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星の待つ丘  作者: 羽遊
1/5

プロローグ

誤字・脱字がたくさんあるかもしれません。

ご了承ください。

誰にも、一番好きな場所というものがあるらしい。

 僕の場合は、引っ越す前の故郷にあった、星の良く見える丘だった。三日前までは、あそこによく通っていたのにな。

 今居る場所は学校の男子トイレの中。背後の窓からの夕日が、照明のついていない薄暗く臭い空間と、僕を囲む4人の男子生徒を照らしている。状況は、僕から見れば普通。部外者から見れば最悪だろう。なにせ、僕は虐められているのだから。

 相手にするのが面倒だったので、しばらく口を閉ざしていたら思いっきり右頬を殴られた。その反動で掛けていた黒縁眼鏡が宙に舞う。あの眼鏡、いくらだったかな。殴られるの予想してたなら掛けてこなけりゃ良かったのに。僕よ。

 虐められている最中でもそんなのんきな事を考えてしまうのは、慣れているからだろう。前の田舎の中学校でも虐められていた。その時は物を隠されたり教科書に落書きされたりと、直接的な虐めはなかったが。

 そのほうがまだ助かる。人と話すのは苦手だし、面倒だ。そのせいで今みたいな状況に立たされているんだけどさ。

「今日はもういいか。帰ろうぜ」

 先ほど僕を殴った男子生徒がそう号令をかけると、他の男子生徒も頷き、そそくさと帰っていってしまった。

 そういえば、何故自分は虐められているのか。そんなこと、少し考えればわかる事だ。およそ人が不謹慎に思う態度を、僕がとっているからだろう。人の言葉を無視、とか。


 男子生徒たちが出て行ってから数秒間を置いて、僕も男子トイレを出た。もう放課後だ。いつまでここには居られない。

 顔の痣や学ランの傷を人に見られると面倒なので、早足で3年1組へ向かう。鞄を取りに行くためだ。学校に置いていくとまた教科書などを探さなければいけない羽目になるからな。


 扉を横へ開けると、教室にはまだ女子生徒が一人残っていた。こちらに背を向けているから僕にはまだ気づいていないみたいだが……あの漁られている鞄、僕のだろ。窓際の後ろから2番目の席は……うん、やっぱ僕の机だね。はは。

「何かおもしろいものでも入ってた?」

 自分の声にしては少々低めの音程で声をかけてみる。あいつも苛めで僕の鞄を漁っているんだろうなと脳内でほぼ確定していたから、なんか怒った感じに言ってしまったかもしれない。

 女子生徒は腰まで長い黒髪をビクッと痙攣したように震わせ、恐る恐るこちらに振り向く。そしてその瞳が僕を捉えた瞬間、女子生徒は目を見開き、固まった。

「あっ……いやっ、カリス君……これはっ……すいません!」

 その言葉を全て発し終える前に、彼女は逃げるように走り出していた。いや、追わないから。

 僕は女子生徒の居た場所に立ち、自分の机の鞄を見下ろす。

「ついに、男子だけじゃなく女子にも悪戯を仕掛けられたか。万国共通の虐めの的だな、僕は」

 そう笑い飛ばし、鞄のチャックを閉め、背中に担ぐ。と、そこで机の上のある異変に気づく。

「ああ、消しくずか」

 散乱する消しゴムの消しくず。これ、あの子がやったのか?

 机の上を軽く手の甲で払って、消しくずを落とす。あの子も地味な事するなぁと苦笑いし、僕は教室を出た。

 さっき鞄も漁ってたから、もしかしたら教科書とかも落書きされてるかもな。

 そう頭に浮かび、一言呟いた。

「前と変わんないな、ここも」



 その言葉が全くの嘘になるとは、思いもよらなかった。

あんまり自信がなく、文も下手ですが、どうぞよろしくお願いします^^

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