食べかけのパン
薄汚れた墓地の裏の林を
一人の修道女が歩いている
日が沈みかけたこの街で
あなたの声を聞くのは簡単だ
でも今は聞きたくない
黄色い月が昇ってきて
僕は家に帰ろうとしている
何もかも壊れているこの家
時計さえもあてにならない
フクロウが鳴いている
夜更けの地球に
宇宙の煌めきを教えてもらう
何万光年先の光だろう
ここに届いたのは
(これは夢ではなく現実)
朝、目を覚ますと
時計はすっかり直っていた
また出かけていく
何かを探しに出かけていく
食べかけのパンを置いたまま