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罪人転生、拭う罪 ー今度こそ好きな女を笑わせるー  作者: 森俊介


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4/8

罪人ジェイン

俺はジェインに抱えられたままある村へと到着する。

そこは王国からは近いけれども、名もない小さな村だった。

どこか、この世界で俺が生まれた村と似ているように思えた。


「村人に交渉して宿を貸してもらえ」

「なんで俺が!、てか。おエエェぇ」


なれない浮遊に耐えきれなかった俺は胃酸を地面にぶちまけた。


「俺が行ったら脅したみたいになるだろ」

「あ、確かに」

「納得されるのもムカつくがまあいい、早くしろ」


逆らう理由もない上、一刻も早くちゃんとしたベッドで寝たかった俺は村にある唯一の宿屋に向かう

そこの店員さんは優しい表情をしたおばあちゃんだった。これは子供の可愛さに免じていい部屋をとってみせる


「すいませーん」

「なんだい坊や」

「あの、部屋を貸して欲しいんですけど」


つぶらな瞳でそう言う俺に


「はい、じゃあ銀貨3枚ね」


はっっっっ。俺は急いでジェイスの元へ


「なんだ、もう宿が取れたのか」


耳をほじりながらいうジェイスに


「金だよ金、俺一円たりとも持ってない!」

「円?まあよくわからないがこれで宿を借りてこい。俺の全財産だ」


そう言ってジェイスが俺に渡したのは銅貨2枚。って、、


「こんなんで足りるわけないだろーーー!!」


俺が地面に硬貨を叩きつけ、叫ぶとジェイスは呆れたように


「たく、人間は心の狭い生き物だな」


こいつやっぱ変なやつ

そんな茶番?をやっていると恐る恐る村民の1人が声をかけてくる


「あの、国の使者の方ですか?」


なんでこの人はこんなに怯えているのだろうか


「いえ、違います」

「そ、そうですか。よかったー」


なんでこんなに安心してるんだ?


「おいお前」


ジェイスがそう切り出す


「宿を借りようにも金がない。仕事をあっせんしろ」

「ちょ、ばか。急すぎるだろ」

「いいですよ」


いや、いいんかいーい

そして俺らが斡旋された仕事は


「ジェイス、これいつ終わるんだ」

「全てを見通す俺の目を持ってしても未来だけは見えん」


そう、俺らがやってるのは雑草抜きである。ここの畑にある雑草を全て抜いた暁には

無料で宿に泊まらしてくれるうえ、食事までもらえるらしい。

一見破格の案件に思えるがこの灼熱の太陽を考慮するとかなりのブラックと言える

それはおいといて、、


「全てを見通す目?」

「ああ、俺はこの目でだいたいのものを見通すことができる。体のどこが悪いのか、相手のどこが弱点なのか、建築物の構造などの見抜くことができる。」


「あ、だから目隠しされてたんだ」


そこで俺にひとつの疑問が頭に浮かぶ


「別にいつでも脱出自体はできたんでしょ。なんで脱出しなかったの?それに、女の牢屋の場所なんて、」


俺がそう言うとジェイスはため息をつきながらも話してくれた


「話すつもりはなかったが、まあいい。全て話してやる」


ジェイスはとある用事(これは教えてくれなかった)で王国にきたところ、女の子が魔法士たちに捕まっているのを見た。それで、その女の子を守るため、魔法士たちをボコボコにしようとしたところ、女の子を人質にとられ、しょうがなく牢屋に入る。どこからか情報を手に入れられ、目も封じられ、脱出すれば牢屋に収監してる女の子を殺すと言われたらしい。

そこで俺に頼んで目隠しを外させ、牢屋に女の子がいないことを確認してから逃げたらしい。


「ジェイスも色々あったんだな。変なやつだけど俺は好きだよお前のこと」


俺がそういうと、ジェイスは真顔で俺を見つめ


「俺はお前が気持ち悪い」

「え!!なんで!!?」


俺なんかこいつにしたっけな


「お前に出会ってから俺が見えない物が一つ増えた。」

「?」

「見えないんだよ、お前の中身が」


まっすぐに俺を見つめてそういう

もしかしたら転生する前の俺の魂みたいなものが邪魔してるのかもしれない


「あなたたち、夕暮れまでに終わらなかったらあしたも働いてもらいますからね」


いつの間にか後ろに農夫がいて、俺たちにそう催促してくる


「お前、なんでも見えるって言ってたじゃんかーー」

「な、なんでもと言ってない」

「言ってましたー。全てって言ってましたー」

「未来のことは見えないんだい」



日はとっくに落ちたとはいえ

俺たちはなんとか雑草抜きを終わらせて食事にありつけた。

村の端っこで鍋の食材たちがコトコトと踊っている


「なんだ、どうしてそんなに鍋の中を見ている」

「いや、なんでも、ない」


暖かい食事は何日ぶりだろうか。人との食事は何日ぶりだろうか

するとジェイスは暖かい具だくさんスープの入ったお椀を俺に渡してきた。


「腹一杯食っていっぱい寝たらだいたいのことは解決する」

「ジェ、ジェイス、、、」


俺は具を頬張ろうとするが、一つの事実に気づく


「じゃあ、俺もいただくと、、する、、」


ようやくジェイスも気がついたらしい


「ジェイス、、スプーン、、もらってこようか」

「ああ、そうしよう」


飯も腹一杯食べて久々にベッドの上に体をのせた。

いつの間にか前まであった心の氷みたいなのが溶かされている。

あったかい飯食ったからかな?


「ルイ、まだ起きてるな」


ジェイスが俺の部屋に入ってくる


「どうしたジェイス。まさかおまえゲイじゃねえよな。すまん。俺は女しか愛さないって決めたんだ」

「ゲイ、はよく知らないが、そうだ、お前の愛した人物についての話が聞きたい」


俺が愛した人物、、、、

この世界のだよな。

なんで急に?

ここは村とか父とか母について話しておこう。



そこから俺は自分が生まれてからどんな生活を送ったのかを話した。

父とでっかい虫を捕まえただの、母とでっかい魚を捕まえただの。

村で送った楽しい日々を

ジェイスは真顔のまま聞いた

なんだろう、心が軽くなっていく?


一通りあの村での虐殺の前までの話を終えたところでジェイスが口を開く


「お前、嘘をついているな」

「うそ?ついてない」


俺ははっきりというが


「いいや、お前の心を見るにお前が一番愛したものは両親ではないはずだ」

「俺の中身は見えないんじゃねえの」

「ああ、見えない。だがお前の心の柱となっているのは両親なんかではないように思う」

「なんの根拠があって言ってんだよ」

「勘だ」

「は?」

「だがその反応をみるに確信した。話してみろ、この俺に」


今だにあいつのことを夢にみる。


思い出したくない、思い出したい、

忘れたい、忘れたくない

会いたくない、また会いたい


「話したくないんだ、俺は、、俺は、1人でかかえこめるんだ」

「じゃあなんで、そんなに辛い顔してんだよ」


えっ。辛い顔。それこそ嘘だ。俺は辛い顔なんて

部屋におかれた小さな手鏡に写った俺の顔は

想像以上にやつれていて、寂しそうで、何より


「話してみろ、な」


そう微笑むジェイスに俺は全てを話した。

嗚咽混じりの俺の話をジェイスはちゃんと聞いてくれた

かろうじて転生のことは言わなかった。

でもちゃんとそれ以外は全て伝えた


「愛する人がいたんだ。心の底から愛する人が。彼女もまた俺を愛してくれた。これ以上ない深い幸せに身を投じ、これからもずっと一緒に生きていけると思った、なのに、なのに、、、

あいつはあいつじゃなくなったんだ。」


「洗脳、などの類か」


「いや、病だ。心の病。ちょっとした事故が原因だったんだが、あいつの精神に大きな負荷をかけちまったんだ

それからは、周りのものや人を傷をつけるようになった」


涙を拭いながら話す


「俺が守んなきゃいけなかった。守ってやんなきゃいけなかった」

「それで、ルイはどうしたんだ」


「あいつは昔言ったんだ。私が周りに危害を加えるようになったなら、私を止めてって」

「ああ」


「俺は、あいつを一生懸命止めようとした、仕事もやめて、彼女につきっきりだった。でも、向こうから矢印が向くことはなかった。だから俺は、、、、あいつをこの手で、、、ううぅぅぅぅ」


「もういい、お前のことはよくわかった。辛かったな」


ジェイスは俺の頭を腕の中に抱き込む

なんだ、安心する

疲れが癒されていく。

瞳が重い



「よく寝ろ。そして、明日を歩め」


ジェイスがそう言いながら俺の頭を撫でてくれたような気がした

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