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彼が悪魔と呼ばれた日  作者: 芳右
第一章 彼が異界へ渡った日
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003 遭難

話が遅々として進まないので連日投稿!

ある程度話が進めやすくなる所まで行けたらいいなぁ…


上がれ!俺の執筆速度!

陽光の刺激を瞼越しに受けて目が覚めた。

どうやら眠っている間に猛獣に襲われるという残酷な人生の幕の閉じ方はしないで済んだようだ。


それにしても…

と、辺りを見回してみてガックリと項垂れた。


「夢であって欲しかった…」


これが今の心からの言葉だ。

周囲の景色はやはり深い森、聞こえてくるのは木の葉が風に揺れて擦れ合う音と、たまに鳥や獣の鳴き声。

人の話し声のひとつでも聞こえればどれだけ救われることだろう…


そう思ってぼんやりと空を見上げ…


「…あっ」


間抜けな声を上げて空を見上げた状態で固まった。


「木でも何でも登って高い場所から見渡せば何か見えるかもしれねぇじゃん!なんで今まで思いつかない?!」


せめて方向くらいは一番最初に確認すべきだった…

俺は思っていた以上に冷静さを欠いていたらしい。

そんな事を今更後悔しつつ辺りを改めて見回す。


どうやらこの辺りで比較的背の高い木は俺が寝床にしていた木のようで、さっそく何年ぶりかの木登りに挑戦する。


木を登る最中、乾燥してささくれ立った木の皮が刺さりチクチクと手のひらに痛みが走る。

けれど、それで森を抜けられるならと痛みを堪えて順調に登っていく。


やっとの思いで木の天辺に登り、恐る恐る周囲を見渡す。

ココまで来て森しか見えなかったら…と嫌な考えばかりが浮かぶのをなんとか振り払って目を凝らすと


「あれは…道?」


今居る場所からは遠いが、一部線状に草木が刈り取られ綺麗に…とまでは行かないが、一応人の手が入っているような道らしき場所がある。


更にその道を辿って視線を這わせると、その先にうっすらと緑じゃないものが見えた。

遠すぎて何かまでは判別できないが、明らかに自然のものではないような淡い赤茶けた…煉瓦のような色。

それが点々と見える場所があった。


「あ…あれって、家…だよな?」


他に誰もいない空間にもかかわらず、言わずにはいられなかった。

やっと人の居る場所に出られると思うとうれしくて仕方が無い。


テンションが上がり、枝にぶら下がるとそこから一気に飛んで地面に着地する。

衝撃で少し足がしびれたがそれすら何だか楽しく感じてしまう。


道が見えた方向を確認して、思わず走り出しそうになるのを堪えながら急ぎ足で進む。

たまに登りやすそうな木を見つけると登ってみて方向を確認しながら進んだ。


太陽が真上に来た頃に漸く道らしき場所へと出られた。


道にはリアカーか何かで付いた細い車輪の跡がくっきりと残されている。

さらによく目をこらせば靴跡のようなものもちらほらと見て取れる…


「やっぱりこの先に人が住んでるんだ!」


多少の違和感は感じるものの、人が居るならココがどこだかわかるだろうし、あわよくば保護してもらって、帰るための手助けだってしてもらえるかもしれない。

そうとわかれば話は早い、今まで体力温存のために走るのを我慢していたが、もう遠慮することは無い。

念のため方向だけ確認して人家があるだろう方向へ駆け出した。


―――――


よく考えなくてもすぐにわかる事だが、少なくとも丸一日何も飲まず食わずで歩き続け、体力はかなり消耗していた。

さらに精神的疲労も相俟って心身ともにかなり疲弊している。

そこでいくらテンションが上がったからといって走ったりすれば…もうおわかりだろう。


…走り始めて数分でバテた。

ぜぇぜぇと肩で息をするのも辛い。


あぁもう動きたくないし考えたくも無い…


酸素が不足しているせいかぼんやりとする視界と思考。

動かしていた足も止まり緩慢な動きで近くの木陰へと腰を下ろす。


少しずつ息が整い始めると、今度は先ほどの軽率な行動に対する自己嫌悪。

あぁなんて馬鹿な行動をとってしまったんだろうか…なんて事から始まり、過去に遡って人生を振り返るなんてところまで思考が進む。


体力が減るとネガティブになるって…体力と精神力はイコールなんだろうか?

そういえばいつか見た映画で「遭難したとき人を殺すのは恥だ」なんて感じの台詞があったな…

「どうして俺がこんな目に…」「俺はなんて軽率な行動をとってしまったんだ」なんて考える暇があったら、どんなに醜くても生き抜くための最大の努力をしろとかなんとか…チャールズ俺頑張るよ。

というか…何て映画だっけ?


そんなどうでもいい考えを巡らせながら貴重な時間を浪費している俺だった。

次回 賢治は森を抜け無事に人が住む場所へとたどり着けるのか?

乞うご期待!


…なんて言って期待してくれる人は果たして何人いるのだろうか…


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