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罪人転生、拭う罪 ー今度こそ好きな女を笑わせるー  作者: 森俊介


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2/8

罪人命名

ここは一体どこだ。暗い、苦しい、息ができない。

まさか、転生失敗なんてことないよな!?


するとぬるっとした感触とともに世界が明るくなっていく

なんだ、この苦しさは。まるで常に気管に水が溜まっているような。

これを解消するには


「オギャーオギャー」


情けない声とともに俺は大声で泣き始めた。

体内に入っていた羊水がだんだんと体の外に出始め、楽になってくる。



「よかった、よかった〜〜」


泣きわめいている俺の姿を見て、安堵した声で俺の母親がそう言う。

その目元は潤んでおり、俺が生まれたことに対して大きな喜びを感じているようだった。


あのときは本当に赤子だったからわかんなかったけど

あっちの世界の母ちゃんもこんなかんじだったのかな


そんなことを思いながら俺は母親に抱きかかえられる。

パッと見たかんじ、田舎の農夫婦と言った感じか。

奥にはクワのようなものがおいてある。


ダッダッダという音とともに大きな音を立てて1人の男が家に入ってくる

大きく肩を揺らしている事から、走ってきたみたいだ。

もしかしてこの男は


「あなた!」

「よく頑張った。よーく頑張った」


俺の父親らしき人物も俺を見て頬からツーっと雫を垂らしていた。

そして、俺と俺の母親をぎゅっと抱きしめた

夫婦が揃ったとなると、この名前ともそろそろお別れであろう。

おそらくこの後に行われるのは


「あなた、この子の名前どうするの?やっぱあれに決めたの?」

「う、うーん。あの名前はこの子にあっていないような」

「それじゃあ私から提案していい?」


そう、この世界での名前を決める儀式。命名である。

なんか普通の名前じゃなくて、アーサーとか王子様っぽい名前がいいな


「この子の名前はね〜〜、ルイ!」


ルイ!!、、るい、、、か。全く、変な縁みたいなのがあるのかな

この名前とはもうお別れしようと思っていたが、もう少しだけ付き合ってもらうことにしよう。


「いいね!この子ににあった名前だ」


父親も納得したようなので俺の名前はルイに決定した。







時の流れというのは早いものだ

つい最近までばぶばぶしか言えなかった俺だが、もう6歳、言葉を喋れるようになった。

この世界の言葉は今まで住んでいた世界の言葉と一緒?

まあ、あのリンとかいう奴がなんかしてくれたのかもしれないけど、今のところ言語の壁というものは存在しない。


俺は農村の長男として生まれ、姉が1人 弟が1人の3人を含んだ5人家族として平和に暮らしている。

主に農作業を行い生計を立て、自然豊かな土地でのびのびとやっている。


俺は本当に転生して、平和な暮らしを手に入れたようだ。


「ルイ〜〜。キャベツを取りに行くわよ〜〜」


母親に呼ばれたのでハイと返事をしてキャベツの生えた畑に向かう。

ここでの食生活も元の世界とほとんど同じで肉と魚と野菜を食って暮らしている。

米というものは無いらしく少し寂しいがな。


キャベツを収穫しながらも俺はあいつが言った言葉が気がかりでしょうがない。

ー 地獄の旅へ、行ってらっしゃい ー


この生活は果たして地獄なのだろうか。いや、この太陽と景色を見てそう思うやつはいないだろう

むしろ天国とまで言えるくらいだ

まあ、最後まで適当な奴だったしあいつの気まぐれなのだろう。


キャベツの収穫が終わり、とを勢い良く開けるととうつむいて暗い顔をした父がいた。


「あなた、また魔物が出たの?」


心配そうに母親が声をかける


「ああ、それで国の魔法士様に応援要請を行ったんだが、、」


「そ、それで?」


「ここの広大な土地を国に納めるなら守ってやるという風に言ってきたんだ」


「それは本当なの!? もちろん断ったのよね!」


「ああ、でも村長がいま国の使者と名乗る人物たちと話している最中だ。その結果どうなることやら」


この世界には魔物が存在する。人間に危害を加え、作物に危害を与える存在だ。

それらを抑制するために、各国が対抗できるような魔法を使える人物を統治し、農村などの護衛についている、、


という風になっているがそんな綺麗事ではないのが現実だ

守るにも金、金、金、土地、何かしらの対価を要求されるのは日常茶飯事。

また、どこの国も活躍した人物の肩書もらう代わりに金を出しているだけの存在にすぎず、

統治などされていない、魔法を使えるものたちが好き勝手できる無法地帯となっている。


この農村ももう3回は同じような交渉が行われている


「お母さん、リオンと遊んでくる」

「え、ええ。わかったわ」


扉を開けて弟のリオンと遊びに行こうとすると


「決して国の人たちに無礼を働くなよ」


父親がそう念押ししてくる。

こちとら部活で先輩にペコペコしてたんだ。そんな心配はいらないかな。



「ただいまー」

「おかえりルイ。今日はご馳走よ」

「やったーー」


リオンが喜んで家の中を走り回る

一体なんで今日がご馳走なのだろうか


食卓を5人で囲んでいる最中に父親が暗い顔つきで話し始める


「3人とも。よく聞いてくれ」

「?」

「この村はな、お父さん達のものじゃなくなっちまうらしいんだ」


なるほど、村長が出した結論としてはこの村を、この土地を国に売り払うということか。

それでこの村の安全が保てるなら十分なのだろう。


「そこで、この村から俺たちは違う農村に行こうと思うんだ」

「むらって言えるかもわからないけど、森の奥の方でゆっくりのんびりみんなで暮らしましょ」


父と母がそういうなら俺が反対することはあるまい。

リオンに関しても新しい家にいけると喜んでいる。


「わ、私はやだ」


姉のレイが涙を拭いながらそう呟く。

8年間住んできたこの土地を離れるのは確かに嫌だろう。

でも、、、


「新しい土地で、新しい思い出を作ればいいじゃないか」


俺がそういうと、レイはうん、と頷いてくれた。

どうやら了承してくれたみたいだ。

俺のいう通りやること自体はなんら変わらない。

朝起きて朝ごはん食べて農業して、家畜に餌与えて、ご飯食べて、寝る。

この生活リズムが変わることはもうない。

きっと、きっと、、、、



みんなは眠りについているようだったが、俺はなかなか眠れずにいた。

外に出て星空を眺めていると


「ルイも寝れないのか」

「お父さん、、」

「俺もな、この土地を離れるのはすげー嫌だ」


どうやら俺がこの土地を離れるのが嫌で寝れていないのだと思っているらしい


「じゃあなんで、」

「きっと、この土地が自由でなくなるということは、ここに住む俺らも自由じゃなくなっちゃうだろ」


広大な宇宙を眺めながらそう話す。その瞳には新しい土地での生活の不安や緊張、それと


「お前達とならどこ行っても楽しいしな」


そうやって俺の方を見てニヤッと笑う。

やっぱ、向こうの世界の経験を含めたとしても父親には敵わねえな


「お父さん。ずっと一緒だ」

「当たり前だ」


大きな父親の腕の中に俺は顔を疼くめる。

ああ、安心するな。

眠く、なって、、くる、、

俺の瞳はいつの間にか閉じて、明るい太陽の光を待ち望んでいた。



熱い、燃えるように熱い。

燃え、まさか!!


ハッと目が覚めるとあたり一面炎にかこまれていた。

俺は父親の腕にまだ抱かれていて


「ルイ、起こしちゃったか。怖いな。でも大丈夫だ。パパがいる」


汗をツーっと垂らしながらお父さんがそう言う

その右手にはレイ

母親の腕にはリオンがいた


「一体、なんでこんなことに。」


「一回外に出よう。少し熱いかもしれないが我慢してくれ」


俺たちは(父と母)は扉を壊し、外に向かって走り出す。


「う、嘘だ」


父親は目を丸くして現実を受け入れられていない様子。

それは俺も同じだ

この家だけでなく、むら全体が炎に包まれているではないか


「く、国の使者の人ならなんとかしてくれるだろう。呼んでくる」


俺を母に預け、お父さんは使者のいる家へと走っていく。

一体何が起こっているんだ

魔物か

それとも、、、


「ああああああぁぁぁ!!」


この声は!!

俺は父親の行った方へと走り出す。

頼む、俺の予想が当たっていないでくれ!


「ついた、、、お父さん?」


息を切らしながらも探し続けるが

そこにお父さんの姿はない


「おとうさーん、おとうさーん」


どこにもいないと思ったその時、ぴちゃ、という音とともに何かが足に当たった気がした。

ふと足元をみるに


「お、、とう、さん」


そこには頭だけとなった父親がいた

だ、誰がこんなことを、、

ふと頭をあげるとそこには2人の人間がいた。


「寝込みを襲ったはずだが、まだ生きている奴がいるとは」

「しぶといねー」

「結局殺せば同じだがな」


はっはっはっ。息がしにくい。苦しい。

逃げなきゃいけないのに。足が動かない


一歩一歩1人男が俺に近づいてくる


「しね」


この世界でも俺は死ぬのか。まだ何もしてないのに!!

俺は何かしなければいけないとわかっていながらも目をつむって諦めることに決めた。

たった6年。幸せに暮らせた。もう十分なんだ。





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