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魔王の花嫁様!? 〜パーティーを追放された私は魔王に拾われ、花嫁候補にされました〜  作者: 蒼月 天馬
第1章 突然!?魔王(女)に求婚されました!?
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第13話 終息。告げる想い

またまたいつもより長くなってしまいました。次の話で1章終了です

「さて、倒してしまうのは簡単じゃが……どう止めたものかのぉ……」


拳を止めたまま思案するメリアさん。抜け出そうともがくレグナだが、ビクともしない…あの細腕のどこにあんな力が……


「あーもう、鬱陶しいのぉ…はぁっ!」


面倒臭そうに一瞥し、レグナの鳩尾に掌底を放つ。そのまま吹き飛ばされ、ピクリとも動かなくなる


「嘘だろ…?」


「あんなに苦戦したのに…一撃で」


「あの程度、昔戦った龍帝と比べればまだまだひよっ子じゃよ」


「ちょ…メリアさん、あれ生きてますよね!?動かないんですけど!」


「安心せい、ちょっと黙らせただけじゃ。命に別状はない」


良かった…死んでるんじゃないかと思った…


「時にユーカ。どうやって止めるのだ?」


「メリアさん…竜人族の力の源が何か分かりますか?」


「ぬ…?確か“龍孔”と呼ばれる場所から血液のように体を巡る気…では無かったか?」


「はい、その通りです。その龍孔を突けばレグナも戻るんじゃないかって…龍気解放はその気を体外に放出、体に纏うことで最大限の力を引き出しています。だからそれを止めれば…」


「成る程、ただその保証は無い、と言ったところか」


「はい、でもやってみなくちゃ分かりません。例え99%不可能でも私は残り1%に懸けます…!」


「ふ…良いだろう、分の悪い賭けは嫌いではない、協力しよう……とまぁその前にもう一度黙らせねばな…っと!」


「ひゃあっ!?」


私を抱え、高く飛び上がり、迫り来る尻尾の一撃をかわす。復活が早いレグナにも驚いたけど、それに即座に反応するメリアさんもすごい…相当な修羅場を潜り抜けてきたんだなぁ…


「ユーカ、奴の龍孔の場所は分かるか?」


「え、はいっ。確か額の辺りだったはずです!」


「ぬぅ…ちとキツいな…おい勇者と他1人!妾に手を貸せ」


「……良いだろう。手を貸してやる」


メリアさんの申し出を少し思案した後、意外にも勇輝は受け入れた。ただメリアさんに対して敵意を向けたままだった。仕方ないか…事情を知らない勇輝からすれば私は人質に見えるんだろうな…


「だが今回だけだぞ、魔王」


「な…魔王!?」


「ほう、気付いておったか…お飾り勇者と言う訳ではないようだな」


勇輝の言葉に驚愕するレックスさん。やっぱり気付いてたんだ


「そりゃどーも。これが終わったら優花は連れて帰らせてもらう…彼女は俺の仲間だ」


「その話は終わってからだな…っ!ユーカしっかり捕まっていろ!」


「わわっ…お、下ろしてください…!」


「バカ言うな。怪我をしているだろ…安心せい、ちゃんと守ってやる」


「は、はいっ……」


ニコリと微笑んでから私を抱き寄せる。

その腕は力強く、そして優しかった…


「はぁっ!!」


魔力を籠めた拳をレグナの腹部に叩き込む。一瞬怯むが体勢を立て直し突進、かわしきれない…!


「ぐぅっ……!?間一髪…!」


すんでのところで勇輝が割り込み盾で防ぐ


「勇輝!」


「大丈夫だ…優花は?」


「平気、勇輝が守ってくれたから」


「ち…効いてないのか…?」


「いえ、ダメージは受けてます。多分レグナの本能が痛みを掻き消しているのだと思います」


「ち…復帰が早いのはそのせいか…面倒な」


「だから小細工なしで…正面から行きましょう!」


メリアさんの腕から降り、武器を構える。尻尾が直撃した辺りがズキズキと痛むが構うものか。動ければ充分…っ!



「ユーカ、無理は……言っても無駄か。行くぞ!」


「はいっ…!」


地面を蹴り、レグナへと向かうメリアさん。それを爪で迎撃しようと腕を振るう、直撃し彼女の脇腹に突き刺さる。回避出来なかった…ちがう、しなかったのだ


「ぐぅ…っ。ひよっ子とはいえ中々の一撃じゃな…っ!」


「メリアさん…どうして…!?」


「これで身動きは取れぬだろう、竜人……がぁっ!?」


「メリアさん…っ!」


「行け、ユーカ…!こやつを救うのだろう!妾に構うな!」

その犠牲を無駄にしないためにも駆け出す。狙うは龍孔……!


「レグナ、今助けるから!はあぁぁっ!」


闘気を纏った拳を額に思い切り叩き付ける。


「グァァァ…ア…あぁ…っ」


闘気が徐々に収まり、呻き声を上げレグナは倒れる。爪や牙が無くなり、人の姿へと戻った。良かった……上手くいった


「く…っ…!」


「っ!メリアさん!」


限界だったのか、呻いて倒れるメリアさん。慌てて駆け寄ると痛々しい程に血が流れていた


「メリアさん!?」


「泣くでない…この程度でくたばる妾ではないわ」


そう言い、私の頭を撫でる。いつもより弱々しいのは気のせいでは無い筈


「だが流石に疲れたの……帰るとするか」


「はい…っ。帰りましょう…私の事、まだ話してませんし」


「そうだったな……」


「待ってくれ優花、戻ってきてはくれないのか?」


勇輝が呼び止め問いかける。戻りたい…けど私は……


「……ごめん、私はもう戻らない。私が帰る場所はこの人の隣だから……行きましょう」


「…良いのか?」


「……はい」


「分かった……そう言うことだ、この子は貰い受けるぞ」


そう言い、立ち上がり転送魔法を発動し、転移の準備をする


「優花!」


「ごめんね…勇輝。さようなら……」


転移の瞬間、ポツリと呟いた








魔王城・門前


「ふぅ…着いたの」


「……」


「ユーカ…本当に良かったのか?」


無言で俯くユーカに声を掛ける。辛いのが目に見えるほど落ち込んでいた


「分かりません…何が正しいのか。私はどうすれば良かったのか……」


「そうか…まぁお主はまだ若い。存分に悩むが良い……」


そう言い、頭を撫でる。子供扱いされたのが嫌なのか少し不服そうな顔をし、此方を睨む……うむ、可愛いの…


「う……」


気を抜いたせいか、目眩がする。まずい…血を流しすぎたようだ……


「すまぬユーカ…限界じゃ…っ」


「メリアさん…!?しっかり、メリアさん!!」


ユーカの悲鳴を最後に意識がプツリと途切れた……








「ん…んんっ……」


「やっと起きたか…全く世話の掛かる友人だよキミは」


「シェイ……此処は妾の寝室か…?」


目を覚ますと少女の姿をした友が呆れた様子で呟く。


「あぁ、ボクとその子…ユーカだっけ?で運んだ。自分だって怪我してるくせにずっと看病してたんだからね、感謝しなよ?」


シェイの目線を辿るとベットに突っ伏して眠るユーカがいた


「そうか…ありがとうなユーカ」


労うように頭を撫でる。ふと視線を感じ、振り向くとシェイが此方を見ていた


「…何じゃ?」


「ボクには何にもないの?色々手助けしたじゃんかぁ…手当てもしたんだよ?」


「はぁ…我が儘なヤツよの……ほらこれで良いか?」


「えへへ…」


頭を撫でてやると花が咲いたように笑う。全く……まぁこういう所が可愛いのだが


「んん…あれ私、眠って……あ」


眠りから覚めたユーカが妾をぼんやりと見つめていたが、暫くして覚醒し目を見開く


「おはようユーカ」


「メリアさんっ!」


「……っ!?」


溢れんばかりに目を潤ませ、妾に抱き付く。ぐぅ…傷口がぁ……っ


「ユーカ、嬉しいのだが……傷が開く…っ」


「ふぇ!?ご、ごめんなさいっ!」


「それくらい甘んじて受けたって良いんじゃない?心配させたんだから。さてルルティア達の様子を見てくるかな…じゃまた後でね」


そう言いシェイは出ていった…気を遣ってくれたのだろうか


「メリアさん…良かった、あのまま死んじゃうのかと思っちゃいました…」


「ふ…そう簡単にはくたばらんよ。妾は魔王だぞ?」


「分かってます、でももしあのまま貴女が居なくなってしまったらって思ったら…怖くて仕方無かったんです…それ程までにメリアさんの存在は私の心の中で大きくなっていたんです」


涙を拭いながら、ゆっくりとユーカは言葉を紡ぐ。正直、とても嬉しかった…妾だけが必要としているのでなく、ユーカも妾を必要としていることが……


「そして気付いたんです…私は貴女が……メリアさんが…好きだって」


顔を真っ赤にしながらはっきりとユーカは言う……え?今、何と言った?聞き間違いでなければ好きだと……


「ユーカ、それは本心なのか…?」


「はい……失いたくない大切な人って思いました…」


そう言いニコリと無邪気に微笑むユーカ


「ユーカ…っ」


そんな彼女が愛しくて思い切り抱き締める。傷口が痛むが関係無い


「わわっ…メリアさんっ、傷口開いちゃいますよ…」


「構わぬ…今はお主を抱き締めていたい

。それとも嫌か?」


「狡い人…そんな風に言われたら断れないじゃないですか……」


耳元で囁くと、少し拗ねたように呟くユーカ。ふふ、やはり可愛いのぉ


「そうとも、妾は狡いのだ。ふふ…思いの外早く成就したの…怪我の功名というヤツかな」


「もぅ…調子よすぎです…っ」


そう言い諌めるように妾の頭を小突くも、その表情は笑顔だった


「ユーカ…これから幾度となく危険や困難が有るやもしれぬ。それでも妾の側に居てくれるか?」


「はい…ずっと側にいます。貴女と一緒ならどんな事でも乗り越えていけます、きっと……」


妾の言葉にはっきりと応える。真っ直ぐ、どこまでも汚れの無い言葉で彼女は言った…その姿はとても眩しかった


「ありがとうユーカ…いつまでも共にいよう…2人を死が別つまで…」


「はい…いつまでもずっと……」


2人で微笑み合い、暫くの間抱き合っていた………


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