表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幽霊と探偵  作者: aqri
19/46

ストーカー1 ストーカー被害の調査

『ただいまー、ってあれ? 依頼人来てたんだ』


 買い物に行った小杉について行き、戻ってきた一華は事務所で難しい顔をしてメモなどを見つめる中嶋を見つけた。細かい状況を聞いてメモを書きなぐるのは中嶋の癖だ。パソコンでも記録できるのだが、こちらの方が自分に合っているといまだにメモを使用する。


「タイミング悪く一華がいない時に来ちまったなあ」

『そういえばここに入る前女の人が歩いてたっけ、その人かな。っていうか、もしかして』

「ああ。ストーカー関連だ」


 ストーカーに関する依頼には一華の協力が必要不可欠となってきている。今までの経験上、ストーカーの半分以上は元恋人であるため依頼人に心当たりが多い。

 素直に別れ話で揉めたと言ってくれればいいのだが、後ろめたい事があると依頼人も全てを語らない為一華の憑依による記憶の読み取りが必要なのだ。後ろめたい事とは依頼人側に問題やきっかけがある場合、その大半は浮気による別れ話のもつれだったりする。

 つまり付き合っていたが他の異性に興味がうつり、お前に飽きたから別れると言って一方的に破局を告げて次の恋に向かう者がこのケース。

 無論まったく身に覚えがなかったり、ストーカー側の勘違いや思い込みによるものも多いが悲しいかな、ストーカーの相談では依頼人側に問題があるパターンが三分の一を占める。


『今回はどんな人?』

「二十三歳会社員女性。相手の姿が見えなくてわからないが、自分の私生活を事細かに記したメールが届くそうだ。ここに来る前に他の探偵に盗聴器を探してもらったんだが見つからなかったんだと。そこでは盗聴器なんてありませんね、で終了したからウチに来たそうだ」


 言いながら印刷されたメールを見る。そこには何時何分にどこの場所にいたか、何をしていたかが書かれていた。夕飯のメニューから使っている化粧水の名前、寝るときの格好まで書かれている。ちなみに寝るときの格好のところにはもっとエロイ下着でピンクのワンピース型のパジャマを着て欲しいというリクエストつきだ。一華の趣味からするとその格好はナシだと内心つっこむ。


「最近恋人はいないから元彼とかじゃなさそうだ。あとはストーカーを装った同性からの嫌がらせって事も考えられるが、これだけの話じゃなんとも言えないな」

『監視されてるのはなにげに夜の時間が多いのかな? 夕飯とか寝る時とか』

「ああ、それは俺も気づいた。四六時中見てるわけじゃなさそうだ。学生や社会人は夜しか時間取れないからな、一応まっとうな生活はしてる人物らしい。とりあえず家に行く約束は取り付けた。念のため俺も盗聴器や小型カメラ探してみるって名目で」


 そう言いながら一華をチラリと見る。それだけで何を望んでいるかはわかった。


『りょーかい。盗聴器探してるときにその人に憑依して記憶見とけばいいんだね』

「話した感じでは噓ついてるような雰囲気はないんだよなあ。ま、個人差はあるが怪しいところは特になかった」


 依頼人との会話を重点的に行う中嶋はある程度心理学も身につけている。その人と長時間話すとそわそわしているとか、話の内容の割に妙に落ち着いているとか、自分の感情だけを優先させて物事の説明ができていないとか、なんとなく人物像がわかったりする。

 一つの例として、噓をつく時人はだいたい真実と正反対の事を言う。一つならいいのだが、ごまかそうとすると後先考えずにすべてを裏返しにでたらめに言うのでそのうちボロを出すことがある。本当の答えに辿り着かせないようにすることだけに集中してしまい、自分が矛盾していることや怪しさを出してしまっていることに気づかないのだ。

 本当に知らなかったり真実を話す場合は知っていることのみ、わからない事は素直に「覚えていない、わからない」と言うものだ。

 これが当てはまらないパターンになると見抜くのが難しいのだが、当てはまらないパターンはだいたい噓をつくのが上手い特殊な人物像が多い。そういう人間はニオイでわかるというか、雰囲気で全体的に怪しいなと思ったりする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ