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第25話 真実

2週間も遅れて申し訳ありません!

「むぅー、何でメルル達は裏門の守備なのさぁー…つまんないー!」


「文句を言うな…魔王様にも何か考えがあるのだろう。あの方の勘はよく当たるからな」


「そうだけどー………ん?何あれ!」


遠方から大軍が攻め込んでくるのが見える。大変…!


「ふむ、他の魔族達だが…援軍という様子では無さそうだな」


慌てるメルルの隣でベルベルは冷静に言う。なんでそんな落ち着いてられるのさ!


「まおー様に報告してくる!」


「その必要はありません……」


見知らぬ声が聞こえ、振り向く。そこには髪が蛇になっている小柄な少女が立っていた


「なっ……」


「あんた、バフォメットの……!」


「気付きましたか…だが無意味です」


蛇達が一斉にメルル達に噛み付く、鋭い痛みが走る…でもこれくらい……!?


「あ、足が……やだ…!」


噛まれた所から石化が広がっていく…これって…!


「く…貴様…」


「事が終わるまでそこで眠っていて下さい」


「うわぁぁ!?い…ゃ……っ」


悲鳴も掻き消され、そこで意識が途切れた……








「うっ…かはっ…あがっ…」


「はぁ…もう終わり?つまんないわね」


息も絶え絶えなボクを冷たく見下し、吐き捨てるようにアリスは言う。並の魔物ならばとっくに死んでいてもおかしくない程の傷が幾重にも刻まれていた


「アリス…お願い…止めて…っ」


「はぁ…そうね、飽きてきたから終わりにしてあげる。このコアを壊しちゃえば、あんたは死ぬ…漸く復讐が終わる。長かったわ…」


そう言い、目を閉じ感傷に浸るアリス。不覚にも綺麗だと思ってしまった…


「そう…だね…でも…それが済んだら…けほっ…君は何を糧に…生きていくの…?」


「何…?」


終始、余裕の表情を浮かべていたアリスに陰りが現れる


「ボクは…君になら殺されても…構わない…それほどの罪があるから…でもそれは…あの時、何があったか…聞いてからでも遅くないと…けふっ…思う。だから…」


「五月蝿い、お前の言葉など信じない…そう言った筈だ…!」


コアを空高く上げ、落下してくるところに剣を振り下ろす。終わりか…こんなところで…ごめん、ユーカ…仲直り出来なかった…ごめん、メリア…約束守れなかった……二人の友に謝り、静かに目を閉じた


キィン!


「おっと…ギリギリセーフってとこかな…」


剣のぶつかる音がし、聞き覚えのある声が聞こえた。不思議に思い目を開けると、見知った女性がボクのコアを片手に、アリスの斬撃を受け止めていた


「アルカさん…どうして此処に…」


「戦争が起こるって噂を聞いて、居てもたってもいられなくてね…ほらコアだよ」


奪い返したコアをボクへと投げ渡す。すかさず体内へ埋め込む。ふぅ…生きた心地がしなかった


「誰よ、あんた!邪魔しないで!」


「そうはいかないよ、この子は娘の友達だからね。それと友達の話はちゃんと聞いてあげなきゃ、ね?」


激昂するアリスに対して彼女は冷静に…というより諭すように言葉を掛ける


「五月蝿い、ソイツは友達なんかじゃない!私の父、そして村の皆を殺した!」


「そうだよ…ボクは君のお父さんを殺した……でも、村の人達は…ボクじゃない…君のお父さんが殺した…」


「は……?」


よろよろと立ち上がり、ボクは真実を語る。アリスは一瞬、呆然とするが言葉の意味を理解し、段々と怒りへと染まっていく


「ふ、ふざけるな!そんな事ある訳無いだろ!もう騙されるもんか!」


「間違いない。と言うより、君のお父さんの“ふり”をしていた魔物が殺したって言った方が良いかな」


「どういう意味だ…?」


「…君のお父さんは森の主、ドッペルゲンガーと入れ替わっていたんだよ。ボクと君が出会う少し前にね…」


「嘘だ、そんな筈ない!あの優しい父さんが魔物だったなんて…ふざけるな!」


事実を告げても信じようとせず、声を荒げるアリス。でも現実は残酷だ…それが真実なのだから


「ねぇアリス、おかしいと思わなかった?夜な夜なお父さんが何処かへ出掛けていたこと。そしてその翌日には必ず死人が出ていた事…」


「そんな…嘘だ…ありえない…そんな筈ない…っ!」


事実を受け止められず、剣を落とし膝を付き呆然となる


「それが真実なら…何故あの時に言ってくれなかった!どうして逃げたんだ!」


「あの時の君に話したところで信じてもらえなかっただろうしね。それに満月の所為で、理性を保つ自信が無かった。だってさ……」


言葉を切り、アリスに向かって歩き出す。アルカさんが止めようとするが、それを手で制する


「初めての友達を、殺したくなんか無かったんだ」


そう言い、震えるアリスを優しく強く抱き締める。


「…シェイは狡いよ。大事なことは何も伝えてくれない…」


「あ、アリス…?」


「一人で何でも背負い込んで、一人で解決しようとする…いつもそう……」


ポツリポツリと溢しながらギュッとボクの体を抱き返す…うぅ、ちょっと痛い


「でもそれは…全部、僕のため…いつだって君は僕を守ってくれた……」


「当たり前だ、友達だろ…ボク達は」


「ふぅっ…うぇっ…ごめん…シェイ…ごめんねぇ……っ!」


嗚咽を漏らしながら謝るアリスの頭を優しく撫でながら、暫く抱き締めていた












「… 落ち着いた?」


「うん…あのシェイ…その…」


「気にしないで、ボクだって悪いんだしさ…」


「でも…何か償いをさせて…そうじゃなきゃ僕の気が済まない」


漸く落ち着いたアリスが申し訳なさそうに言う。うーん…そうだなぁ…


「何でもしてくれる?」


「シェイが望むなら…何だってする…!」


「ふぅん…じゃあ死ねって言ったら死んでくれる?


意地の悪い笑みを浮かべてアリスに問い掛けると、泣きそうな顔をしてボクを見つめ返す…あぁ、アリスの泣き顔可愛い…っ


「冗談だよ、アリス。ボクがそんな事言うわけないでしょ?ちょっとだけ苛めたかっただけだよ」


「もぅ、シェイの意地悪…っ」


「はは、ごめん…。ねぇアリス、償いなんか要らないから…友達でいよう?」


「良いの…?僕、シェイの事いっぱい傷付けたんだよ?酷いことも言った…」


「良いよ、気にしてない」


「また…傷付けるかもよ…?」


「そしたらまた仲直りしよ?」


「我が儘言っちゃうかもよ…っ」


「むしろドンと来い。アリスの我が儘なら何でも聞いちゃうよ!」


そう宣言して彼女に手を差し伸べる。滲んだ涙を乱暴に拭い、アリスは笑顔でボクの手を握り返した…


「ありがとう、ごめんね…シェイ」


「へへ、これからはずっと一緒だからね」


「んんっ…!」


わざとらしい咳払いが聞こえ、ハッとなる。アルカさんが居るの忘れてた


「取り敢えず、わだかまりは無くなった、という事で良いのかな?」


「うん、大丈夫だよ。あーでも騎士団長はどうしようかなぁ…」


「そちらは私が何とかしよう。団長とは面識もあるしな。アリス、と言ったか?」


「あ、はい…何でしょうか」


「我が娘の親友を頼んだよ?」


そう言い、アルカさんは去っていった。大丈夫かなぁ…まぁメリアのお義母さんだし心配ないだろうけど…あの騎士団長、王国最強とか言われてるしなぁ


「おっと…どうしたのさ、アリス」


そんな事を考えていると、アリスが急に手を握る。平静を装うが、内心は凄くドキドキしてる


「シェイ……この手は2度と離さないから」


そう言い、昔の優しい笑顔を浮かべていた


もう2度と違えず、守り抜く…ボクはそう心に誓った

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