暗い海の中の襲撃 9
本作品に登場するすべての人物、団体、国家及び事件は全て作者の創作物であり、実在とは無関係です。
すべてフィクションですので、楽しんでお読みください。
9. 暗い海の中の襲撃
瞬間、船の片側で、五メートルは優に超える巨大な蛍光サメが、重武装のボディーガードを一人丸呑みにした。
「……あ、あれって……サメって呼んでいいのか?」
その圧倒的な存在感は海をかき乱し、息をすることさえ重く感じさせた。
一匹の怪サメが突如、巨大な顎を開き、威嚇するように迫ってくる。
その口の中から覗く鋭利な歯は刃のように光り、口元には蛍光の輝きが広がって、不気味さを一層際立たせていた。
「バン! バン! バン!」
ボディーガードたちは反射的に銃撃を加えた。
だが、すでにその一人は跡形もなく消え去っていた。
彼らは衝撃と恐怖に包まれ、動揺を隠せなかった。
だが、サズキはその状況でも冷静さを失わなかった。
心の中で判断を下す。
(アサメが動くべきか?
ボディーガードたちで対応できるか?
せめてバズーカでも持ってくるべきだったか……)
「サズキ!」
「アサメ……」
サズキの悪い予感は、ほとんどの場合的中する。
アサメは当然のようにアオイの微笑みを浮かべながら、
別のボディーガードを呑み込もうとするサメの顎を、両手で食い止めた。
「くっ……」
「ぐっ、ぎゃああっ!!」
半ば噛まれ、血を流すボディーガード。
残された仲間たちは次々と銃を撃ち始めた。
ババン、バンバン!
「うっ……」
混乱の最中、弾が一発、アサメの肩を貫いた。
ドボンッ!
押さえ込まれていたサメは力を抜き、海の中へと逃げ去った。
「アサメ、大丈夫か!?」
「はぁ、はぁ……うん。」
息を整える間もなく、ピンク色の蛍光を放つ別のサメが現れ、再びボディーガードを呑み込んだ。
二匹目のサメは、よりしなやかで鋭い体つきをしていた。
全身を透明な膜が覆い、内部の蛍光器官が青、ピンク、黄色に不規則に点滅していた。
吻の先は尖り、無数の小さな歯が迷路のようにぎっしりと並んでいる。
背びれと尾びれは細く長く、まるで光の翼のように揺れていた。
その怪サメは、光と影を自在に操るように、深い海の闇の中を幻のように泳いでいた。
サズキは息を呑んだ。
二匹の怪サメから放たれる気迫に、体が凍りつくかのようだった。
彼らが動くたび、波が揺れ、深い不吉さが海全体に広がっていく。
「ぎゃあああっ!!」
「うわあっ!!」
尾を振るった一撃で、別のボディーガードが壁に叩きつけられ、息絶えた。
アオイに教わった電気信号を武器にしようと、アサメは両手に電気を集中させ、放とうとする。
だがその瞬間、ピンクの怪サメが突然、放射能ブレスを吐き出した。
稲妻のような電気エネルギーと放射性ガスが交錯し、巨大な爆発が発生した。
ボディーガードたちは瞬時に吹き飛ばされ、地面に倒れ込んだ。
その隙を突いて、黄色い怪サメが尾を大きく振り、アサメを壁へと叩きつけた。
全身に衝撃が走り、アサメは一瞬、意識を失った。
その間に、残されたボディーガードたちは恐怖に凍りつき、なすすべもなく怪サメたちの餌食となった。
彼らの悲鳴と叫びは波音にかき消され、
冷たく無慈悲なサメの鋭い歯の下へと消えていった。
意識を取り戻したアサメが目を開けると、
サズキが倒れたボディーガードの銃を掴み、必死に抵抗していた。
だがその時、怪サメの巨大な尾が地面を叩き、間接的な衝撃波がサズキを吹き飛ばした。
その光景を目にしたアサメの怒りが、ついに爆発した。
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