アオイ事件が起きてから数日が過ぎた。 6
本作品に登場するすべての人物、団体、国家及び事件は全て作者の創作物であり、実在とは無関係です。
すべてフィクションですので、楽しんでお読みください。
6. アオイ事件が起きてから数日が過ぎた。
新学期が始まり、みんな新しい気持ちで学校に集まった。
普段はきつく締めていた制服も、今回はわざとゆるく着る姿が多かった。
少しでも不快感を減らしたかったのだ。
しかし、雰囲気は少し違っていた。アオイに関する嫌な噂が村中に広がっており、田舎の村だけに噂はすぐに広まった。
突然現れた空色の髪の少年、アサメへの関心も高まっていた。
見知らぬ存在が村や学校に入ってきたことに、人々の視線は好奇心と警戒心が入り混じっていた。
家族の力を借りて、サズキとアサメは同じクラスに配属された。
二人の間のぎこちなさよりも、教室の中には不思議な期待感が漂っていた。
初登校の日、クラスの前で自己紹介の時間が訪れた。
空色の髪のアサメが歩み出ると、自然とクラス全体の視線が集中した。
普段は落ち着いて冷静なサズキでさえ、アサメよりも緊張した表情を隠せなかった。
その瞬間、サズキの心の片隅に参観授業のために初めて学校を訪れた両親の姿が浮かんだ。
彼らの期待と心配が、サズキの胸をより一層ドキドキさせた。
この日はサズキにとって人生で最も緊張する瞬間であることは間違いなかった。
「アサメ、大丈夫かな…」
「私はハヤミ・アサメ。アオイの親戚です。アオイは遠くへ行きました。以上です。」
サズキは安堵のため息をついた。
はああああ!!!!
パチパチパチパチ
喜びに、サズキも知らず知らずのうちに激しい拍手をしていた。
開校の数週間前から勉強嫌いのアサメに必死で基本常識と基礎知識を習得させた、涙ぐましい努力の成果に感動していたのだ。
サズキの目に、そっと涙が浮かんだ。
「これが…育てる者の気持ちか」
突然、アサメの方から大きな声が聞こえた。
「サズキは俺のメスだ。」
その言葉は一瞬で教室全体を巻き込んだ。
生徒たちの視線が集中し、噂はすぐに学校の外まで広まった。
クラス全体が凍りつき、衝撃に包まれた。
「!?!?!%#$$」
「な、なに!!!」
「うわっ、俺の女神様が…」
「俺たちの御嬢様が!!!」
「サズキさん!何て言うんですか…!!」
みんなの視線がサズキに向けられた。
サズキの顔はトマトよりも赤く染まった。
いや!!嬉しいけど!!でもそれは違う!!!
もっと危険な場所、コンクール、難しい場所をたくさん経験してきたと言っていたが、
サズキの精神はますます擦り減っていく気がした。
サズキがトイレに行っている間に、3年生の不良グループがアサメを教室の裏に呼び出した。
「おい、“俺のメス”とかぬかしてた野郎!サズキ姫の胸がそんなにエロいとか言ってたらしいな?マジかよ?」
「お前ごときがウチのサズキちゃんにそんなこと言える立場だと思ってんのか?」
不良たちは嘲笑混じりの目でアサメを壁際に取り囲んだ。
彼らは自分たちの方が数も力も強いと信じていた。
アサメはゆったりと息を吐いた。
「気分の悪い言葉だな。」
不良の一人が怒った顔で突進してきた。
しかしアサメは素早く身をかわし反撃した。
一発の拳が壁を強く叩きつけた。
「ドン!」
巨大な衝撃で学校の建物が揺れた。
教室の中にいたサズキが驚いて叫んだ。
「アサメ!!」
叫びながらアサメを探した。
「アサメ!!何やってるの!」
不良たちは恐怖で後ずさりした。
「え…あれは何だ!?」
「俺たちが勝てると思ったのに、これは一体何だ!」
彼らは手足を震わせ、誰も先に動けなかった。
アサメは赤い野生の瞳で無表情に不良たちを見下ろした。
長い沈黙の後、不良たちは尿を漏らして気絶した。
サズキが駆け寄りアサメの首筋を掴んだ。
「お願い、無理しないで。危ない…あいつらが」
反省する期待とは裏腹に、アサメは微笑んで言った。
「サズキは俺のメスだから、俺が守らなきゃ。」
その言葉にサズキは顔を赤らめたが、心の中ではもっとしっかり育てようと決意した。
みんながアサメの周りに集まった。
「どこから来たんだ?」
「太平洋?」
「プッ、見てたらかわいいな」
「太平洋じゃないの?サズキ?」
首をかしげながらアサメは大きな瞳でサズキを見た。
『違う!!こっちを見るな!!高貴な俺のイメージが…』
みんながサズキに視線を向けた。
確かにアオイの天才的な知能を受け継いだが、まだ人間的な感覚が不足していた。
アサメは人間の限界をよく知らなかった。
怪力と驚異的なスピードを持っているが、それを上手くコントロールできていなかった。
サズキは隣でずっと言った。
「我慢して、ほどほどにしてね。」
しかしアサメは我慢したつもりだった。
学期初め、学校の運動場で体力測定が始まった。
生徒たちは緊張した表情で順番を待った。
ついにアサメの番。
サズキが心配そうにささやいた。
「ほどほどに、お願いだから弱くして。」
アサメは微笑んで答えた。
「心配しないで、うまくやるよ。」
スタートの合図が鳴ると、アサメは風のように走り出した。
みんなが遅れる中、アサメが一番にゴールラインを越えた。
走り幅跳びでも予想記録を軽く超える距離で着地した。
生徒たちは驚いた目で記録表を何度も確認した。
腕立て伏せ、腹筋、すべての種目で平均をはるかに超える成績だった。
サズキは息を潜めて額を押さえ心の中でつぶやいた。
『はあ…これはちょっとやりすぎだ。』
その時、男子たちの視線は体力測定中のサズキの身体、
特に大きく揺れる胸元に集中していた。
「うわっ…すごい揺れ…まじで芸術レベルじゃん…」
「おお~、認めざるを得ないな…」
隣でその言葉を聞いて頷くアサメ。オスたちだけの微妙な空気が漂った。
確かにアオイの天才的な知能は受け継いだが、人間的な「感覚」はまだ足りなかった。
そのすべてを見ていた教師が静かに言った。
「アサメ君、本当に素晴らしい体力と身体能力ですね。」
サズキも学校の女子の中ではトップクラスだった。
いつもキラキラした実力で友達の羨望を集めていた。
男子に囲まれたアサメを見てサズキはため息をつきながら言った。
「お願い、目立たないでってば…」
放課後、頬がパンパンのサズキ。
サズキはアサメと帰りたくて、わざと護衛たちに来るなと言った。
「サズキ〜 サズキ〜」
「ふん!どれだけ一生懸命準備したと思ってるのよ、それを!!!
サズキは俺のメスだ!?嬉しいけど、それを!!!!ふん!」
「ごめんね、サズキ な?」
アサメがサズキを前でぎゅっと抱きしめて顔を上げ、サズキを見上げた。
巨大な谷間に埋もれたアサメの柔らかく押しつぶされた頬が顔を見せた。
『ひぃっ!!かわいい!!!でもでも…』
ドカン!!!!
遠くから暴力の音が聞こえてきた。
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