表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

パーティ結成

「先程は唐突にすみませんでした。自己紹介からさせてもらいますね。」

喫茶店のような店で向かいに座った銀髪の美女は、落ち着きを取り戻したように話し始めた。


話はちょっと前に遡る。

俺は美人な女性にいきなり声をかけられてテンパったまま店に引き込んだ。

引き込んだ店は喫茶店のような店で、引き篭もりだった俺はコミュ障となりつつあったので無言でテーブル席の片側の椅子に座った。

女性は戸惑いつつも反対側の椅子に腰をかけて一息つき、俺に向かって話をしてきた。

「私はクレア=エリミエル、クレアと呼んでください。職業は僧侶の最強職...の1つ下のプリーストです。」

そんなことを微笑みながら話すクレアに俺は

「俺は瀧江直也。職業は...知ってるみたいだけどソードマスター。でもどうしてそれを?」

「ギルドで見ていたんです。全ステータスがカンストと噂も広まってますしね。」

俺、噂になってんのか。噂になったことなんかネットゲームしかなかったこの俺が。なんか照れるな。

1人ぼんやりと考えているとクレアが

「それでです。スグヤさんは冒険者登録したばかりでパーティを組んでませんよね?そこで良ければ組ませて欲しいなー...なんて思って声をかけたんですが...」

「スグヤでいいよ。パーティならもちろん歓迎だ。でも今日この街に来たばかりで寝床すらないぞ?」

「そこはおまかせを!少し狭いですが私の借りている部屋の隣が空き部屋です。宿泊代もさほど高くないのでお勧めですよ。」

そうなのか。この世界では部屋を借りて生活していく感じなんだな。冒険者は旅するわけだし。

「それなら俺もそこに行こうかな。それじゃ、これからパーティメンバーとしてよろしくな、クレア!」

クレアは頬を少し赤く染めると笑顔で

「はい!よろしくお願いします、スグヤ!」

と嬉しそうに言ってきた。

どうしよう。惚れる。てか可愛すぎる。

俺は日本にいる頃、恋愛を楽しむ友人を馬鹿だと思っていた。

自分で言うのもあれだが、顔はそこそこイケメンだ。小学校のころは何度か告白されたこともある。

しかし、そんなことに意味は無いと思ってすべて断ってきた。

周りの友達が皆くっついていくのをくだらないと笑いながら眺めていた。

だが、今ようやく恋愛の意味がわかったかもしれない。この人と一緒にいたい、と心から思った。

そして昔の自分にこういってやりたい。

『お前何断ってんの?将来女と話す時コミュ障になるよ。』

と。


そんな俺を不思議そうに眺めていたクレアは

「どうしました?行きましょう?」

と言ってきた。

コミュ障な俺は急にクレアを女性と意識してしまったこともあり

「あ、え、その、うん。うぃこう!」

と、思い切りかんでしまった。

そんな俺を見たクレアは

「ふふ、おもしろい。」

と小さく笑った。

俺は照れ笑いを浮かべ、クレアと共に店を後にした。


借り部屋に向かいながら俺はずっと考え事をしていた。

なんでこの人は、俺なんかとパーティを組もうとしたのだろうか?

最強と言っていいソードマスターだから?一緒にいれば強くなれそうだから?

まさか...俺に惚れたか?それなら相思相愛ってことで即リア充になれるな。

いや、でも流石にそれはないか。こんな美人なら、俺よりいい人を選ぶよな。

何か引っかかる、というか思い出せない感じがしたがあまり気にしても仕方がない。明日からのことを考えよう。

などと考えていると

「着きましたよ!部屋を借りに行きましょう!」

と、クレアの元気な声が響いた。

俺はクレアと共に受付に部屋を借りに行った。


「タキエナオヤさん!部屋番号が決まりましたので受付へ確認に来てください。」

という放送が流れた。

俺はスグヤだっつーの!ナオヤじゃねえから。

そんな決まり文句でも言ってやろうかと思ったが、もう今日は疲れきったのでさっさと部屋に行くことにした。

部屋は1人で泊まる分には十分な広さだった。

洋風の室内を見渡し、俺はベッドに倒れ込んだ。

今日はいろいろありすぎて何が何だったんだかよくわかっていないのが現状だった。

異世界に飛ばされたり、魔王を倒せなどと言われたり、ステータスがチートレベルのオンリースキルもちだったり、美女とパーティ組んだりと、俺の日本での17年よりも充実していたんじゃないだろうか。

俺は日本の日々よりも良い異世界LIFEにするという覚悟を決め、共同浴場に向かった。


風呂上がりに牛乳みたいな飲み物を飲みながら俺は階段を上っていた。

異世界なら混浴も...と期待していたが、残念ながらここにはなかった。

俺は部屋に戻りドアを開けようとすると、紙が貼ってあることに気づいた。

紙にはこんなことが書いてあった。


ソードマスター瀧江直也殿

明日朝、其方と話がしたい。朝5時に外の広場にて待つ。


と、書いてあった。

差出人がわからないので危ない気もするが、俺は最強のステータスだし大丈夫だろう。

てかこの世界の時間はどうなってるんだろう。

俺は部屋番を任せた有能ピクシーに話を聞くためドアを開けた。

ピクシーは部屋で明日の予定を考えてくれていた。

「おーい、ピクシー。この世界の日時はどうなってるんだ?」

ピクシーは俺をきょとんとした顔で見ると

「1日24時間365日ですけど...スグヤさん17歳ですよね?頭でもぶつけました?」

と、不思議そうに聞いてきた。

「ああ、ちょっとド忘れしただけだよ。」

と、答えはしたものの、俺は今日からこの世界だからな。転移した...なんて信じてもらえるわけないしな。今後はどう説明するかな。

そんなことを考えながら、俺は眠りについた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ