Deep Blue Shark (ディープブルー シャーク) 10
本作品に登場するすべての人物、団体、国家及び事件は全て作者の創作物であり、実在とは無関係です。
すべてフィクションですので、楽しんでお読みください。
10. Deep Blue Shark (ディープブルー シャーク)
背中から湧き上がる電流が、徐々に全身を包み込みながら放たれていった。
髪は波打つ海のような深い藍色のセミロングへと変化し、
両腕と背にはまるで古代の紋様のように刻まれた三叉の牙の痕が輝いた。
その紋様は、サメの力と野性の本能を象徴するかのように、仄かに青白く光っていた。
身長は一瞬で190cmを優に超え、
筋肉は海の嵐のように硬く、彫刻のようにくっきりと隆起した。
彼はもはや単なる人間ではなく、
深海から現れた海の戦士のごとく、圧倒的なオーラを放っていた。
その瞳は冷たい青氷のような鋭さを宿し、
滑らかな肌の下に潜む筋肉が見る者に戦慄を与える。
完璧なバランスの肉体と威厳に満ちた存在感は、
誰にも容易く触れられぬ――まさに神話の中の美少年戦士の姿だった。
怪サメが再び突進してきた。
つい先ほどまでボディーガードたちを一口で飲み込んでいた恐怖の象徴。
だが今、その巨大な体当たりを、若きアサメは片手で受け止めた。
無慈悲に振るわれた拳が、サメの吻先を正面から迎え撃ち、その鼻先を力強く掴んだ。
苦痛と驚きに、サメの蛍光に輝く瞳が揺らいだ。
「グアアアッ!!」(死ねぇっ!!)
怪サメが咆哮を上げる。
アサメは握りしめた手でサメの鼻をがっちりと掴み、
一瞬で右腕を引き、旋回しながらその顎に強烈な一撃を叩き込んだ。
鋼鉄のような牙が空へと砕け散り、海の上に飛び散った。
その瞬間、波が真っ二つに裂けた。
圧倒的な力の波動が、海の底深くまで響き渡ったようだった。
遠くからその光景を目撃したピンク色の蛍光サメが、突進を止めた。
その瞳には、明らかな驚きと怒りが同時に浮かび上がっていた。
そしてすぐに口を開いた。
淡いピンクの蛍光ガスが、胸の奥からアサメへと向かって広がっていった。
それはただのガスではなかった。
放射能と遺伝子毒素が混ざり合った、殺意そのものの捕食者の吐息。
アサメは即座に身をひねり、脳裏にアオイの言葉がよぎった。
「回転させて……電気を回転させれば波が生まれる。それで……弾き返せる。」
彼は右腕を引き、腕に集中して電気を纏わせた。
強い渦のように腕を巡る電流が徐々に波動を生み出し、
ガスと対面したその瞬間、渦は嵐のように爆発した。
ピンクの怪サメは逆風に巻き込まれ、海中で体をよじりながら吹き飛んだ。
輝くヒレは裂け、毒性のガスが逆流して自身の体を傷つけた。
しかし間もなく、砕けた吻を持つ蛍光サメが再び方向を変えて突進してきた。
傷だらけではあったが、野性は消えていなかった。
その両目には、血と怒りが宿る蛍光の光が満ちていた。
だがアサメは、彼に向かって大きく微笑んでいた。
鋭い歯と口角が裂けるように広がったその笑みは、もはや人間というよりもサメに近かった。
赤く光る瞳は一切揺らがず、冷たく狂気を帯びた戦士の眼差しに、
怪サメは一瞬、動きを止めた。
――今は逆だった。
それは「捕食者」の視線。
自分が狩られている。
その感覚に、サメは本能的に震えた。
巨大な怪サメと比べれば、アサメの体は小さく見えるはずだった。
だが今、彼はそれ以上に巨大に映っていた。
サメの遺伝子の奥深く――
遥か昔から刻まれていた「恐怖」という記憶が、
静かに、確かに目を覚まし始めていた。
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