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ちょっと一息幼少編 いちご

「 いーちごちゃーんあーそーぼー」


小さい子供が呼びにきた、幼稚園児のようだ。

「 あらあら折角来てくれたのに、ごめんねーいちご熱出しちゃってねえ」


いちごの祖母であった、きっと名前はりんごに違いない。


「 ばぁさんやいちごの友達かえ?いちごも不憫になぁ、折角友達が誘いに来てくれても外で元気に遊べん体とは」


「 まあまあおじいさん、喘息なんてそんな珍しい病気でもないし、大人になるまでに直ってしまう子も多いのですから、毎日毎日心配してたらおじいさんの方が先に参ってしまいますよ」


「 そうは言っても不憫でのう、人形やテレビゲームでも買ってあげたいところじゃが1人で遊ぶのに慣れてしまっても可愛そうじゃ、何か良い方法は無いものか」


「 おじいさんそれでしたら、あれがいいですよあれが、古いのに若い子にも人気あるんだとかテレビでやってましたから」


「おお、おお、あれか、なんじゃったかのぉあれなら2人でしか遊べんから丁度良いのぉ」


「世界でも人気のゲーム、囲碁じゃなおじいさん」


「よーし買ってくるぞー近くの玩具屋に置いとるじゃろ」


徒歩5分の所にあるおもちゃ売り場「おもちゃのはこ」


おじいさんは歩くのが遅く10分でまだ到着していないが大した距離ではない


「おーい居るか?、あれをくれ、ほらなんじゃったかのぉ」


「柿木さんとこの爺様じゃないですか、あれって何のことでしたか?」


「ほーらあれじゃよ、木の台が有って升目が切られとって古いが若い子にも人気なんだとか」


「あれって将棋の事かぁ?これで良いかい爺様?」


「なんか違う気はするんじゃが思い出せん、手ぶらで変える訳にもいかんから買って帰るとするか」


「爺様、近所なんだし家まで持ってってやるよ、欲しいものがこれじゃなかったら言ってくれれば受け取りに来るからさ、ただし汚すのは無しだぜ、返品不可になっちまう」


玩具屋の主人は親切丁寧に箱を開け箱を持ち帰った。


「じいじぃこれはどっちに動くの?」


「おお、おお、いちごや、それは金じゃな、真っ直ぐ前、斜め前、横、後ろに動けるんじゃよ」


「そうなんだね、じいじぃ、誰でも分かるように色を塗っておくね」


「こらこら盤に色を塗ってはいかん、頭の中で思い浮かべた盤に色を塗るんじゃ」


「そっかー塗ったらダメなんだね、頭の中で盤に色を塗るんだね、分かったよ、じいじぃ」


小さい子供だ、物分かりも良い、いろいろと教えてあげたかった、しかしおじいちゃんは風邪をこじらせ肺炎となり入院してしまう。


「おじいちゃんまだ帰って来ないの?」


「いちごがお利口にしてればすぐに帰ってくるよ、おじいちゃんに教わった事はちゃんと覚えてるのかい?」


いちごは頭の中の将棋盤に毎日のように色を塗り続けていた


駒の利きを線のように見られる能力はきっとこうして手に入れたのだろう。


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