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第26話 暴かれた嘘

スランプから抜け出せず、書いては消してを繰り返し漸く出来上がりました。1ヶ月近く遅れてしまいすみませんでした

「はぁっ!」


「くっ…!」


先手必勝で瞬時に間合いを詰め、勇輝目掛けダガーを振るうも、当たるギリギリで盾で受け止められ、弾き返される。流石の反射神経だな。手強い


「これならどう!?インフェルノダガー!」


魔力でダガーの幻影を無数に作り出し、飛ばす。


「ち…ソニックウェーブ!」


振り抜いた剣から発生した真空波とダガーがぶつかり合い爆発が起こる、黒煙がお互いの姿を隠す。その隙にボウガンに持ち替え、狙撃する


「させるか!エアロ!」


それを予測していたのか、風の魔法で矢を黒煙ごと吹き飛ばす


「はは…やっぱり強いね、勇輝は」


「この力はお前を守るために鍛えた…絶対に傷付けないって誓った」


「そっか…」


「でも…今はお前に向けて…お前を傷付けるために振るってる……なぁ退いてくれ、俺は優花を傷付けたくない…っ!」


勇輝は悲痛な表情で叫ぶ。そんなの…私だって……


「ありがと…勇輝のその真っ直ぐで優しいところ…大好き。でもね……私には譲れないものがあるの…!」


強い意志を込めた眼差しを勇輝へ向け、宣言する。あの人を支えたい…それが私の想い!


「何で…どうしてこうなっちまったんだよぉ…っ!」


勇輝の慟哭が回廊に虚しく木霊した……








「イラプション!!」


“ち、アイスストーム!”


迫り来るマグマを氷の嵐で凍らせ、塞き止めるが一瞬にして蒸発、その場から回避する


“流石だな、我の魔術を掻き消すとはな”


「当然よ!一族の中で魔力は1番高いもの!この力で魔王を倒して、アタシをバカにした奴ら全員を見返してやるんだから!」


そう叫び、ミリィは雷を拳に纏い飛び掛かってくる。シールドを張りそれを受け止める…くっ、罅が入ったか。相変わらず攻撃面では天才だな…っ


“そうか、だがそれはさせぬ…魔王が死ねば世界は終わる。それ以前に我が主を悲しませる訳には行かぬ!"


「…どいつもこいつも、口を開けばユーカって…あの小娘の何処が良いってのよ!あんたも何であんな奴に尽くしてるの!魔族は敵なんでしょ!」


“我が主はれっきとした人間だ。我があの方に忠義を尽くす理由、簡単なことよ…あの方が大切な人だからだ”


「くっ…結局あんたも同じなのね…っ、アタシを守ってくれるって…アタシの側に居てくれるって約束した…うっ…!?」


突然、目眩を起こしふらつき、頭を抱える。あの時の約束を無意識に思い出そうとしている…のか?ならば、我がやるべき事は…1つ!


“そうだ!我はお前を守ると約束した。思い出せ。出会った頃の時を!一人泣いていたお前に声を掛け…お主を救った人物を!”




「アタシを救った?そんなのフレイヤに決まって……違う…彼女じゃない…っ」


叫ぶシルバの声を聞き、真っ先にフレイヤの姿が思い浮かぶ、だが何故か違うと口走っていた…


(今のって魔法!?凄い、もっと見てみたいなぁ!)


(こら、はしゃぐなって…全く)


何、今の…?アタシの中に無い記憶…違う…これは間違いなくアタシの記憶


(だって、魔法だよ?アニメとかで良く見る!ふわぁ…本当に異世界に来たんだぁ…ねぇ、貴女!名前は?)


(み、ミリィよ…)


(ミリィか、綺麗な名前だね。私は間宮 優花。優しい花って書くの)


記憶の中のユーカは優しく微笑んでいた…そうだ…彼女は…アタシを…バカにしたり、蔑んだりしなかった…アタシを厄介者扱いする一族に怒りを覚えてくれた…なのに…どうしてアタシはあの子を憎んでいたの…?


“お主は利用されていたのだ。あの女にな…”


「嘘…嘘よ!そんなの…信じない!」


「その通りですわ。そんな言葉に惑わされてはいけませんよ?ミリィ」


声に振り向くと、向こう側で魔狼と戦っていた筈のフレイアが居た


“すまない、シルバ。時間稼ぎも出来なかった


“気にするな、想定内だ…”


一旦、言葉を切りフレイアを睨み付けるシルバ


“…貴様、いつまで彼女を利用する気だ…”


「利用する?ふふ、おかしな事を言わないでくださいまし。私は幼なじみとして彼女の力になっているだけです。さぁミリィ…あの邪魔な2匹を排除して、魔王と憎き小娘を……どうしました?」


「ねぇ…フレイア、アタシ達は本当に幼馴染なの…?」


「何を言ってるのですか?昔から貴女と一緒だったではありませんか…?」


「…おかしいのよ。ハイエルフの里は決して人間が踏み込める筈がない…惑わしの森に阻まれて、そこで朽ち果てる…なのにどうして貴女は里に入れたの…?」


「…里に知り合いが居て…その方に連れられて」


「エルフは外界に出ることはない、誰といつ何処で出会ったの?」


問い詰めるように聞くもフレイアは黙ったままだ


「ねぇ、何とか言ってよ!フレイア!」


「はぁ…全く。黙って私の言う事を聞いてなさい、只の駒の癖に口応えしないでくださいな!」


「フレイア……?」


“ふん、本性を現したか…”


“あれがあの女の本当の顔だ”


「神狼、余計な事を吹き込んでくれましたね。知ってしまったのなら仕方ありません…貴女はもう用済みですわ」


シルバを睨み付け、フレイアは吐き捨てるように言った。用済み…?アタシが…?


「嘘…フレイア…冗談でしょ?ねぇ?そうだと言ってよ…っ」


縋るように言葉を紡ぎ、触れようとした手を振り払い、冷たい視線でアタシを見つめる。フレイアがこんな顔を見せたこと一度も無かったのに…じゃあアタシは…本当に利用されていたの……?



「触るな、穢らわしい。幼馴染なんていうのも、私がお前に植え付けた偽りの記憶、愛情や友達に飢えていたお前に暗示を掛けるなど容易いことでしたわ」


そう言ってフレイアはアタシを嘲笑う。こんな奴を信じていたなんて……っ


「…さない……っ」


「はい?」


「許さない…アタシの心を、想いを弄んだあんたを…絶対に許さないっ…!」


「ふふ、何を言い出すかと思えば…道具の分際で刃向かうなど愚かな!力の差を思い知りなさい!ホーリーアロー!」


魔力で形成された光の矢が此方を目掛け飛んでくる…舐められたもんね、アタシも…!


「甘く見るな!シャドウスピアー!」


瞬時に魔力の槍をぶつけ相殺、霧散する。それを見てフレイアは驚愕し、目を見開いていた


「なっ…!?私の魔法を凌いだ…!?」


「そうやって相手を見下してるから足下掬われんのよ!」


「ちっ…!道具の分際で……脇役は大人しくしてなさいなっ!!」


舌打ちをし、急接近したフレイアは手に持ったメイスをアタシ目掛け振り下ろす。くっ…早いっ!?


”アダマンウォール!“


命中する一瞬早く、黒い影がアタシの前に飛び出し、鉱物の壁を形成し受け止める


「ノワ…あんた」


“ふん…貴様に死なれては主に謝罪させることも出来ぬからな。今は助けてやる”


“ふ…素直ではないな”


“う、うるさい!”


「ふふ、本当に仲が良いね…2匹とも。さて覚悟は良い?フレイア」




「ふぅ……仕方ありません、今は引くとしますか。ミリィが正気に戻ってしまうのは想定外でしたが、まぁ良いでしょう…おおよそ予定通りですし」


「く…負け惜しみを…!」


“逃がすか…!”


シルバが飛び掛かり、フレイアを捕らえようとするが、障壁に阻まれる


「ふふ、私に構っている暇があるならば、主人の元へ戻ったらどうです?彼女の命が惜しいならばですが…それではごきげんよう」


そう言い残し、フレイアは消えた。く…気配で追うのも無理か…っ


“待て…!”


“ノワ…我が主の元へ戻るぞ”


“何を言っているシルバ。アイツを此処で逃したら…!”


“頭に血が上り過ぎだ。我が主の安全が最優先だ、それに魔王と同等の魔力を感じた。ヤツが来ているのかもしれぬ”


“……分かった”


シルバに窘められ、ノワは大人しく従う。アタシは……何処に行こう……居場所無くなっちゃったな…


“…ミリィ、お前も来い”


「え…でも」


“主に謝罪させなければならんからな…死なれると少々寝覚めも悪い”


顔を背け、ノワは言った。隣ではシルバが呆れたように溜め息を吐いていた


「良いの…?アタシ、操られてたとはいえユーカを追放した張本人だよ?」


“事情を話せば我が主も理解してくれる筈だ。あの方は冷徹では無いからな”


“主は優しい方だからな、貴様にも情けくらいはかけるだろう…我は絶対に許さぬがな”


“はぁ…こやつは放っておいてさっさと行くぞ。ミリィ、我に乗れ”


「う、うん……暖かい」


“むぅ…シルバが穢れる”


“黙らっしゃい…さあ行くぞ”


そう言い、アタシを乗せたシルバとノワは駆け出し、回廊の最奥へと向かった……









「やはり貴方ですか…」


玉座の間に入ってきた人影を見て、予想通り過ぎて苦笑する


「ほう…俺が来ることを予測していたか…流石だな」


「混乱の隙を突いて攻め込み、最少の戦力で最大の被害を与える…それが貴方の手口です。変わってませんねバフォメット兄様」


義理の兄を真っ直ぐ見つめる。あぁ…これが只の兄妹の再会だったらどれだけ良かったか


「……ドレイクを殺したそうだな。しかも人間の小娘1人の為に…何故だ?」


「おかしな事を聞くのですね。愛する者のため、それ以外の何でもありません…愛に生き、愛のために死ぬ…それが妾の生き方ですから…」


「全く…変わらんなお前は…。 メリア…魔王の座を降りろ…せめてもの情けだ。殺さずに追放という形で逃がしてやる…勿論、お前の配下達にも手は出さん」


「兄様…相変わらずお優しいですね。でもその申し出を受けるわけにはいきません。最愛の者との誓いを…破るわけにはいきませんので」


立ち上がり、漆黒の甲冑を身に纏い得物である大鎌、魂食いを構える


「ふ…ならばせめてもの情けだ…苦しまぬよう、一瞬で父の元へ送ってやる!」


腰に差していた太刀-閻魔刀-を抜刀、そのまま斬り下ろしを放つ。それを瞬時に魂食いで弾き返し距離を取る。武術で兄様に勝ったことはない…だが負ける訳にはいかない…妾を慕い信じてくれるあの子の為にも…!

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