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第15話 貴女のために出来ること

第2章開始です。暫く日常入れつつイチャイチャしてます

“魔王の様子がおかしい…ですか?”


何か思い悩んでいた我が主に声を掛け、返ってきた言葉がそれだった。大方、いずれ来る人間達との大戦争への懸念しているのだろう


「うん、朝食の時もずっと難しい顔していたから。話しかけると笑いかけてはくれたけど…すぐ戻っちゃうから。何か出来ること、無いかなぁって…」


“ふむ……ならばデートにでも誘ってみてはどうでしょうか?”


「ふぇっ!?で、デート…?」

提案してみると途端に真っ赤になる。あぁ…やはり我が主はとても愛らしい


「でも…メリアさん、何だかバタバタしてるし、迷惑じゃないかなぁ……っ」


”大丈夫だと思いますよ、寧ろ大喜びするのでは?魔王の性格を考えれば嫁である貴女からの誘いを断るなんて有り得ませんよ“


「そう…だね…そうだよね。ありがとシルバ!早速話してくる!」


そう言い大急ぎで部屋を出て行く我が主、慌ただしい人だな…


”我が主、どんなことがあろうと…挫けず前を向いていて、笑顔でいてください…“


そのためならこの身を闇に染めようとも構わない……そう固く誓うのだった










「メリアさん!」


「ぬぉ!?どうしたユーカ、そんなに慌てて」


部屋を訪ねると、書類仕事をしていたようだった。普段は掛けていない眼鏡をしていてとても知的な雰囲気を出していた……格好良い


「ユーカ?おーい、大丈夫かー?」



「ほぇっ!?あ、すみません…」


いけない、あまりにも似合っていたから、つい見惚れてしまった。ていうかメリアさん、その顔で近付かないで、色々ヤバいので……っ


「顔が紅いぞ?熱でもあるのか?」


「い、いえ…大丈夫ですっ…すみません、お仕事の邪魔をしてしまって」


「気にするでない、仕事なんぞより、嫁の方が最優先じゃ。丁度休憩しようと思っていたしの」


そう言い、ベットに腰掛け、手招きする。えっと…座れって意味なのかな…?


「えと…失礼しま…ひゃっ!?」


隣に座ろうとした私を抱き寄せ、腕の中にすっぽりと収められた。あわわ…っ


「はぁー…やはり良い匂いがするのー」


「め、メリアさん…恥ずかしいです…っ」


「ふふ、良いではないか。妾達しか居らぬのだぞ?して用があったのではないか?」


「あ、はい…あのですね……ひゃあっ」


話し掛けようと振り向くと目の前にはメリアさんの顔があった。冷静に考えてみれば後ろから抱き締められているのだから当たり前か…


「ぬぅ、人の顔を見て驚くとは失礼ではないか?」


「ご、ごめんなさい…あの…似合ってますよ、眼鏡…格好良いです……っ」


「う、うむ…そうか……っ」


お互い真っ赤になり、暫く沈黙する…でも嫌ではなくて、寧ろちょっとくすぐったいけど…心地良いものだった


「んんっ…!。ユーカよ、話とは何だ?」


咳払い1つし、メリアさんが問う。そうだった


「あの…メリアさん、私が貴女のために出来ること、何かありませんか?」


「そうさの…なら妾の隣でずっと笑顔を絶やさずに居て欲しい。妾が望むのはそれだけじゃ」


「そんな事で…良いんですか?」


「そんな事とはなんじゃ…妾にとってそれ以上に大事なことはないぞ」


そう言いメリアさんは頬を膨らませる。可愛い、私もそうだけど本当にコロコロと表情の変わる人だなぁ……


「ふふ、ごめんなさい。分かりました、私に出来ることをしますね……あ、そうだメリアさん…あの…その…明日、で、デートしませんか……っ?」


引いた筈の熱がまたぶり返して、頬が紅くなり、体が火照りだす。あぅ…は、恥ずかしい…


「も、勿論じゃ!断る理由なぞ何処にもない。何なら今からでも……っ!?」


「ちょ、メリアさん、今からってもう夜……きゃあっ!?」


メリアさんが急に立ち上がってバランスを崩し、床に倒れ込む。痛い…お尻ぶつけた……前もこんなことがあった気がする


「すまぬ、大丈夫か……っ」


「はい…平気です……っ」


お互いバッチリと目が合う。メリアさんが私におおいかぶさるような状態になっていた。暫く見つめ合い、メリアさんの顔がゆっくりと近付いて……


「んっ……」


二人の距離がゼロになり、互いの唇を重ね合わせた……


「キス…しちゃいましたね…っ」


「ふふ、そうじゃな……もう一度しても良いか?」


「はい…私ももう一回…したいです」


互いに起き上がり、再び唇を重ねる


「んんっ…!?ふぁ…メリ、アさ…んんっ…!」


先程と違い、舌が私の口腔を支配しされるがままにされる。あぁ…なんか凄く気持ち良い……何だか頭がボーッとしてきた……



「おーい、メリア。最前線の不死者の森の部隊から医療道具が足りないって要請が来てる………よ……っ」


部屋の扉が突然開き、シェイの声が聞こえる


「ご、ごめんっ…書類置いとくから…ご、ごゆっくり!」


猛スピードで机に書類を置き、勢い良く部屋から出ていった。何だか申し訳ない気がしてきた


「あ、あはは…見られちゃいましたね…」


「そうじゃな…さて、妾は仕事に戻るとするか…ユーカ、ありがとうな。妾を気遣ってくれたのじゃろ?」


「…はい」


「少し気を張っていたと自覚はあったからの…お主に心配かけてないかと思ったが案の定だったな…すまなかった、そしてありがとう」


そう言ってメリアさんは頭を下げ、謝罪と感謝の言葉を述べた。


「メリアさん、顔を上げて下さい。私達はその…あの…夫婦なんですから…相手を心配するのは当たり前です…だから謝らないで下さい」


「ふふ、そうじゃの……ありがとうユーカ」


「はい……それではお休みなさい。無理しないで下さいね?」


「うむ、明日が楽しみじゃ。お休み」


挨拶をかわし、部屋を出た。途端に力が抜け、その場にへたり込む


「……キスしちゃった……えへへ」


唇を撫で、呟く。まださっきの感覚が残っていた。凄く胸がドキドキしている。心臓が煩いけどそれさえも心地良いくらい幸せに包まれていた……はぁー……


「いけない、こんなところでトリップしてる場合じゃないや。明日の服、決めておかなきゃ」


ハッと我に返り部屋へと急ぐのだった……


明日は楽しい1日なると良いな……

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