恋占い5 サイトが絡んでいる案件
「サトさんも小杉さんのことになると妙に勘良いし、二人がくっついちゃえば一気に問題解決すると思いますけど?」
荒川の言葉に一華はブフっと吹きだす。お互いのことに鋭いのは当然一華経由で情報を知っているからなのだが、他人から見れば確かにお互いを良く知っている仲良しに見える、のかもしれない。事務所の中でも2人は一緒にいることが多く二人が会話する機会も多い。それは中嶋がこの事務所でリーダー的存在だからと言うのもあるのだが。あの二人仲良いな、と言うのが周囲からの印象だ。
しかし荒川の一言に二人はいまだかつて見たことないくらい真剣に言った。
「ない」
「はあ……そうですか」
二人同時に真剣に否定されるとは思っていなかった荒川は多少鼻白んだようだった。内心実は二人つきあってるんじゃないの、と思っていたからだ。機械屋と言ってもそこは十九歳女子、恋バナには飢えている。
『え~、ここでどっちか照れたら面白いのになあ』
そしてここにも恋バナに飢えている十六歳女子高生が面白そうに言うが、中嶋は見向きもせず手であっち行けの仕草をした。
「くだらない事言ってないで仕事戻れ、俺はもうちょい寝るから」
「は~い」
「わかりました」
事務所に戻る二人を見送り、目を爛々とさせている一華にしっしっと手を振りながら小声で言う。
「お前もはよ行け」
『綾さんナシですか? 清楚なキレイ系、可愛いとこほもあって優しいしアリじゃないですか』
「まだその話かよ、なんで女ってそういうの食いつくんだ。ねえよ、顔も性格も良いと思うが好みの問題だ」
『じゃあサトちゃんの好みってどんなの? 元奥さんは芸能人で言うと誰似でした?』
「初代妖怪人間ベムみたいな顔。もう寝るぞ」
『え? え? 初代ってどんな……っていうかベムって一番でかくてイカツイ顔した奴じゃん! せめてベラって言ってよ、本当にソレがサトちゃんの好みとかありえないでしょ! めんどくさいからっててきとーに言わないでくださいよ!』
騒いでも中嶋は無視して寝始めてしまった。一華はうーっと唸ると中嶋の携帯に近づき念写を送る。中身は確認できないが上手くいったはずだ。一枚の写真に写せる文字はせいぜい五~六文字ほどなので、数枚にわけて念じておいた。
【アヤさんと】 【アラカワさん】 【わたし】 【だったら】 【アリなの】 【だれですか】
コイバナだの好みだのが興味ない中嶋には相当ウザイに違いない。というより興味あってもこれはウザイ気がするが……起きた後に怒り出したら天井裏に逃げよう、とウキウキしながらやる事がないので小杉のところへと向かった。
ふと気になったので小杉に憑依をして問いかける。
(そういえば綾さんって借金なんてしてたんですか、意外。しっかりしてそうなのに)
先ほどの中嶋との会話で言っていた事を聞いてみると、少々苦笑した感じで返事が来た。
(闇金じゃないよ、お金借りた相手は佐藤さん。一人で都心に来てお金なくてね。安定するまで生活費借りてたの)
(ふーん……)
そこで会話をやめてすぐに憑依を解いた。小杉は仕事があるし、なんとなくなのだがそのあたりはあまり突いていい話題ではないような気がしたのだ。小杉からは祖母の話……一度始まると止めても止まらない長い話しか聞いたことがなく、その他の家族の話は一度もしたことがない。いないのか、連絡をとっていないのか。いずれにしても人の家庭の事情に首を突っ込むほど無神経ではない。
このときはまだ、それだけの話だった。ただの占いサイトという認識だったのだが、それから数日後に正式な依頼として調査する事となる。
「今回は荒川、戸波さん、清水さんで動いてもらいます。パソコンやセキュリティは俺の専門外だから三人にお任しますので」
中嶋の言葉に三人は頷く。戸波は三十代男性で契約社員、清水は六十代男性でパートとして来ている。戸波はパソコンオタクというやつでパソコンに関する事情全般に詳しく、清水は定年まで勤めた会社の通信セキュリティ管理をしていたので同じくパソコンに詳しい。
今回来た依頼は四十代夫婦で、あのレボリューションというサイトをなんとか調べてもらえないかというものだった。
高校生の娘が自殺をし、その原因がそのサイトにあったのではないかという。自殺の前から様子がおかしく、何があったのか聞いても答えない。娘が死んだ後友人達に懸命に聞き込みをして調べた結果、レボリューションにハマっていて情緒不安定になっていたらしいことまではわかった。しかし友達は皆レボリューションについては口が堅く、娘の死を悲しんでいるものの詳しく話そうとせず真相を知りたいという。
娘の携帯は預かっており、履歴やメールは一切消していない。そこから一体どういうサイトなのか、何が原因で自殺したのかを調べる事にした。
三人でまず何を調べるかを相談し始めたところで中嶋は席を外す。チラリと一華を見て合図をすると一華もついてきた。向かったのは事務所が入っているビルの屋上だ。憑依させてもよかったのだが、特別な事情や状況がない限りはこうして「会話」をする事にしている。
「一応お前にも聞いておく。レボリューションについて知ってること全部教えてほしい」
『うん。まず占えるのは好きなタイプの異性で、こんな人が貴方にお似合いですっていう結果が出る。性格とかどんな事が好きかとか、芸能人で言うとこういう人って名前まで。この辺りはありがちな文章だけだったかな。ただ、こういう行動すると相手に振り向いてもらえるっていうアドバイスも載ってるんだよね』
「それだけか? 他には」




