですか!?」


「メリア…この1年、オレはお前を全力でサポートする。ユーカを絶対に娶れよ!あいつ、可愛すぎる!」


「おう、任せておけ!」


「……?」


「はぁ…中々来ねーと思ったら何してんだよ。さっさとしろ、飯が冷めるぞ」


訳も分からずキョトンとしていると、リーパーさんが呆れたように呟いた


「あ、リーパーさん。おはようごさいます」


「おう。お前もさっさと来いよ?」


「あ、はい!メリアさん、ルル姉さん、行きましょ?」


「あぁ、そうだな」


「うむ、そうしよう。リーパーの料理は旨いからの」


「へ……リーパーさんが?」


「何だよ…可笑しいか?」


「いえ、男の人が料理できるって何か素敵ですよね」


「…っ。褒めても何も出ねーぞ」


「そんなつもり無いですって。今度色々教えて下さいね」


「……気が向いたら」


「はい、是非!」


「照れてる」


「うむ、照れておるの」


「だー!うっせぇ!」


リーパーさんの叫び声が朝の魔王城に響き渡る……何だか平和だなぁ










「まおー様、遅ーい!危うく餓死するところだったよー!」


食堂に入るや否や、小さな女の子がメリアさんに飛び付く。あの子が四天王最後の1人《無邪気な殺戮者》メルル。子供に見えるが実力はかなりのもの、敵対していた時は本当に苦労した。無邪気ゆえに行動が読めないんだもん


「ん?あ、魔獣使いのおねーちゃんだ!」


「ほわぁっ!?あ、危ないよ…メルル」


そして何故か私はこの子に好かれている。獣人族らしいからそれも関係してるのかな、ていうかこれが原因でスパイとか疑われたのかも…そうだったらちょっと複雑


「えへへー、やっぱり良い匂いがするなぁ…おねーちゃんは」


ご機嫌な様子で私にすりすりと頬擦りするメルル。うーん…この子に悪気は無いんだよなぁ


「メルル、行儀が悪いぞ。座りなさい」


「むー、ベルベルの石頭ー、堅物」


「んなっ……」


「ふむ、一理あるのぉ…さて、頂くとするか」


「魔王様まで……」


メルルの言った石頭という言葉にメリアさんが同意、ベルクティオさんがガックリと膝を折って倒れる


「…良いんですか?」


「放っておけ、モグモグ…そのうち直るから…んくっ」


「はぁ…」


既に食事を始めていたルル姉さんが、口に物を含みながら喋る。ルル姉さん、行儀が悪いですよ…


「ふふ、ほらユーカ。冷めぬうちに頂くぞ?モタモタしておるとメルルが食べ尽くしてしまうからな」


「はい、じゃあ頂きます」


賑やかだな…本当に此処、魔王の根城なんだろうか、そんな疑問が生まれるのだった…あ、ご飯はとても美味しかったと追記しておく










「ユーカよ。街に出掛ける、付いて来い」


朝食が済み、部屋へ戻ろうとしたらメリアさんに呼び止められ、そう告げられる


「ほぇ?構いませんけど、何故ですか?」


「うむ、お主の服とか日用品とか、必要な物を買っておかねばならぬだろ?」


「そうですね………あ、お金が無い」


「気にするな。妾が用意する」


「そんな…悪いですよ」


「未来の花嫁となる相手への出費など痛くもない。ほら行くぞ」


「え、あ…ちょっと…!」


返事をする間もなく、私を抱えて歩き出す。城を出るまでずっと抱えられたままだった為、すれ違う人達に好奇の目で見られていた……うぅ恥ずかしい










「うわぁ……大きな街」


王都と同じくらい広い。1人だったら迷子になりそう…


「この近辺では一番栄えた街だからの。欲しいものは大抵、手に入るぞ…さぁ、まずは服からじゃな。人通りが多いからな…ほれ」


「…?」


「手、繋ぐぞ。はぐれてしまったら大変だからな…治安が良いとはいえ、ゴロツキは居るからな、お主は美しいから何をされるか分からん」


差し出された手を見つめていると、メリアさんはそう続けた。美しいって言われても……


「私って、そんなに綺麗ですか?」


「何を言うか、美しすぎて困るわ!その紅く大きな瞳、闇夜を思わせる艶やかな漆黒の髪、その魅惑の唇、これを美しいと言わず何と言う!?」


「わ、分かった…分かりましたから…止めてくださいっ…恥ずかしいですから…っ!」


天下の往来で何を言い出すんだこの人は…!あぁ…そんな生暖かい目で見つめないで…見知らぬ通行人の方々!


「ふむ、ならば良いが……あ、そうだ。街では貴族ということになっておるから合わせてくれな」


「あ、はい…じゃあ私は付き人という事で」


「婚約者ではダメかの?」


「まぁ…将来はどうなるか分かりませんが……メリアさんが良いなら構いません」


「うむ!ならば決まりじゃ!では行くとしよう。 まずは服からじゃな」


「はい。お願いします」


差し出された手を握り返し、歩き出す……誰かと買い物なんて久しぶりだな、少なくともこの世界に来てからは1度ども無かった気がする、ちょっと楽しみかも…そんな事を思いながら街並みへと向かうのだった


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