5/16
靄
当然誰も助けに来てくれない事は分かっている。
実は幽霊に連れさらわれるのはこれが初めてじゃない…
高校生になってからは初だけど、小学生の頃は割と頻繁に連れさらわれていた。
(まさか高校生にもなってこんな事になるとは思ってなかった油断していたな…自分)
と自分に怒りを感じた。
が、もう今更後悔しても遅いまだ、誰にも見られていない事を幸運に思っておこう。
──死ね死ね死ね……──
まだ、言っている。
私ははぁ~とため息をつき周りをキョロキョロ見回した。
(え!!何あれ?)
てっきりこの男(幽霊)は私を殺すのが目的だと思っていたが、違ったみたいだ…
私達が向かっているだろう場所に黒い靄がかかっている。
例えてみるとすればブラックホールみたいな感じだ。
私はそれに見覚えがあった。
それも嫌な感じに…